熊木杏里、桜を歌で届けたい
熊木杏里 | 2012.03.02
- EMTG:「Love letter ?桜?」はいつ頃書かれた曲なんですか?
- 熊木:3年ぐらい前だったと思います。桜の歌なので、やはり発表するのは春がいいじゃないですか。それでずっと持っていて、今回ようやくっていう感じです。
- EMTG:どういうきっかけで書いたんですか?
- 熊木:バイバイするつもりはなく疎遠になってしまった人に向けて作った曲なんです。ずっと「どうしてるかな?」とは思ってたけど、ある時その人からの手紙がふと出てきて。それがちょうど、春だったんです。会えないけど、同じ桜をきっと見てるはずだから、この思いが届けばいいなって。近ければ近いほど、「言わなくてもわかってるかな」みたいになっちゃうでしょう?そういう存在の人だったけど、きっとわかってくれてるはずだって信じてる。そういう歌なんです。…そういう、愛の告白の歌。
- EMTG:だから、「Love letter」。
- 熊木:桜の花びらがね、ラブレターのように届けばいいなあと思って。
- EMTG:まだ好きなんですね。
- 熊木:好きですよ。これはもう、ハイ(笑)。
- EMTG:桜の曲はいろいろありますが、熊木さんにとって、桜を題材に曲を書くというのはどういう感覚でした?
- 熊木:これまではあまり桜に思いをっていうことがなかったので、すごく自然にすっぽりと書けたんです。「Love letter」っていうのが最初に浮かんでて、季節的に桜っていうのが出てきたぐらいの感じでしたから、気持ちとしてはむしろ手紙の歌という感覚なんです。
- EMTG:じゃあどちらかというと、カップリングの「桜」の方が桜らしい感覚というか。
- 熊木:そうそう、そうですね。これはコブクロさんのカバーなんですけど、すごく好きな曲で。世代っていうのもありますけど、「桜の花びら散るたびに?」って、今でもふと口ずさんだりしてるんです。今回、「Love letter?桜?」という曲がちゃんと桜の時期にリリース出来ることもあって、歌わせて頂くことにしたんです。
- EMTG:なるほど。
- 熊木:去年って、やっぱり桜もそうですが、空がきれいだなとか、水が美味しいなとか思えなかったでしょう?私も4月に長野県に行ったんですけど、そういうことが全く感じられなかったんです。自粛というのもあったんでしょうけど、人ってそういうものを感じられなくなるんだなあって思いましたね。箭内(道彦)さんと一緒に福島でライブをやった時も、夕陽とか空を眺めることを忘れてたって言う人がいたって話を聞いたんです。人は自然を感じられなくなったら、きっとギスギスするんだろうなって思いますね。私もそうだったし。だって誰かがフッと微笑んでたりすれば、きっとこっちも「あぁ、桜だなあ」とか自然と思うはずなんですよね。自分もそうですけど、今年はそういう気持ちに向かってほしいなあという思いから、このシングルで思いきり桜を届けよう!と思ったんです。
- EMTG:実際、いま全国に歌を届けているんですよね。
- 熊木:はい。沖縄から北海道まで、桜前線とともに北上しながら歌を届けようっていう企画を行なってるところなんです。やっぱり直接歌を届けに行くことで、聴いて下さるみなさんに思いが伝わるといいなあと思いますし、自分もそういうとこからもらうものがいっぱいありますからね。全国に響かせるような気持ちでね、春を、桜を、実感してもらえるように届けたいなと思っているところです。
- EMTG:さて、そのコブクロの「桜」ですが、今回歌ってみていかがでした?
- 熊木:あらためて、すごい歌詞だなと思いました。どういう風に歌っても、ちゃんと歌詞が届くんですよね。どんな気持ちで歌っても、このメロディーには勝てない、この言葉が放ってるものには勝てない。だから、みんなが歌うんでしょうね。コブクロさんはコブクロさん、私は私、あらゆる人の立ち位置によって完成される歌なんですよ。しかも何度歌っても、違う表情になったりもしましたし。いやもうこれは名曲だー!って、本当に思いました(笑)。
- EMTG:そういう曲を歌う場合、自分らしさっていう部分もひとつ課題としてあったのかなあと思いますが。
- 熊木:格闘しましたね(笑)。だけど今回は笹路(正徳)さんという素晴らしいプロデューサーがいたので、笹路さんを信じました。あとは女性が歌う「桜」ということなので、なるべくしなやかな雰囲気で、力強さというよりは愛情というか、優しげなものにしようとは思いましたね。コブクロさんは2人だけど私はひとりなので、孤高じゃないけど、凛とした雰囲気はあったらいいかなあとか。あまりハモったりせず、割とシンプルに歌ってみたのでぜひ聴いてみて下さい。
- EMTG:5月6日には渋谷公会堂で10周年記念のコンサートも行われますね。こちらはどういうものになりそうですか?
- 熊木:デビューして10年ということもありますので、ちょっと思いきった選曲にしようと思ってます。これまでは来て下さるファンの方たちに向けて「これを歌おう」って選んできましたが、今回は自分の中の思い入れが強い曲を歌ってみようと思ってるんです。「これは熊木杏里っぽいな」とか、「がんばります。」じゃないけど「これは書けたな」って思うものを、ラインナップのなかに密かに盛り込んでいこううかな、と(笑)。
- EMTG:「光の通り道?one night road?」というタイトルどおり、スペシャルな一夜になりそうですね。
- 熊木:10年ってこういう感じで始まって、今回の「光の通り道」っていう新しい楽曲につながったんだなあって思えるような流れになればいいなと。体裁よくというよりは、ちょっと私のわがまま聞いて下さいじゃないけど(笑)、こういう曲やりたいです!って気持ちを打ち出して、道を作って見ようかなと思ってます。本当は、一夜じゃ振り返れないのよ!って感じですけどね(笑)。
- EMTG:たった一夜じゃね(笑)。
- 熊木:でもその日は、そしてその瞬間はまた私のなかにもいろんな気持ちが生まれてると思うので、しっかりとみなさんにお届け出来たらなと思ってます。ぜひ、熊木杏里の歌を聴き下さい。
【取材・文:山田邦子】
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