『I’M JUST A DOG』ツアーファイナルをレポート!!
The Birthday | 2011.11.22
新メンバーに ギタリスト、フジイケンジが加入して、アルバム『I’M JUST A DOG』を発表したThe Birthday。そのツアーもいよいよファイナルを迎える。
バンドはフジイを得て、劇的に変わった。チバの歌うメロディがより膨らむようになって、以前 とは異なる色彩が生まれた。一方、ヒライハルキ(b)、クハラカズユキ(dr)、チバのギターとのアンサンブルは、タイト、かつよくスイングするようになって、グルーブに幅が出た。バンドが一回り太く深くなった。そんなThe Birthdayを楽しみに、2011年11月7日、赤坂BLITZにはたくさんの オーディエンスが集まっている。
僕がこのメンバーでの演奏を初めて観たのは、今年の5月12日、渋谷クアトロだった。ステージもフロアもフレッシュなムードにあふれていて、フジイはずっとThe Birthdayを応援してきたファンに、明らかに歓迎されていた。あれからツアーを経て、バンドにどんな変化が訪れたのだろうか。
ステージに現われた4人のうち、まずクハラがドラムを叩き始めた。重い。速い。まるで重火器だ。クハラがスティックで6つカウントを数えて「6つ数えて火をつけろ」に突入だ。セッション色の濃いブルースに、オーディエンスはスムーズに溶け込んでいく。このアクセントの効いたライブのイントロダクションから、The Birthdayが今回やってきたツアーの様子が伝わってくる。瞬間を研ぎ澄まし、4人が硬いカタマリになる。The Birthdayのやり方は変わっていないが、ギタリストが変わることで当然グルーブが変わる。それをライブのスタートで、オーディエンスに伝えるセットリストだ。それにしても、演奏している4人は楽しそうだ。これほど頻繁に笑顔が見られるThe Birthdayのライブは滅多にない。あるいは、彼らはツアー中、ずっとこうして来たのだろうか。
3曲目「ホロスコープ」から、ギアがぐんと上がる。続く「カレンダーガール」で、クハラの重火器がついに火を噴く。♪俺はあの娘抱きしめた♪って歌詞の明るいロックンロール。ギター・ソロで照明が、客席全部を照らす。チバが 「フジイケンジ!」と紹介する。フジイはドラムの前に立って、ソロを取る。オーディエンスは大喜びだ。この光景が全国で繰り広げられてきたのだ。
「また来ちゃった、トーキョー」とチバ。追加公演らしい挨拶だ。チバはサングラスを外してライブを続ける。「愛でぬりつぶせ」など、The Birthdayならではのスリリングなポップチューンの出来がいい。中でも素晴らしかったのは「Red Eye」。フジイはギターをそれまでのギブソン・レスポールからフェンダー・ストラトキャスターに持ち替え、チバはハンドマイクで歌う。パワー・タイプのレスポールに対して、ストラトはエッジーでデリケートな音がする。チバの描く不思議な歌詞の世界を、3人のサウンドが押し広げる。チバのブルースハープ(ハーモニカ)とフジイのギターが交互にソロを取り、そこにヒライのベースが絡む。クハラは相変わらず重火器をぶっ放している。
その時、「ああ、今日はこれを見に来たのだ」と思った。クアトロの時よりもさらにタイトに、華やかに、そしてシャープになっているThe Birthdayを。
そこからの終盤は、ぶっちぎりのスピード感。フジイもヒライもステージの前に出て、観客との距離を詰める。オーディエンスもモッシュ&ダイブで歓びを表わす。シングル「なぜか今日は」、「READY STEADY GO」と、最新アルバムからの曲で本編を締めくくった。
ツアーの余韻を噛みしめるように、アンコールは3回。ラストの「Nude Rider」はチバの速いギター・リフから。最終盤に来て、これでもかとエナジーを見せつける。ビートが速すぎて、オーディエンスは縦ではなく、横に揺れ始める。これが今のThe Birthdayの力。曲の途中で「ツアー24本目。赤坂BLITZに集まってくれて、ありがとね。また会いに来てください」とフジイが叫ぶ。上半身裸のクハラが、渾身のドラム・ソロを決める。そこから再びチバが歌い始める。スリルを充分味わったからこそ訪れるハッピーな気持ちが、オーディエンスを満たしてこの重要なツアーは終わったのだった。
【 取材・文:平山雄一 】
【 撮影:江隈麗志 】
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The Birthday
リリース情報
セットリスト
- 6つ数えて火をつけろ
- Buddy
- ホロスコープ
- カレンダーガール
- シャチ
- 2秒
- 愛でぬりつぶせ
- SATURDAY NIGHT KILLER KISS
- LUST
- 爪痕
- SとR
- Red Eye
- プレスファクトリー
- OUTLAW II
- シルエット
- 涙がこぼれそう
- なぜか今日は
- READY STEADY GO Encore 1
- ALRIGHT
- BABY YOU CAN Encore 2
- ローリン Encore 3
- Nude Rider