超ロングツアー完走!永遠に終わらないザ・クロマニヨンズのロックンロール
ザ・クロマニヨンズ | 2013.11.14
最新作『イエティvsクロマニヨン』がリリースされて間もない2月20日に、甲本ヒロト(Vo)の地元である岡山CRAZYMAMA KINGDOMからスタートしたこのツアーが、残すは沖縄ナムラホールを残すだけになった10月27日の東京ドーム・シティ・ホールでザ・クロマニヨンズは、10ヶ月に及ぶツアーを経てもフレッシュなライヴで魅了した。幕開けのナンバー「突撃ロック」は《永遠です》と繰り返す歌詞が印象的だが、まさに彼等のロックンロールは永遠に続くように思える。4ピース・バンドがやれること・やるべきことの基礎を、彼等は無駄なく惜しみなく、いつも見せている。その飾り気のなさ・迷いのなさが常に新鮮で感動させられてしまうのだ。
アルバムの収録曲順通りに演奏する最近のツアーは、セットリストがわかったからと言ってライヴの楽しみが損なわれるものではない、と身をもって示している。この日も小林勝のベースが唸る「黄金時代」、真島昌利のキレのいいギターに合わせてヒロトがピート・タウンゼントのように腕をグルグル回しオーディエンスがオイ・コールで応えた「人間マッハ」、メンバーのコーラスが男臭い色を添えた「涙の俺1号」、甘酸っぱい切なさ溢れる「チェリーとラバーソール」でアリーナを揺らした。ライヴという空間表現は録音とは別物なのだ。それを彼等はよく知っている。だからヒロトは言う。「今日は変な恰好で踊る人を見ても、絶対に笑ってやるなよ!みんな自分の楽しみ方でやっとるんよ、それでええんよ、俺がお手本示すから、みんな自由にやってください」。
アルバム収録曲だけでは30分で終わってしまうから、と1作目の曲も披露。直球パンクな「キラービー」、MCで西城秀樹の真似もした「くじらなわ」、テンポに緩急をつけてロックンロールとブルースに変えて演奏した「歩くチブ」は、ほぼ坊主頭のヒロトが髪を直す真似をして沸かせた。いつもよりヒロトのMCが多く、オーディエンスは大騒ぎだ。
「A面6曲目をやろうとしています」とタンバリンを手にヒロトは、「夢に天使が出て来てこれは“妖精の楽器”と言った」と言いながらブルースの名曲を歌い出し、「妖精の楽器なのに、今のは悪魔の歌だ」と笑わせる。そう、ブルースは十字路で悪魔に魂を売って手に入れる。腕を回して”妖精の楽器”を打ちながら歌った「団地の子供」が終わると、今度はブルース・ハープを“悪魔の楽器”と言って吹き鳴らす。マーシーのギターと掛け合いで、ここでもマーシーとブルースのカヴァーをひとくさり。「炎」のカップリング曲「とがってる」へ。Tシャツを脱いだヒロトが冗談めかして曲名を叫んだ「ホッテンダー」から「日本の夏ロックンロール」をへて「炎」へと再びアルバムの曲を畳み掛けるように続け、温度を上げて行く。『イエティvsクロマニヨン』のジャケットと同じイラストのバックドロップが現れ歓声が沸くと、「ヘッドバンガー」のオイ・コールにヒロトはポーズで応えた。
再びハープを手に「メリーさんの羊」など吹いて和ませ「南から来たジョニー」をしっとりと聴かせるとB面も終盤。マイク・スタンドを片付けるスタッフを「持ってくの??」みたいな感じで追いかけ、手に残ったハンド・マイクを「これは8kgぐらいあるんです。(腕が)カッチカチやぞ」と笑わせる。続いて始まったムーディな演奏に合わせて歌うように「♪隣の人がどんなにへたくそでも怒らないで楽しんで」と呼びかけた「グリセリン・クイーン」が、後半戦の火蓋を切った。
ヒロトがサニー・ボーイ・ウィリアムソンのようにブルース・ハープを吹いた「底なしブルー」はマーシーもご機嫌で動き回り、「ええ感じ、何回もありがとう!」と歌い出した「雷雨決行」の演奏は涙が出そうなほど感情を揺さぶる。曲の後半4人のユニゾンで歌った《引き返すわけにゃいかないぜ 夢が俺達を見張ってる》という一節にかけてか、ヒロトが両手を双眼鏡のように構えていた。そして《今日は最高!》と歌詞を引用して突入した「ギリギリガガンガン」は、この曲を書いたマーシーが楽しそうにステージ前へ進んでピックを投げ、ステージを降りたか落ちたかヒロトの姿が見えない瞬間があったが間髪置かず「紙飛行機」が飛び出した。シャープなギター・リフと大らかな歌の対比が豊かな表情を作るこの曲は、グッと心をつかんでくる。そんな思いを受けたように「ありがとう!『イエティ対クロマニヨン』とうとう最後の曲になりました。行くぞ!」と始まった「燃えあがる情熱」は、ライブも最後を引き締めるアンセムめいた曲になっていた。
アンコールは、ゆったりした幕開けからパワフルに展開する「夢の島バラード」に、大合唱となった「タリホー」、そして「ナンバーワン野郎!」。「有難う、楽しかった! また絶対にロックンロールやるぞ!」と言い、最前列の観客とタッチしながらヒロトはステージを去り、マーシーは「またね」と手を振った。
ザ・クロマニヨンズのロックンロールは、永遠に続くに違いない。この長いツアーの模様は、ライヴ盤として12月にリリースされる予定だ。
【取材・文:今井智子】
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リリース情報
ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013イエティ 対 クロマニヨン(CD)
2013年12月25日
アリオラジャパン
2. 突撃ロック
3. 黄金時代
4. 人間マッハ
5. 涙の俺1号
6. チェリーとラバーソール
7. 欲望ジャック
8. ゴー ゲバ ゴー
9. 他には何も
10. 団地の子供
11. ホッテンダー
12. 恋に落ちたら
13. とがってる
14. 日本の夏ロックンロール
15. 炎
16. ヘッドバンガー
17. グリセリン・クイーン
18. 底なしブルー
19. 鉄カブト
20. エイトビート
21. 紙飛行機
22. 燃えあがる情熱
23. 南から来たジョニー
24. 雷雨決行
25. ナンバーワン野郎!
※初回仕様のみ 紙ジャケット・24P写真集付き
※30cm LP 完全生産限定アナログ盤(2枚組24P写真集付き/4,200[税込])も同時発売!
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セットリスト
ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013
イエティ 対 クロマニヨン
2013.10.27@TOKYO DOME CITY HALL
- 突撃ロック
- 黄金時代
- 人間マッハ
- 涙の俺1号
- チェリーとラバーソール
- キラービー
- くじらなわ
- 歩くチブ
- 団地の子供
- とがってる
- ホッテンダー
- 日本の夏ロックンロール
- 炎
- ヘッドバンガー
- 南から来たジョニー
- グリセリン・クイーン
- 底なしブルー
- 雷雨決行
- ギリギリがガンガン
- 紙飛行機
- 燃えあがる情熱
- 夢の島バラード
- タリホー
- ナンバーワン野郎!
お知らせ
COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/29(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場1〜8ホール イベントホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。