10周年を迎えた熊木杏里が、デモ音源を配信リリース!

熊木杏里 | 2012.10.01

 今年デビュー10周年を迎えたシンガーソングライター、熊木杏里が新たな試みをスタートさせた。作り手とリスナーが音楽をもっとリアルタイムで楽しむため、また、「そこ」にしかない何かを共有出来たらと、貴重なデモ音源の配信を行なっているのだ。9月1日から毎月2回、書き下ろされたばかりの楽曲をすでに3曲披露。アレンジが施され、正式にレコーディングされる前の音源を耳にすることはなかなかないだけに、彼女のファンサイトを中心にたくさんの反響が寄せられている。

EMTG:そもそもどうしてデモ音源を聴いてもらおうと思ったんですか?
熊木:デモ音源にしかない「何か」があるよねというのはずっと思ってたんです。変にアレンジを加えていくよりも、そのままで結構放ってるものがあるなって。いつか機会があったら……とは思ってたんですが、今回、ファンサイトという場所が出来たということもあって、みなさんに聴いていただくことにしました。
EMTG:その、デモ音源にしかないものっていうのは言葉になります?
熊木:シンプルに言ってしまうと、ちゃんとレコーディングされたもののように、誰かに聴かせるための歌じゃないんですよね。デモは曲が出来てすぐに歌っているので、生まれてきた瞬間そのものの息づかいがあるし、ピアノだってそんなに何回も弾いてるわけじゃないっていう“初回限定感”があふれてるんだと思います。そこに誰がいるわけでもないからとことん己とだけ向き合ってて、純粋に、その歌のワールドを築き上げるために歌ってるものなんですよね。
EMTG:デモ音源って、本人とスタッフの方以外はなかなか耳にすること出来ないですよね。これは貴重な機会です。
熊木:好きなんですよね、デモテープ(笑)。出来上がったときの、出来立て感を自分でも体感するのが好きで、電車の中とかでも結構聴くんです。デモだと声がよく聴こえてくるので、その感じは他の誰でもなく、自分ですらホッとするところもあるんです。誰かの曲を聴くのもいいけど、自分のデモの、ほんとの息づかいみたいなのがリアルに聴こえてくるような生々しさが、それはそれで心地いいなって思うんですよね。
EMTG:ちなみに、録音するときはどういう状況になってるんですか?
熊木:完全に自宅なんですけど(笑)、まずピアノだけ録って、マイクスタンド立てて、窓の方を向いてヘッドフォンして歌ってます。
EMTG:本当に生活の中で歌ってるんですね。
熊木:そうなんです。生活の中から異空間へ自分をワープさせながら歌ってるっていうのと、ちょっとだけ生活感に密着しながら歌ってるっていうのがまたよかったりするんですよね。スタジオでガッツリ集中して歌うんじゃなく、自分のテリトリーの中でのスタンバイで歌うっていうのは、結構面白いんですよ。
EMTG:では、選曲について聞かせていただけますか?
熊木:これまで配信してきたものに関しては、今出来たホヤホヤのもので、ちょっとみんなの反応を聞いてみたいよねっていうモチベーションの歌をみんなで選びました。今後のアルバムに向けて、こういう曲はどうなのかなっていう気持ちもありつつ。
EMTG:その第1弾が、「君だけの一瞬」でしたね。
熊木:この曲はカメラというのがひとつテーマにあって。離れたとしても私の一瞬だけを覚えていてほしいみたいな谷川俊太郎さんの詩があるんですが、映像じゃなく、記憶の中で一瞬だけ存在出来るって素晴らしいなあと思ったんです。そういうことを考えていた時に、ちょうどおじいちゃんが亡くなって。歌詞にもありますが、おばあちゃんにとってその最後の瞬間は死ぬまで残るでしょう? 夫婦じゃなくても、誰かの記憶にピッと残るってすごいことだなと思って、そんなテーマが深く結びついて出来た曲です。
EMTG:「喝采」にはとても強い気持ちが描かれてますね。熊木さん自身の決意のようにも受け取れました。
熊木:ここで言ってるようなことは、結構熊木杏里っぽいなあと思います。自分に喝采を贈っちゃうみたいな、その姿勢が(笑)。でもそうやって頑張って生きてる人はいっぱいいるだろうし、くっそー! って思うこともいっぱいありますよね。いろんな人から言われる言葉にも負けないでいきたい。頑張ってる同世代の女の子に聴いてほしい1曲です。
EMTG:そして10月1日に配信がスタートするのが「幻」。
熊木:ちょっとセンチメンタルな雰囲気なので、人恋しくなるようなこの季節に合わせて聴いてもらいたい曲。いつも思っているようなことを、こういうシチュエーションだったらどうかなというイメージで作ってみたんですが、自分でもなかなか切なくなってきちゃう曲ですね(笑)。
EMTG:「幻」はアコギの弾き語りでも面白そうだなと思ったんですよ。デモだからこそ、聴き手も勝手なアレンジを想像して楽しめるっていう面白さもありますね。
熊木:なるほど! 音がない分、自分の中で勝手にアレンジが出来るっていう。それ楽しいですね、プチ・プロデューサー目線(笑)。ぜひそういう楽しみ方もして頂きたいです(笑)。
EMTG:今後の楽曲についてはいかがですか?
熊木:今のところ出来てすぐのリアルタイムな曲ばかりですけど、昔のデモ音源なんかも聴いていただこうかなあとは思ってます。タイトル聞くだけでビックリするようなものなんかもあるんで(笑)、ひょっとしたら、過去にさかのぼってみるかもしれないです。……かも、ですけどね(笑)。
EMTG:楽しみにしています(笑)。
熊木:だけどこうして曲を届けていくことは、自分自身の活性化にもなりますからね。これからも、次に繋がるものをどんどん発信していくつもりです。
EMTG:今後は、10月31日にライブDVDがリリースされますね。
熊木:今年の5月に渋谷公会堂で行なったものなんですが、10周年記念ということで、一夜限りの内容になりました。いつもは疲労したとか楽しかったって気持ちが残ってるんですけど、あの日は達成感もあったし、「届けるんだ」という気持ちをちゃんと全う出来た時間だったかなと思います。あの日来て下さった方はもちろんですけど、東京まで来れなかった地方の方とかにも、ぜひ見て頂けたらなと思っています。
EMTG:では最後に、12月に行なわれるワンマン・ライブについてもお願いします。
熊木:第一夜が「暖炉の前で」、第二夜は「夜空の下で」というコンセプトで、2日間行ないます。今回のライブは「tapestry」というテーマなんですが、音がひとつひとつ聴こえてくるような感じの小編成でやろうと思ってるんですよね。楽器の一音一音と私の声で歌を縫っていくようなイメージです。配信してきたデモ音源も、ひょっとしたらそのままかもしれないし、何かしらアレンジをしたバージョンになってるかも。そのあたりも楽しんでもらえたらと思いますね。

【取材・文:山田邦子】

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掌(たなごころ)
最近、この言葉とこの言葉はどう違うのかとか調べたりするんですけど。その中で、「掌(たなごころ)」を調べてみたところ、“手のひらの中にある心”というような意味があり。これが、曲になりました。手をつないで、ふれあうことから伝わる気持ちがあるんじゃないかなっていう、そんなテーマの曲です。これもそのうち聞いてもらえると思いますので待っててください。


■リリース情報
- kumaki anri works -
10週年を迎えた熊木杏里が楽曲をそのまま伝えたい、との思いからDEMO音源の配信が決定!!
(毎月1日、15日に追加予定)
QRコード

<<配信楽曲等はこちら>>
■ライブ情報

熊木杏里 10th Anniversary
Xmas concert 2012 〜tapestry〜

1夜 暖炉の前で
2012年12月23日(日)東京 Mt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

2夜 夜空の下で
2012年12月24日(月・祝)
東京 Mt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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