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東京カランコロンがクラブに出没!? 場違いだからこそ燃えるバンド魂

東京カランコロン | 2014.08.14

 東京カランコロンがクラブでライブをする“場違いツアー2014「クラブでワンマ ん」”。この日のSOUND MUSEUM VISIONでいよいよファイナルを迎える。一体どのようなものになるのか? ステージ上のスクリーンで流れていたライブ映像を眺めつつ期待に胸を膨らませている内に迎えたスタート時間。まず、登場したのはゲストのDE DE MOUSEだった。ライブが始まり、みるみる内にダンスビートと神々しいシンセサイザーの音像に包まれたフロア。機材類を素早く操作しつつ、多彩なサウンドを魔法のように次々放つ姿を観客は息を呑んで見つめていた。普段のライブならば、人々がエネルギッシュに踊る光景が生まれるのだろうが、この日のムードは独特だったようだ。「みなさん手ごわいですねえ(笑)」と、途中で一旦音を止めて皆に語りかけたDE DE MOUSE。しかし、彼が手がけた「恋のマシンガン(DE DE MOUSE layered syncopation mix)」をプレイした辺りから手拍子をしたり、腕を掲げて身体を揺らす人々が徐々に現れ、終盤では開放的なダンスの輪がフロア全体に広がっていた。

 続いて、東京カランコロンのライブ。オープニングSEはEAST END×YURIの「DA.YO.NE」。ステージに、いちろー(Vo・G)、せんせい(Vo・Key)、おいたん(G・Cho)、佐藤全部(B)、かみむー氏(Dr)が登場した。いちろーがオシャレっぽいキャップとメガネを着用していたり、佐藤全部がジュリアナ東京のイケイケギャルが持っていた扇のような感じでハリセンを振っていたり……これも彼らなりのクラブ仕様なのだろう。そして、「みなさん、踊る準備はいいですか? 始めます。クラブで今晩は。東京カランコロンです!」といちろーが挨拶をして、「フォークダンスが踊れない」がスタート。軽快なビートが自ずと手拍子を誘う。間奏ではいちろーとせんせいがフリを合わせながらダンス。その姿に刺激され、観客も笑顔を輝かせて踊り始めた。

 「泣き虫ファイター」「ハートフルホット」「ワンモアタイムをもう一度」……彼らの楽曲の中でもダンサブルな要素の強いナンバーを一気に披露。ますます盛り上がった後、最初のインターバルとなった。「僕らがこれからやるのは“ぽい”とか“~風(ふう)”しかご提供できません」、いちろーが今日のライブについて説明すると、「お茶しな~い?」とせんせいに絡みだした佐藤全部。唐突なそのチャラい発言も、彼なりにイメージした“クラブっぽい”なのだろう。そして、「僕らのやるのはクラブ入門篇の下(笑)。今日はシュールな社会見学です。みなさんお付き合いよろしく!」といちろーが言い、「It’s more wonder」へ。アンニュイなメロディが響き渡り、観客の身体を穏やかに揺らす。続いて、おいたんの歌からスタートした「J-POPって素敵ね」。大合唱が起こり、会場全体が清々しい昂揚感で彩られていった。

 「これよりメンバーによるスペシャルDJタイムを始めます!」と、いちろーが宣言。ステージから一旦姿を消したメンバーたち。そして、フロア内に準備されていたDJブースにおいたん、佐藤全部、かみむー氏がスタンバイした。「オジサン3人によるDJタイムです。ご自由にお楽しみください!」という挨拶を合図に、テクノ、歌謡曲、国籍およびジャンル不明の謎のナンバー(佐藤全部による選曲)などが流れるDJプレイがスタート。いちろーは、先程まで演奏していたステージ上で団扇を振りながら観客を盛り上げる。そして、終盤で飛び出したのは「恋のマシンガン (DE DE MOUSE layered syncopation mix)」。トラックが流れ始めるとステージにせんせいが登場。瑞々しい声で歌い上げて喝采を浴びていた。

 DJタイムのラストを飾ったのは、アルバム『5人のエンターテイナー』のボーナストラック。メンバー全員でラップをするタイトル不詳のあの問題作だった。いちろーもフロア内のDJブースに合流し、♪4人のおっさ~んと、おいたん、佐藤全部、かみむー氏と一緒にラップ。せんせいはステージで、♪ひとり、おねえさ~んと明るい声を響かせた。そして、その余韻も冷めやらぬ中、ステージに戻ったおいたんがフロアタムを連打。激しいビート、不穏なシンセサイザーのメロディ、♪俺のかーちゃんなに食っても太る?という歌声が響き渡った。なんと『恋のマシンガン』にカップリングとして収録されて物議を醸した怪作「及川爆弾」! やがてフロアタムの連打をストップしてギターを構えたおいたん。「爆弾だ!」と叫んでエフェクターのフットスイッチを踏み、歪みまくったアバンギャルドな爆音を炸裂させた……CDでもとんでもないインパクトだったこの曲。おいたんが忙しく楽器を持ち替えつつプレイする様を目の当たりにしつつ聴くのは一際楽しかった。

 爽やかな手拍子を誘った「少女ジャンプ」。甘酸っぱいメロディを届けた「ひなげし」。2曲を経てインターバル。DJタイムの感想などをメンバー同士で話し合った後、せんせいが観客に語りかけた。「DE DE MOUSEさんみたいなライブを観たことなかったから、初めて観た時は衝撃やった。みんなにも衝撃を感じてもらえたらええなと思ってお誘いしました。みんな、無意識の内に触れてないものもあると思うから、これを機にいろんなクラブミュージックを知ってもらえたらええなと」。いちろーはDE DE MOUSEや企画に協力してくれた会場に感謝しつつ、「集まってくれたみんなが一番すごいと思う」と観客にも頭を下げていた。そんなひと時を経て、再び演奏へ。「恋のマシンガン」「笑うドッペルゲンガー」「16のbeat」が連発され、熱い昂揚感に包まれた会場内。そして、本編を締め括ったのは「true! true! true!」。「このクラブをディスコにして帰りませんか?」と言い、ギターを外して身軽になったいちろー。しなやかにステップを踏み、ファルセットの歌声を響かせる。悩ましげなポーズを決めてエンディングを迎えた時、観客の間から大きな拍手が起こった。

 アンコールのためにステージにまず戻ってきたのはいちろーとせんせい。「いろんな意味で今日のライブはレア。レアついでにライブでやったことがない曲をやらせてもらいます。打ち込みでできてて、バンドでやれない曲を引っ張り出して今回のツアーでやってます」といちろーが説明し、せんせいと一緒に「Darling, Hello?(SZK着メロMIX)」を披露した。トラックに盛り込まれている電話の着信音に合わせて左手を動かす振り付けが可愛らしい。観客も振り付けを真似つつ歓声を上げていた。

 いちろーのかぶっているキャップに描かれている“P”の文字が話題に上り、それがポールスミスの“P”であることが判明し、「パーマンじゃないんやな」と少し残念そうにつぶやいたせんせい。のんびりマイペースに展開したMCを挟み、アンコールのラストに届けたのは「いっせーの、せ!」。いちろーがマイクをフロアの方へ向けると、どんどん高まった観客の歌声。素晴らしい一体感が生まれていた。演奏を終えると、「またね!」と手を振りながら去って行った5人。最後までステージに残っていた佐藤全部が、愛用していたハリセンを観客にプレゼントして終演となった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:福本和洋(maettico)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 女性ボーカル 東京カランコロン

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リリース情報

笑うドッペルゲンガー

笑うドッペルゲンガー

2014年07月16日

avex trax

1.笑うドッペルゲンガー
2.HentekoPop is dead
3.Fake Plastic Trees

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セットリスト

場違いツアー2014「クラブでワンマ ん」
2014.7.29@SOUND MUSEUM VISION

  1. フォークダンスが踊れない
  2. 泣き虫ファイター
  3. ハートフルホット
  4. ワンモアタイムをもう一度
  5. It’s more wonder
  6. J-POPって素敵ね
  7. <DJタイム>
  8. 及川爆弾
  9. 少女ジャンプ
  10. ひなげし
  11. 恋のマシンガン
  12. 笑うドッペルゲンガー
  13. 16のbeat
  14. true! true! true!
Encore
  1. Darling, Hello?(SZK着メロMIX)
  2. いっせーの、せ!

お知らせ

■ライブ情報

聖地巡礼!! 2014
2014/08/17(日)豊郷小学校旧校舎群内 講堂

東京肴公園 ~うドントウォーリー2014~
2014/08/20(水)高松DIME

Clap Your Hands!!
2014/08/22(金)宮崎SR-BOX

WILD BUNCH FEST. 2014
2014/08/23(土)山口きらら博記念公園

RE:MIX 2014
2014/08/24(日)名古屋 DIAMOND HALL / APOLLO BASE

BAYCAMP 2014
2014/09/06(土)神奈川県川崎市東扇島東公園

OTODAMA ’14 ~音泉魂~
2014/09/07(日)泉大津フェニックス

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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