毎年恒例? 今春もチリヌルヲワカから新作アルバムが到着!

チリヌルヲワカ | 2014.04.15

 4月…。今やこの時期恒例とも言える、チリヌルヲワカからのニューアルバムが今年も届いた。
 『it』とタイトルされた今作は、一見難解なのだが、非常に親しみやすい音楽性を有した1枚。雅なテイストを擁したメロディと複雑だけどポップで伝わりやすい独特の音楽性、言葉遊びを駆使した歌といった、彼女たちの魅力はそのままに、これまで以上の高い自由度と奔放性を感じる。旧知のエンジニアの新参、合宿でのレコーディング、録る手順の変化等々、新風の導入も多々耳を惹いた今作。早速その辺りをボーカル&ギターで作詞/作曲担当のユウに訊いてみた。

EMTG:ここ何年か、<4月=チリヌルヲワカの新作>ってイメージがあるんです。
ユウ:今年もたまたまこの時期だっただけなんです(笑)。<4月にリリースする>等のこだわりは全くなくて。とは言え、やはり1年に1枚ぐらいは新譜を出しときたいんですよね。で、作っていたら今年もたまたま4月発売になったと。
EMTG:作品に、ツアーに、ファンも毎年この時期、楽しみにしてると思いますよ。ちなみにメンバー各人他にも活動をされてるんで、レコーディングのスケジュール合わせも大変だったのでは?
ユウ:大変でした(笑)。でも、うちらレコーディングもある程度集中して、みんな揃ってガーッと録っていくタイプなんで。今回なんて合宿で、しかも全部で4日間で録り上げたんです。
EMTG:4日で7曲!? それってインディーバンドですよ!!
ユウ:私たちインディーバンドですから(笑)。だけど、こういったスタイルの方が向いてるんですよね。逆に長ければ長いほど、それこそあーでもこーでもないを繰り返しちゃいそうで。結果、とんでもなく複雑で誰も楽しめない作品が出来ていた可能性大ですから。
EMTG:前作が比較的ストレートだったのに対し、今作では再び複雑なポップソングが揃いましたね。
ユウ:前回の『アナログ』は、比較的ストレートな作品になった印象を自分たちでも持っていて。それに対して今回は、また複雑な感じに戻ったかも。まっ、意図せずですけど。あと、今回の楽曲たちはそれこそストレートにやっちゃうと面白味も薄れそうだったし。曲の良さも、こんな感じじゃないと表せなかったと思うんです。
EMTG:逆に自由度は上がりましたよね。分かりやすく、体感しやすく、伝わりやすい複雑さとでも言うか。
ユウ:ヘッドフォンで聴くと非常に面白い作品になったかなって。基本、私たちの2本のギターも、それぞれ左右に音を分けて入れたことで、ギターが2本いる特性や作品ならではの可能性を色々と入れ込めましたからね。その辺りも今作では入れ込みたかったんです。
EMTG:普段のライヴ同様、ギターの夏樹さんが自由に泳ぎ回っているのが印象的でした。
ユウ:自由に泳いでもらいました(笑)。その分、私はコードやバッキングに徹してたというか。
EMTG:<今回こんなことにチャレンジしてみた>的なところがあったら教えてください。
ユウ:エンジニアさんを今までチリヌルヲワカでは組んでない人とやろうというのはありましたね。他にも色々とこれまでになかった新しい風を取り込もう的な話も。さっきも言ったけど、今回は合宿でレコーディングもしたし。
EMTG:今回は録り音が凄く分厚い上に、どことなく温かく、且つライヴ的な臨場感が上手く引き出されてますね。
ユウ:今回は私がGO! GO!7188の時にもご一緒させてもらったし、メンバー各人他のバンド等で一度はお世話になった山口州治さんに、レコーディングエンジニアをお願いしたんです。自分たちの出したい音を口に出さなくても汲みとって一発で出してくれる印象を、山口さんにはメンバー全員が持っていたんで。やっぱり今回のチリヌルヲワカの時も、"そうそう、この音!""この音で録って欲しかったんです!!"の連発でしたから。
EMTG:作品性とライヴのような臨場感が同居したサウンドで驚きました。
ユウ:これまでで最もライヴ感のある作品に仕上がったかなと。今回はいつもみたいに、ベーシックを何日間かで録って、その後、音を色々とその上に乗せていって、最後に歌やコーラスを乗せていくってスタイルじゃなく、1曲づづ録っていったんです。おかげさまで1曲1曲気持ちを切り替えて録ることができて。これまで色々なレコーディングを試してきましたけど、今回のこの方法が私にとっては、最もしっくりきたんです。
EMTG:では、1曲づづ録っていきながらも、4日間で録り終えたと。それには、なおさら驚きました。今回は歌詞にも、どきっとしたり、突きつけられている感じが凄くしたんです。
ユウ:今回も特に誰かに向けてのメッセージではないんです。基本、自分に対する戒めだったり、理想だったりで。今回は私が普段思っていることや、今の現状をわりと散りばめられたかなって。
EMTG:今回も歌詞カードを見ながら聴くと発見が多々ありますね。
ユウ:ホント、歌詞を見ながら是非聴いて欲しいです。わりと漢字で遊んでるんで、その辺りは字面を見ないと伝わらないですからね。歌詞はアレンジとは逆にパッパッパッとは出来ず、時間をかけて作ってますから。
EMTG:「空蝉」の「コスモス」と「宇宙」なんて、歌詞カードで上下に並んで、そのレトリックと奥深さに感心しました。
ユウ:そんな風に至るところに"そうか、そうだったんだ!"って仕掛けを今回もいっぱい用意してます。
EMTG:「逆光」も「陰と陽と」と「inとout」が歌詞では違った言葉に映るけど、歌では近い言葉に聴こえたり。「it」に派生する言葉も実はたくさんあったことに改めて気づいて、国語の勉強にもなりました(笑)。
ユウ:これは色々と「いっと」に関する漢字が挙がったんで、"じゃあ、タイトルは英語の「it」しかないだろう!"と。「いっと」にまつわる漢字が実はこんなにあったのには、私も驚きました(笑)。こんな発見が嬉しいんです。基本、頭悪いのに、こんなことは色々と出てくるんですよね、私。語呂合わせを考えていると、どんどん言葉が出てくると言うか。
EMTG:「アマツカゼ」に至っては歌詞に「→」まで入っていて。「→」が入っている歌詞は初めて見ました(笑)。
ユウ:そういったツッコミを入れてもらいたいんですよね、多くの人に。歌詞は凄くこだわりがあるので、見てもらいたいし、文字面や並びさえもそのまま伝えたいんです。ちなみに同じ言葉をリフレインする歌や歌詞ってあるじゃないですか。私、それが全然浮かばなくて。結局、私、何が歌いたいんだろう、伝えたいんだろうと、自分でも自分の作品を聴き返すと思う時があって。けど、全体的に面白ければいいかなって。そういった意味も含め、何回も楽しめるし、聴く度に発見があるアルバムになったと思います。
EMTG:この『it』を引っ提げて、5月2日からは「ハルチリツアー2014」が始まりますね。
ユウ:今までで一番本数も多いし、ワンマンをやったことがないところでも演れるんで、非常に楽しみです。みなさん是非遊びに来て下さい。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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ビデオコメント

リリース情報

チリヌルヲワカ『it』

チリヌルヲワカ『it』

2014年04月25日

ヤマミチレコード

1.it
2.空蝉
3.印−しるし−
4.スナイパー
5.逆光
6.アマツカゼ
7.針と糸

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ちょうどこの取材の後、髪を切りに行こうと思っていて。久しぶりにボブにしようと、「ボブ」で検索したんです。すると、ボブヘアの中に、ひとつだけ「ボブ・サップ」の写真があって、おかしかったです(笑)。


■ライブ情報

ハルチリツアー2014
2014/05/02(金)名古屋CLUBQUATTRO
2014/05/03(土)梅田AKASO
2014/05/15(木)仙台MACANA
2014/05/16(金)盛岡Club Change
2014/05/20(火)新潟CLUB RIVERST
2014/05/21(水)金沢vanvan V4
2014/05/23(金)松阪M’AXA
2014/05/25(日)福岡DRUMSON
2014/06/06(金)広島ナミキジャンクション
2014/06/07(土)京都磔磔
2014/06/12(木)札幌 COLONY
2014/06/14(土)渋谷CLUBQUATTRO

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