レビュー
amazarashi | 2012.06.13
今年の1月。amazarashi、3度目のワンマンとなる渋谷公会堂でのライヴを観た。オリジナル映像のクオリティがすごい、サウンドとリンクした相乗効果がすごい、唯一無二の楽曲の世界感がすごい……などなど、彼らの前評判、絶賛の数々から、オリジナルの映像とサウンドをリンクさせているという方法論だけにフォーカスすれば、国内外のアーティストで前例もあるので、自分勝手ながら、ライブの様子を予想していた……というのが正直なところ、である。しかしながら実際は、予想を遥かに凌駕するライヴだった。3DCGなどの映像や照明だけでなく、本物のピアノを宙づりにする、異なった映像を重ねるなど、空間を3Dに使った演出にまず驚いた。そして、その演出と迫力あるサウンドで、聴覚と視覚がシンクロするような世界を作り出していた。しかも、そのクオリティ高い斬新なアート性に頼ることなく、どの曲でもボーカルが中心にあり、ライヴ全体を通して、しっかりとメッセージ性とストーリーが感じられた。この“歌詞と歌(曲)の強さ”が、amazarashiの大きな魅力だと思ったし、シーンの中でも、新しい存在だと思ったのである。
この“歌詞と歌の強さ”が、より強烈に感じられるのが、彼らのセカンドアルバム『ラブソング』だ。しかも、これまでの作品群に比べ、世界が広がった印象。昭和中期の演劇に通ずるような、独特のアングラ感を残しながらも、閉鎖感は感じられない。楽曲のバリエーションも含め、外に向かった解放感が新しい魅力になっている。
6月下旬から7月頭にかけて、東名阪のワンマンツアーも控えているamazarashi。前述したライヴのクオリティをキープするだけでも、相当ストイックなツアーになるのでは……と思うが、それでもツアーを慣行するあたりに、バンド然とした意志の強さも感じられる。
表現に対するとてつもない欲求が、個性と実力につながった、じつに貪欲なバンドである。
【文・伊藤亜希】
リリース情報
お知らせ
amazarashi LIVE TOUR 2012
「ごめんなさい ちゃんといえるかな」東京
2012/06/30(土)大阪BIG CAT
2012/07/01(日)名古屋Electric Lady Land
2012/07/08(日)Zepp DiverCity TOKYO
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。