ザ・クロマニヨンズ、史上最長の全国ツアー前半戦の山場、渋谷AX2DAYSの2日目をレポ!
ザ・クロマニヨンズ | 2013.06.20
2月にリリースされた7thアルバム『YETI vs CROMAGNON』を引っ提げて、2月20日よりバンド史上最長となる全国ツアー『ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン』を敢行中のザ・クロマニヨンズ。67公演が組まれた今回のツアーは、夏フェスシーズン直前の7月6日の仙台公演で一旦中締め。9月14日からは全国のホールを横断する後半戦がスタートするわけだが、今宵6月6日は前半戦の山場にさしかかった東京・SHIBUYA-AX2DAYSの2日目。開演前からフロアをいっぱいに埋めた観客から「イエティ!」「クロマニヨン!」のかけ声が交互に上がり、会場は熱気でいっぱい。見渡すと、ティーンエイジャーから20年、30年の長きに渡ってロックを聴き続けてきたとおぼしき強者まで、幅広い年齢層が集っている。もやもやと腑に落ちないことがなにかと多い今の時代に、ザ・クロマニヨンズのロックンロールがもたらす爆発力をいかにたくさんの人が求めているのかが実感できる眺めだ。
ツアー半ばということもあり詳細な曲目は差し控えるが、フロアの大歓声を受けながら立て続けにロックンロールを繰り出す4人は、いつもと何ら変わりなくロックンロールのエナジーを発散。『YETI vs CROMAGNON』と前作『ACE ROCKER』に収められた新し目のナンバーを軸に、「グリセリン・クイーン」や「底なしブルー」といった鉄板ナンバーを織り交ぜながら、ただただ“ロッカーであり続けること/ロックンロールをやり続けること”が楽しくてしょうがないというプリミティブなパワーをビシビシと放ってくる。
特にヒロトとマーシーが纏う(まとう)ロックンロールのオーラは、年々強度と輝きを増していると感じるのだが、ステージを眺めながらその秘密を考えてみた。それは2人がロックンロール・プリズナーとして世界に対峙し、25年以上かけて“ロックンロールの旅”を続けてきた説得力の賜物(たまもの)だろう。もちろんここには楽しいことだけではなく、自由と裏腹の孤独や苛立ち、焦燥感も含まれている。そしてネガティブを乗り越える心意気やロマンも含まれている。また、ここにはロックンロールにノックアウトされた少年の頃の“あの日=ドキドキ”を鮮やかに描いた心象風景がある。まるで昨日のことのようなリアルな息づかいで。はたまた憧憬をたたえたファンタジーとして。もちろん、それはフロアを埋めたみんながわかっていること。だからままならない毎日に笑い、泣き、腹を立てるみんなの鼓動に、ザ・クロマニヨンズのエイトビートはヴィヴィッドに寄り添えるのだ。
この夜も、“永遠です!”と無邪気な子供のようにロックンロールと戯れる「突撃ロック」。“イライラしてる いい感じ”と苛立ちもロックンロールの躍動感のひとつとしてポジティブに変換する「人間マッハ」。“アポロは11号 俺は 俺1号”と長い旅路の孤独を宇宙ロケットと比しながら毅然と受けとめる「涙の俺1号」。後の生き様を決定づけるレコードを手にした時のドキドキを、胸を掻きむしりたくなるノスタルジックな情景でみせる「団地の子供」。風来坊のロマンを歌った「南から来たジョニー」…… 今宵のステージで演奏された最新作からのナンバーは、ロックンロールの旅路にある楽しさとほんのちょっとの切なさを、喜怒哀楽にビリビリと震えながら、より強く観客と共有していたように、私には映った。
フレッシュな勢いに満ちた今宵のパフォーマンスからは、ザ・クロマニヨンズが今、とてもいいコンディションでツアーに臨んでいることが感じられた。錆びついたロートルになることなく、達観した仙人のようになることもなく、ザ・クロマニヨンズは経験を糧にしながらも原点そのまんまのフルスイングをキメられる境地に達したのだ、とワクワクさせられた。日本のロック史の中でも、このような境地に達した者は数少ない。今、僕らはとても貴重なロックンロールの在り方を目撃する幸運に恵まれているのだ。
「俺が望んでいたのはこれです。みんなもそうだったら嬉しい」「こんな時間がずっと続けばいいと思う。最後まで楽しい気分で過ごそう」「このまま最後までロックンロールだ!」という今宵ヒロトの言葉には、“これでいいのだ”という確信めいたブレない自然体の強さがあった。つんのめるような怒濤の演奏の合間にそういった言葉を聞いて、余計にカッと熱い炎を着火させられ、同時に心をほぐされもした。
ザ・クロマニヨンズは、今日本で一番ロックンロールの神様に祝福されたバンドだ。まだまだツアーは続く。ロックンロールに自分の生き様を投影している人は、ぜひこのツアーの後半戦に足を運んで欲しい。“やることがわかっている”いなせなナンバーワン野郎=ザ・クロマニヨンズがきっと心のエナジーを焚きつけてくれるはずだから。
【取材・文 山本貴政】
【撮影 柴田恵理】
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リリース情報
お知らせ
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
2013/06/22(土)福岡DRUM LOGOS
2013/06/23(日)福岡DRUM LOGOS
2013/06/25(火)なんばHatch
2013/06/29(土)Zepp Nagoya
2013/07/02(火)青森QUARTER
2013/07/04(木)盛岡 Club Change WAVE
2013/07/06(土)仙台 Rensa
2013/09/14(土)埼玉県 川口リリアホール
2013/09/16(月・祝)三重県文化会館 中ホール
2013/09/21(土)愛媛県 八幡浜市文化会館
2013/09/23(月・祝)あわぎんホール 徳島県郷土文化会館
2013/09/29(日)札幌市民ホール
2013/10月05(土)神奈川県 ハーモニーホール座間
2013/10月06(日)栃木県教育会館
2013/10月10(木)千葉市民会館
2013/10月12(土)熊本県 玉名市民会館
2013/10月14(月・祝)静岡市民文化会館 中ホール
2013/10月20(日)京都KBSホール
2013/10月21(月)大阪府 フェスティバルホール
2013/10月26(土)名古屋市公会堂
2013/10月27(日)TOKYO DOME CITY HALL
2013/11月02(土)沖縄県 ナムラホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。