東京カランコロン、「夏」から「秋」へ――東京2days、2日目の秋編をレポート!
東京カランコロン | 2013.09.26
意表を衝く選曲によるSE「ちいさい秋」が流れる中、メンバーたちが登場。みんな長袖姿の秋の装いだが、佐藤全部(B)は半袖・半ズボン+浮き輪を手にした夏ファッション……というミスマッチ感が早速観客を沸かせる。「夏の終わりのワンマンツアー。しっとり始めます」といちろー(Vo・G)が言い、スタートした1曲目は「サヨナラ バイバイ マルチーズ」。叙情的なメロディが会場全体にフワリと広がり、人々はフロアでうっとりした表情を浮かべて身体を揺らし始める。瑞々しい一体感に満ちたオープニングとなった。しかし、2曲目「フォークダンスが踊れない」でムードは一転。力強いビートに合わせて観客は手拍子をして興奮を露わにする。おいたん(G・Cho)がギターソロを弾いている時、いちろーとせんせい(Vo・Key)は軽やかにフォークダンス。続いて「ロンリーナイト・フォーリンラブ」と「ハートフルホット」もエネルギッシュに高鳴り、観客は一層盛り上がっていった。
「企画倒れと言われるから最後まで着てようと思ってたけど……」と言いながら、早くも汗を拭って上着を脱いだいちろー。そして、ますます場内の気温を上昇させたのが「16のbeat」。疾走感溢れるサウンドに合わせて、観客の掲げた腕が激しく左右に揺れる。モヤがかかったかのようなエフェクトを施した歌声、不穏なムードのバンドサウンドを響かせた「頭から離れないかも」。アンニュイな趣きのメロディをせんせいが歌い上げ、いちろーのコーラスが心地よいハーモニーを添えた「It’s more wonder」。7月にリリースされた1stシングル収録の3曲を一気に披露した後、再びMC。「僕ら、尺が長いライブの時は“ドキドキゾーン”というのがあるんです。久しぶりにやる曲のコーナーなんですけど」といちろーが説明し、ライブでやるのは昨年末以来だという「冬part2」。続いて「バンドでやるのいつ以来?」といちろーが尋ねたところ「記憶にない(笑)」とせんせいが首を傾げたくらいのレアナンバー「マチャアキとしっぱい」。そして、「昨日はサザンオールスターズの「真夏の果実」をカバーしました。今日はスピッツの「楓」をやりたいと思います。大学受験の頃、この曲とイエモンの「SO YOUNG」ばかり聴いてました」と、いちろーが思い出も語りつつ「楓」。いちろーはアコースティックギター。せんせいはキーボード、かみむー氏(Dr)はカホン(カホンはこの日、初挑戦だったらしい)……という3人編成で披露。観客は瑞々しいメロディを堪能。演奏が終わった時、大きな拍手が巻き起こった。
「楓」の演奏中はステージから姿を消していたおいたんと佐藤全部が戻ってきた。佐藤全部は「飼い犬が来ちゃって……」と、オレンジ色をした虎の風船人形を手にしている……という予測不能な彼の行動が、またしても観客の和やかな笑いを誘う。「ずっと曲を作っていまして。新曲をやりたいと思います」といちろーが言い、まず披露された新曲「てのひら」。柔らかな質感のバンドアンサンブルが鮮やかに広がっていく。続いて演奏した新曲「マッハソング」はタイトルからも窺われる通り、スピード感溢れる展開、シャープに刻まれるビートが猛烈に興奮を誘う。そして、さらに新曲「言え 言え 言え」。ハジケまくったサウンドが会場全体を震わせ、観客を開放的に踊らせたのであった。
「こんなに人が集まってくれて、嬉しいなと心から思います。今年は攻める1年でありたいなと。こうやって元気が出る曲を作ってライブをしたいと改めて思いました。じゃあ、ここからラストスパート。まずは今年のテーマソング的な曲を」といちろーが言い、「いっせーの、せ!」。せんせいがキーボードでイントロを奏でると、観客の間から一斉に手拍子が起こる。いちろーはスタンドからマイクを外し、歌いながらステージの最前線まで身を乗り出して煽り、皆を盛り上げた。続いて「true!true!true!」ではギターを外し、ますます身軽になったいちろー。「みんなで踊りましょー!」と呼びかけつつ、誰よりもファンキーに踊ってフロア全体を開放的なダンス天国にしていく。そして、本編を締め括ったのは「ラブ・ミー・テンダー」。せんせいが鉄琴をプレイしてキラキラした音色を添えたりもしつつ、何処か郷愁を誘うメロディをバンド全体で響かせる。最高に心地よいひと時となった。
アンコールを求める歓声と手拍子に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。まずはいちろーが嬉しい発表をしてくれた。「11月27日にメジャー2ndアルバムをリリースします。『5人のエンターテイナー』というタイトルです。この前のシングルに続いて今回もセルフプロデュース。純粋にいいと思うものを、いいと思う音で録りました。途中でおいたんが車にハネられたり(笑)。名実ともに命懸けで作ったアルバムです。じゃあ、アルバムの中の大事な曲を」と言い、まず披露されたのは「誰かのエンターテイナー」。かみむー氏のスティックカウントによるリズムに合わせて、まるでコーラスグループのように歌声を響かせたいちろー、せんせい、おいたん、佐藤全部。やがてバンド演奏が始まり、牧歌的なムードのサウンドを煌めかせた。続いて、アルバムのリードトラックだという「走れ、牧場を」。疾走感たっぷりのサウンドが抜群に楽しい曲であった。
2曲を演奏すると、手を振りながらステージを後にした5人。しかし、再び拍手と歓声が起こり、ダブルアンコールへ。「しばらく東京でワンマンがないので、もう1曲だけ。10月の『ワンマソフェス2013』で会いましょう!」と、いちろーが挨拶。そして、ラストを飾ったのは「マドモアゼルと呼んでくれ」。起伏に富んだドラマチックな展開が、観客の興奮を果てしなく加速する。ステージ上のメンバーも、フロアで身体を揺らす人々も笑顔を思いっきり輝かせたエンディングとなった。
【取材・文:田中大】
【撮影:長谷川れみ】
リリース情報
5人のエンターテイナー(初回生産限定盤)
2013年11月27日
avex trax
1.誰かのエンターテイナー
2.マッハソング
3.走れ、牧場を
4.指でキスしよう
5.true! true! true!(新録)
6.キャラメル
7.30のbeat
8.16のbeat
9.F.L.O
10.言え言え言え
11.てのひら
12.J-POPって素敵ね
+ボーナストラック
【DVD】※初回生産限定盤のみ
・ワンマンツアーファイナル「ワンマ ん2013」5月12日赤坂BLITZ
・いちろー&せんせい Acoustic Live at QUEEN’S HOTEL antiques
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セットリスト
夏の終わりのワンマ んツアー
〜小さい秋見つけちゃいました編〜
2013.9.13@渋谷WWW
- サヨナラ バイバイ マルチーズ
- フォークダンスが踊れない
- ロンリーナイト・フォーリンラブ
- ハートフルホット
- 16のbeat
- 頭から離れないかも
- It’s more wonder
- 冬part2
- マチャアキとしっぱい
- 楓(カバー)
- てのひら(新曲)
- マッハソング(新曲)
- 言え 言え 言え(新曲)
- いっせーの、せ!
- ×ゲーム
- true!true!true!
- ラブ・ミー・テンダー
- 誰かのエンターテイナー(新曲)
- 走れ、牧場を(新曲)
- マドモアゼルと呼んでくれ
お知らせ
東京カランコロンpresents
「ワンマ ソフェス 2013」
2013/10/14(月・祝)東京都 Shibuya O-WEST / Shibuya O-nest / 渋谷7th floor
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。