布袋寅泰のアーティスト活動30周年のアニバーサリーイヤーについて、総括インタビューを敢行!
布袋寅泰 | 2012.04.12
今のJ-ROCKにつながるムーブメントが起こったのは、1980年代初頭。なので、このところたくさんのアーティストが“アニバーサリー・イヤー”を迎えている。中でも布袋寅泰のそれは特別だった。音楽シーンにおける彼の活躍ぶりはもちろんのこと、アーティスト活動30周年と50才のバースデーが重なって、アニバーサリーは一大プロジェクトになった。
昨年2月に武道館で行われた「創世記」を皮切りに、5月の「威風堂々」、7月のCOMPLEX再結成を経て、9月からは「一期一会」ツアー、そして「最終章」となる今年2月1日の「WE ARE DREAMER?50 th BIRTHDAY SPECIAL CELEBRATION GIG?」まで、とてもタフな1年間を過ごした。彼はそうしたライブでいつも「10周年も20周年も単なる通過点だったけど、30周年は特別です」と語っていた。それは同時に、布袋の新たな決意の大きさを表わしてもいた。
まずはそのあたりから話を聞いた。
2011/02/01@日本武道館
「とても充実した1年でした。我ながらよくこの過酷なスケジュールをこなせたな、と感心しています(笑)。心身ともに高いモチベーションを保ち続けることができたのは、“自分の為にではなく、誰かの為に”音楽を奏でることへの喜びからだと思います。その誰かとは、この30年間という長い年月に僕を支え続けてくれたスタッフや家族や友人、そして誰よりもこんな天の邪鬼な僕についてきてくれたファンの皆さん。感謝すればするほど満たされる思いが、この30周年を特別なものにしてくれました。
30周年のファイナルには50歳を迎えるということも大きな目標になったかもしれません。それは颯爽と自分らしく、50歳のステージで輝いていたいという強い思いです」。
この記念すべき1年の「創世記」、「威風堂々」、「一期一会」、「最終章」という4つのオリジナル・ライブを共にしたメンバーは、中村達也(ex.ブランキー・ジェット・シティ)、井上富雄(ex.ルースターズ)、奥野真哉(ソウルフラワーユニオン)、中村敦(ex.カッツェ)など日本のロック・シーンを代表するバンドマンで固められていた。しかも、アニバーサリー・ライブのラストのさいたまスーパーアリーナでは、BOØWY以来の盟友であるドラマー高橋まことが登場。バンド・スピリットを貫く布袋らしいキャスティングは、そのまま最高のグルーヴィーなサウンドを叩き出した。
「出会いは運命としか言いようがありません。最高のメンバーと共に自分の歴史を振り返ることができたのは幸運なことです。それぞれ個性的なロックンローラーですから、過去の曲を演奏していてもノスタルジーに浸ることなく、現在進行形のロックンロールを奏でることができたと思います。BEATが活き活きとしていることが一番重要なのです。それはまこっちゃんとの久しぶりの共演にも言えること。もちろん懐かしい思いは溢れたけど、それ以上に彼のBEATと僕のBEATが今も同調していたことの喜びの方が大きかったです」。
2011/05/20@国立代々木第一体育館
とはいえ、最初のプロジェクト「創世記」を行なった直後、東日本は大震災に見舞われた。布袋はその困難に即座に対応して、吉川晃司とCOMPLEXを再結成し、東京ドームでチャリティ・ライブを敢行。信じられないほどのタイトなスケジュールにさらに割り込んだプロジェクトだったにも関わらず、大成功を収め、被災支援に大きく貢献した。しかもセットリストは東京ドームでのCOMPLEX解散ライブと同じという離れ業だった。
「やって本当に良かったと思います。『日本一心』というタイトル通り、復興支援という大きな目標に心がひとつになれた再結成だったからです。震災後、自分にできることは全てやろう、と心に決めたので、迷いはありませんでした。大きな気持ちで自分自身がステージを楽しむことで、きっと音楽の力が伝わると信じていました。21年振りの再結成でしたが、昔のCOMPLEXより強靭な存在であれたことで、多くの人に勇気を与えることもできたと思います。当時のティーン・エイジャーも今は立派な大人。年を重ねることで夢をあきらめたり挫折したり自分を見失ったりすることもあろう中、我々のパフォーマンスを通じて『まだまだ走れるだろう?』というメッセージを送れたと思います」。
2011/12/09@東京国際フォーラム
ここで布袋の1年間をずっとレポートしてきたEMTG MUSICならではの質問をしてみた。昨年2月1日の「創世記」ライブでBOØWYの名曲「DREAMIN’」を“ファンのリードボーカル”をフィーチャーして演奏。が、秋の「一期一会」ツアーでは、「DREAMIN’」を布袋自身がリード・ボーカルを取った。その心境の変化について語ってもらった。
「BOØWYの曲を演るのは今でも抵抗があります。何故なら僕はその四分の一の存在。自分の作った曲だからと言って我が物顔で演るつもりは毛頭ありません。それをバンドのメンバーもファンの皆さんも許してくれるはずがありません。しかし30年の歴史を振り返るときスタートポイントであるBOØWYを忘れられるはずがなく、今回はその中でも僕のギターが特徴的な曲を選曲し演奏しました。演るなら本気で演る。それがBOØWYのメンバーやファンに対する最大のリスペクトだと思います。『DREAMIN’』は今の時代にとって輝きを失うどころか、更に輝きを増す力強い曲だと思います。『夢を追うこと』が今こそ大切だと思う。そんな気持ちを込めて歌わせてもらいました」。
一方、アニバーサリー企画はライブばかりでなく、布袋のナンバーをジャンル・キャリア・レーベル・国境さえも越えたアーティストがカバーしたアルバム『ALL TIME SUPER GUEST』が昨年8月に発表された。今、布袋はこのアルバムを振り返ってみて、どんな思いを抱いているのだろう。
「布袋寅泰というアーティストの幅(自分で言うのもなんですが...)を、参加してくれたアーティストによって改めて再確認することができた貴重な作品です。それぞれの熱演を通じて、色あせることのない意思やスタイル、メッセージが、作者である僕の胸を打ちました。僕の大切な宝物です」。
本当に充実したアニバーサリー・イヤーを成し遂げた布袋だが、今後の活動についてはどんなイメージを抱いているのだろうか。
「50の男が言うのは子供っぽく聞こえるかもしれませんが、『夢を追いかけていきたい』と思います。小さな夢をたくさん集めて、大きな夢に変えれればいい。30年の活動を通して、それを実際体験してきましたから。夢をあきらめた時が終わりの時。だから死ぬまで夢を見ていたい。その思いはティーンエイジャーの時から、何も変わっていません」。
2012/02/01@さいたまスーパーアリーナ
最後に、このビッグイヤーを完走した自分を誉めてもらうことにした。すると、「ハハハ!褒められると調子に乗るタイプなので、やめときます(笑)」。ユーモアとウィットを忘れないロックンローラーは、これからさらに輝くキャリアを重ねていくに違いない。
この6月には指揮者にサイモン・ヘイルを迎えて「GUITAR × SYMPHONY」と題するオーケストラとのライブを行なうことが発表された。布袋の世界に向けての新たな一歩が、ここから始まる。
【取材・文:平山雄一】
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リリース情報
30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY I “創世記”
2011年09月14日
EMIミュージックジャパン
1. OPENING
2. TEENAGE EMOTION
3. LONDON GAME
4. BAD FEELING
5. DANCE CRAZE
6. INSTANT LOVE
7. BABY ACTION
8. RUNAWAY TRAIN
9. SUPER-CALIFRAGILISTIC-EXPIARI-DOCIOUS
10. CLOUDY HEART
11. ROMANTICA
12. PROPAGANDA
13. CRASH COMPLEXION
14. NO MORE LIES
15. RAMBLING MAN
16. GOOD SAVAGE
17. DRAGON CRIME
18. HALF MOON
19. deja-vu
20. LEGEND OF FUTURE
21. C’MON EVERYBODY
22. WAITING FOR YOU
23. MATERIALS
24. DANCING WITH THE MOONLIGHT
25. GLORIOUS DAYS
ディスク:2
1. BE MY BABY (ENCORE 1)
2. DREAMIN’ (ENCORE 1)
3. GUITARHYTHM (ENCORE 2)
4. LONELY★WILD (ENCORE 2)
このアルバムを購入
リリース情報
30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY II “威風堂々”
2011年09月14日
EMIミュージックジャパン
1. OPENING
2. CHANGE YOURSELF!
3. スリル
4. IMAGE DOWN
5. さらば青春の光
6. SURRENDER
7. DIVING WITH MY CAR
8. BLUE VACATION
9. 1994 -LABEL OF COMPLEX-
10. BEAT SWEET
11. PROMISE
12. NOBODY IS PERFECT
13. DEAR FRIENDS
14. サーカス
15. MERRY-GO-ROUND
16. POISON
17. STARMAN
18. サイバーシティーは眠らない
19. ホンキー・トンキー・クレイジー
20. CLIMB
ディスク:2
1. 恋をとめないで (EONCORE 1)
2. DREAMIN’ (EONCORE 1)
3. RADIO! RADIO! RADIO! (EONCORE 1)
4. FLY INTO YOUR DREAM (EONCORE 2)
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お知らせ
布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE
"GUITAR × SYMPHONY"
HOTEI with THE ORCHESTRA 〜World Premiere〜
Powered by MINI ROADSTER.
2012/06/18(月)日本武道館
2012/06/19(火)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。