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“JUJU HALL TOUR 2014 ~DOOR~”、東京国際フォーラムをレポート

JUJU | 2014.07.23

 うまくいった恋愛よりもうまくいかなかった恋愛の方が心に残っているのはなぜだろうか? 失恋や別れの思い出がもたらす甘さと寂しさ。新しい出会いに向かうことへの怖れと淡い期待。忘れたいけど忘れたくない。忘れたくないけど忘れてしまいたい。ストーリーテラーJUJUの歌声によって、聴き手ひとりひとりの心の奥底から引き出されるのは、そんな葛藤と日々の暮らしだ。

 今年の4月にデビュー10周年を迎えたJUJUの全42公演のにおよぶ全国ホールツアー『JUJU HALL TOUR 2014~DOOR~』の東京公演。恋人との痛みを伴う別れを経験した大人の女性が、ゆっくりと時間をかけて恋の終わりを受け止めていく心境を描いた「ねえ」で幕をあけたライブ。本編15曲は全て、3月にリリースした、オリジナルとしては2年8ヶ月ぶりとなる5枚目のアルバム『DOOR』の収録曲から。3曲目にミドルテンポのロックナンバー「Door」を唄ったあと、JUJUは、アルバムとツアーのタイトルになっている『DOOR』に込めた意味を丁寧に説明した。

「生きていると、予想がつかないことが起きたり、起こされたりします。そして、自分の心の中の古い、新しいドアを開けたり閉めたりするのが人生だと思う。1曲1曲、みなさまの今までの人生にあったあんなドア、こんなドアを開けたり閉めたりしながら楽しんで頂けたらと思います」

 誰もがきっと、彼女の歌を媒介にして、これまでに出会った様々な人の顔を思い浮かべては、消していただろう。恋よりも深い愛に気づいた「ただいま」、ゆずの北川悠仁による楽曲提供で、大切な人を守りたいという思いを描いた「守ってあげたい」というハートウォーミングなバラードに、辛く苦しい日々を抱えながらも夢を持ち続けたいという強い気持ちを込めたポップロック「Dreamer」と、幸せなバイブレーションに満ちた楽曲を続けた彼女は、MCで「この10年間の中で9割8分は悲しい曲を唄うことが多くて。いまの3曲は、2分の明るい曲です(笑)」と語った。

「私の実生活がままならないから、ままならない歌を唄っているのか、それとも、ままらない歌ばかりを唄ってるから実生活がままならないのかは分かりませんが(笑)、私もいつかはままならなくなりたいと思ってますし、たくさんのままならない思いをしないと、特別な誰かに出会えないんじゃないかと思うんです。ままならない思いをしたからこそ、大切な人に出会ったときに大事にできるし、その相手に感情や愛情をしっかり伝えられるのではないかと思います。その、特別な誰かに出会うまでは、ままならない思いを大切に生きたいし、ままならない思いを歌にして届けていきたいと思います」

 「sign」「Distance」「春雪」「ありがとう -Begging of Everything ver.-」と、愛の喪失、そして失恋からの回復をテーマにしたバラードには、聴き手の傷をゆっくりと癒し、絆や感謝の意味を教え、私が私に戻れるような感覚があった。そして、聴き手の過去の恋愛を乗り越えていく様を見届けてくれたJUJUは、ライブ終盤で自身の新しいドアを開いてみせてくれた。インストのファンクチューンに合わせて、女性ダンサーが登場したあと、ニュー・ジャック・スイング寄りのR&Bナンバー「hero #51」、ファンキーなアシッドジャズ「Who’s Gonna Say It’s Not」、ミラーボールがまわったNYハウス「Heart Beat」、スガシカオが作詞、亀田誠司が作曲したダンスロック「星月夜」、そして、高揚感でいっぱいのディスコチューン「Hot Stuff」と、アップテンポのクラブミュージックを立て続けに披露した。JUJUといえば、泣けるラブバラードのイメージが強いが、彼女の音楽的ルーツには、ジャズに加えて、ニューヨーク時代に聞いていたクラブミュージックがある。いわば、10年目にして、改めて自身の原点に返り、素の部分を見せてくれたわけだが、観客も面食らうことなく、総立ちになって、クラップで迎えた。この、歌詞の意味をじっくりと味わうのではなく、自然と体が動いてしまうフィジカルなグルーヴは、彼女が本来持っていた素養であるが、これからの10年に向けた新しい魅力としても受け入れられるだろう。

 アンコールでは、「Hot Stuff ダンスコンテスト」で選ばれた、女性ダンサー6人組のFLASH CREWを招き入れ、クルーとともに再び「Hot Stuff」をパフォーマンス。さらに「10周年の感謝の気持ちを込めて、みなさんに曲を決めて頂きたいと思います」と語りかけ、ステージ上でチケットの半券を抽選で引き、直接、リクエスト曲を募った。この日は、「あのとき、あの人に出会わなければこんなに心が乱されることはなかったのに」というくらい必死で忘れた異性との出会いを描いた「If」と、大人の女性ならではの別れをテーマにした「さよならの代わりに」を披露。最後に、大ヒットナンバーで、いまでは結婚式でもよく使われているというラブバラード「やさしさで溢れるように」を情感たっぷりに歌い上げ、「東京の最高を更新したなって思います。ほんとに楽しかったです。また近いうちにお逢いしたいと思います」と再会の約束をし、ステージをあとにした。

 これからも聴き手の共感を誘うストーリーテラーとしてバラードを歌っていくことは間違いないだろうが、彼女には今回、改めて目をむけたニューヨーク時代の楽曲も同時に追求していって欲しいと思う。すでにジャズアルバムやクラシックのコンサート音源をリリースしている彼女が、11年目の第一歩にどんな新しいドアを開いてくれるのかに期待している。

【取材・文:永堀アツオ】
【撮影:(C)Yoshika Horita】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル JUJU

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リリース情報

DOOR(初回生産限定盤) [CD+DVD]

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2014年03月05日

SMAR

1. ただいま
2. Door
3. くちづけ
4. 春雪
5. 星月夜
6. Hot Stuff
7. Heart Beat
8. sign
9. Distance
10. Who’s Gonna Say It’s Not
11. hero #51
12. ねえ
13. ありがとう -Beginning of Everything ver.-
14. 守ってあげたい
15. Dreamer

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セットリスト

10th Anniversary Act #01
JUJU HALL TOUR 2014 ~DOOR~
2014.6.28@東京国際フォーラム ホールA

  1. ねえ
  2. くちづけ
  3. Door
  4. ただいま
  5. 守ってあげたい
  6. Dreamer
  7. sign
  8. Distance
  9. 春雪
  10. ありがとう -Begging of Everything ver.-
    ~Interlude~
  11. hero #51
  12. Who’s Gonna Say It’s Not
  13. Heart Beat
  14. 星月夜
  15. Hot Stuff
Encore
  1. Hot Stuff(ダンスコンテスト企画)
  2. If(リクエスト曲)
  3. さよならの代わりに(リクエスト曲)
  4. やさしさで溢れるように

お知らせ

■ライブ情報

JUJU 10th Anniversary Act #02
「JUJU JAZZ LIVE 2014 with TAKUYA KURODA QUINTET from NY」

2014/08/22(金)BLUE NOTE TOKYO
2014/08/23(土)BLUE NOTE TOKYO
2014/08/24(日)BLUE NOTE TOKYO
2014/08/26(火)BLUE NOTE TOKYO
2014/08/27(水)BLUE NOTE TOKYO

10th Anniversary Act #03
「JUJU SUPER LIVE 2014 -ジュジュ苑 10th Anniversary Special-」

2014/10/12(日)さいたまスーパーアリーナ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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