馬場俊英、珠玉のミディアム・ロックチューン EP3「弱い虫」リリース!
馬場俊英 | 2012.11.12
“万人にすごいと思われる人になれなくてもいい。君は今でも十分頑張っているし、しっかり立って歩いていればそれだけですごいことだよ”……そんな想いが込められた馬場俊英のEP3「弱い虫」。今感じていることをすぐ歌にしてみんなに届けるEXPRESS CDの第3弾となる今作は、「平凡」「犬はライオンになりたくない」に続き、馬場俊英らしいあたたかさと繊細さと力強さが詰まった珠玉のミディアム・ロックチューンとなった。カップリングには、湯気の向こうに人生が浮かび上がる「ラーメンの歌」、さらにKAN、佐藤竹善をそれぞれゲスト・ボーカルに迎えてのデュエットソングも2曲収録。沁みて、力が湧き、スペシャルでもある、濃厚な1枚だ。
- EMTG:「弱い虫」は詞先ですか?
- 馬場:詞が先です。以前は曲が先で、それに詞をつけながら作っていくっていうやり方だったんですけど、EXPRESS CDでプロデューサーの須藤(晃)さんと一緒にやるようになってから、こんな歌詞でこんな曲でっていうのをメールでやり取りしてると、どうしても歌詞の話になるんですよ。それでいつのまにか歌詞が決まってから曲をつけるっていう感じになってきましたね。
- EMTG:この「弱い虫」の歌詞には、「平凡」「犬はライオンになりたくない」と共通するメッセージが込められていますよね。“万人にすごいと思われる人になれなくてもいい”“君は君らしく歩いて行けばいいんだよ”っていう。
- 馬場:はい。例えば何か特別なことを成し遂げないと評価されないと思って、頑張って、それがうまくいかなかった時って苦しいじゃないですか。自分はダメなんじゃないかって思ってしまったりもする。でも価値観は1つじゃないし、そんなことで悩まなくてもいいよ、今いる場所を楽しもうよ、っていうようなことを言いたかったんです。昔ね、僕の母親が風邪で寝込んだことがあって。そうなると、うちは男兄弟で、親父も家のことを何もしない人間だから、悲惨なことになるわけですよ。「ご飯は!?」「服は!?」「俺のカバンはどこ!?」みたいな(笑)。で、会社や社会もそれと同じだと思うんですよね。特別じゃないかもしれないけどいろんな役割があって、それで家庭や会社や社会が回ってる。だから、自分の役割を一生懸命やってるだけですごいことなんじゃないかなって。
- EMTG:そういうメッセージってすごく勇気づけられます。世の中には“夢は願えば叶う、頑張れ!”っていう応援ソングがいっぱいありますけど、実際は頑張ってもなかなか思うようにいかないことも多いし、そういう人達にとって“頑張れ、頑張れ”って言われるのは、逆につらいことだとも思うんです。
- 馬場:僕もね、夢がいっぱいあったんですよ。こんなミュージシャンになりたい、みたいな。でもそれは必ずしも今の自分とは同じじゃなくて。僕はローリング・ストーンズが好きだったから、ロックスターに憧れていたんですよ。でも、自分は違うなって途中で気がついて。じゃあ自分には何ができるのか? 自分ができることの最大限をやろう、と。つまり、挫折から始まってるんです。痛みとか悔しさとか虚しさみたいなのがまず最初にある、というか…。それが今のようなメッセージに繋がってるのかなと思いますね。
- EMTG:馬場さん自身が痛みを知ってるからこそ、歌の根底にある目線が泣きたくなるほどあたたかいんですね。で、楽曲的にはミディアムなテンポ感が気持ちいい、全部がサビのような曲…というか(笑)。
- 馬場:そう、どこがサビだかわからないっていう。昔は結構あったんですよ。僕の曲でも「ボーイズ・オン・ザ・ラン」がそういう感じだったんですけど。90年代からは“AメロBメロ大サビ落ちサビ”みたいなのが1つのフォーマットみたいになってきて。僕もやりましたけどね。でも、もっとシンプルだったり、思ったことをザッとやる、ライヴっぽい感じが今の僕の気分ですね。
- EMTG:それは詞先とも関係がありますか?
- 馬場:あるかもしれませんね。なんかもどかしいというか、もう、伝えたいことを早く伝えたい!みたいな。
- EMTG:2曲目の「ラーメンの歌」は、湯気の向こうに人生が浮かび上がるような曲で。これもいいですねぇ。大好きです、この曲。
- 馬場:よかった! 僕も大好きなんです。これは僕のホームページ上で須藤さんと公開往復書簡っていうのをやって、その中で“いろんな歌が作れるね。ラーメンの歌だっていいし”って須藤さんが言った時にパッとこの感じが浮かんできたんですよ。ラーメンって日本人の国民食みたいなところがあって、たいていの人が好きじゃないですか。僕だったらメンバーとお酒を飲んだ後にラーメンを食べて、その時に“今日はこうだったね”とかしみじみ話をしたりして、何か哀愁を感じるんですよね(笑)。で、子供の頃も好きだったし、学生の頃も好きだったし、大人になっても食べてるし、ラーメンがいつも友人のようにそばにいるっていうイメージで作ったんです。
- EMTG:同じ国民食でも、これがカレーだとあんまり哀愁はないですしね(笑)。
- 馬場:あぁ…カレーもかなりいいですけどね(笑)。でもあんまり人生は浮かばないですね。やっぱりつゆがほしいですよね(笑)。
- EMTG:ちなみに、この曲に出てくるのはシンプルなラーメンですけど、馬場さんはどんなラーメンがお好きなんですか?
- 馬場:僕は関東だから、この歌に出てくる感じですね、醤油ラーメン。一回、若い頃に豚骨が出てきて、それまでそういうのを食べたことがなかったので、その時は豚骨に持っていかれたんですけど(笑)。まただんだん醤油に戻ってきましたね。で、この曲は“ラーメン!”って叫ぶところがあるんですけど、今バンドのメンバーとツアーのリハーサルをしてると、なぜかみんなすごい勢いで“ラーメン!”って叫ぶんですよ。ラーメンには一家言持ってる人も多いし、メンバーもやっぱり何かあるんでしょうね?(笑) ライヴでもぜひみなさんに叫んでもらいたいです。
- EMTG:それから、3曲目の「ありそでなさそ」と4曲目の「スーパーオーディナリー」は、KANさんと佐藤竹善さんをそれぞれゲスト・ボーカルに迎えてのデュエット曲になっていますが、今回はデュエット曲をやりたいっていう思いがあったんですか?
- 馬場:きっかけは今年の夏に“オーディナリーナイト”っていうラジオ番組のイベントを大阪でやって、その日用の曲を作ろうってことで作ったのが、4曲目に入ってる「スーパーオーディナリー」だったんです。で、その日のゲストが佐藤竹善さんで、一緒にやったらお客さんにも好評だったし、その日の打ち上げで盛り上がって「これは一緒にレコーディングした方がいい」って話になって、やることになったんですよ。だから、その場のノリで決まったんです。そこから“デュエット”というキーワードが出てきて、だったらもう1曲やったらいいんじゃない?ってことで、「ありそでなさそ」も生まれたんですよね。
- EMTG:「ありそでなさそ」でKANさんと一緒に歌うことになったのは?
- 馬場:KANさんは今年イベントでご一緒させてもらうことが多くて、しかも僕は元々KANさんのファンだったので、頼んでみたら快諾してくださった、という感じですね。
- EMTG:レコーディングはいかがでしたか?
- 馬場:楽しかったです。今回レコーディングもそうなんですけど、二人でハモったり順番に歌ったりして、二人組っていつもこんな感じなのかな、なんか楽しそうだなと思って。やりたくなりましたね、二人組(笑)。
- EMTG:「スーパーオーディナリー」の歌詞には“君はスーパーオーディナリー/そのままですごい人なんだよ”というスレーズが出てきますけど、この一節に今回の一連のEXPRESS CDの核心がギュッと凝縮されているなと思いました。
- 馬場:そうですね。それが「平凡」と繋がって、1つ完結した感じはありましたね。
- EMTG:「平凡」から「弱い虫」までEXPRESS CDを作って、何か気づいたこと、再確認したことはありますか?
- 馬場:今回良かったなと思うのは、EXPRESS CDの製作期間が小刻みにあって常に自分の思ったことを反映させられたので、考えやすかったし、「平凡」から「弱い虫」「スーパーオーディナリー」までのことは40代の制作の大きなテーマになったなって感じています。やっぱり10代20代30代40代でその都度考え方感じ方も違ってくるから、何を表現していいか、僕だけじゃなくてみんな悩むところだと思うんですよ。ある人は60代になっても10代のイノセンスみたいなものだけで行く人もいると思うし。それはそれでいいと思うんです。でも自分はその時々で見ているものをわかりやすく形にしていくんだなって。今回のシリーズでそれが何となくわかった気がしますね
- EMTG:じゃあご自身にとっても今回のEXPRESS CDは有意義だった、と。そんな作品達を引っ提げて、11月9日からは待望の全国ツアーも始まりますね。
- 馬場:はい。今年は春夏にアコースティックのツアーをやらせてもらって、今度のツアーは1年ぶりにバンドで廻るんですけど。去年の冬のツアーは“新しいところに踏み出した自分”を感じてもらうのが一番のテーマだったんですね。でも今回は曲が主役、というテーマでやろうと思ってます。「平凡」から始まった一連のEXPRESS CDの曲をまず聴いてもらって、そこにプラス・アルファしたステージをやりたいと思っているので、楽しみにしていてください。
【取材・文:赤木まみ】
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リリース情報
お知らせ
馬場俊英 LIVE TOUR 2012 〜スーパーオーディナリー〜
2012/11/16(金)福岡イムズホール
2012/11/17(土)堺市民会館
2012/11/18(日)大津市民会館
2012/11/23(金祝)岐阜club G
2012/11/24(土)広島BLUE LIVE
2012/11/25(日)広島BLUE LIVE
2012/11/28(水)東京キネマ倶楽部〈追加公演〉
2012/12/02(日)名古屋市公会堂
2012/12/08(土)NHK大阪ホール
2012/12/09(日)神戸国際会館こくさいホール
2012/12/12(水)渋谷公会堂
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。