The Birthdayという名の生きる証を存分に感じた一夜
The Birthday | 2012.05.07
4月14日の広島CLUB QUATTROを皮切りに、16日の名古屋、18日の渋谷、20日の梅田と、全国4ヵ所のCLUB QUATTROをまわるツアー『Quattro×Quattro Tour’12』に出たThe Birthday。
このツアーは、言うまでもなく、素晴しく熱いモノとなった。
参戦したのは18日の渋谷。19時の開演直前には、会場の後ろの扉が閉まらないほどの人数がそこには集まっていた。いやいや、無理もない。The Birthdayで800人を最大動員数とするこのハコは狭過ぎる。とにかく、直立不動で立っているだけのギリギリのスペースしかない。
19時2分。4人がステージに姿を現した。ど頭から驚くほどの熱がフロアから沸き上がった。一瞬の出来事だ。
ヴォーカルのチバがマイクを通して“オ?ライ!”と、野太い声で気だるく挨拶をすると、その曲は始まった。1曲目は「ROKA」だ。一週間まえにリリースされたばかりのこの曲を1曲目に選ぶとは。隙間なく音の上に声をのせていくチバ。オーディエンスは右手を高く上げ、4人が放つ音に全身でぶつかっていく。普通、ライヴが始まってステージにオーディエンスが押し寄せると、たいていは少し周りに余裕が出来るモノだが、この日はオーディエンスが前に詰めかけても、立っているだけでギリギリのスペースは変わらなかった。そう。それだけマックスの人数がそこに居たということだ。
一昨年、フジイケンジを新メンバーに迎え、新たなスタートを切った彼らだが、加入から約1年半が経とうとしている今、4人の音はThe Birthdayというリアルな感情として、全身全霊の熱をフロアに届けたのだ。衝動がぶつかり合う空気を感じた。
ご機嫌なリフがロールする「ホロスコープ」。グルーヴィさの中に存在する絶妙な間がバンド魂を感じさせる。この曲では早くもフロアにモッシュが起こった。
バンドとして、最高のリレーションを感じたのは「SとR」。ベースからギターへ。そしてドラムへと最高の流れが繋がれ、フジイもギターソロを響かせる。最高にエモーショナル。
「兄貴! 最高!」
そんな声が飛び交う中、柔らかで、どこまでも優しいメロがフロアに広がった。届けられたのは「マディ・キャット・ブルース」。タワーレコード30周年を記念した限定シングルとしてタワーレコードのみで販売された楽曲だ。たまらなく好きな曲であるというのはまったくの個人的感情であるのだが、胸の奥が綻んでいくのが解る感覚を知れる曲。この曲にフロアは真っ直ぐ向き合った。荒くれ者のラブソング。最高にカッコイイ時間だった。
そんな優しく柔らかな空気を漂わせた彼らは、その後、一人ひとりが逆光で照らされながら最高のバンドサウンドをくれた。「LOVERS」だ。フジイ、ベースのヒライ、ドラムのクハラ、そしてチバの音と声が絡み合いながらゆっくりと進んでいくこの曲。オーディエンスは吸い込まれるように真っ直ぐステージの4人を見つめ、ゆっくりと体を揺らし、その音に身を任せた。勢いだけがロックじゃない。そんな本当の意味でのロックを、彼らはこの日もじっくりと教えてくれた。
本編の後半では、フジイの加入後初の作品となった、4月にリリースした「なぜか今日は」を届けた彼ら。鮮やかなこの曲の色にオーディエンスのクラップが加えられると、楽曲はより鮮やかさを増していった。綺麗だ――。とても綺麗な光景だった。
「最高に楽しいもんね」(チバ)
めったに喋らないチバがつぶやいた。思わず口をついた言葉。本音というやつだろう。そんなチバの一言にフロアは轟音のような歓声を返していた。
そして、アンコールでは、6月13日にリリースの「さよなら最終兵器」を早くも披露し、オーディエンスを喜ばせた。
「もういっぱつ!」(チバ)
鳴り止まぬアンコールに、再びステージに現れた彼らが届けてくれたのは「ローリン」。チバはギターを置き、ハンドマイクで、ハープを加えながらこの曲を届けた。全身で躍りまくるフロア。最高のロックンロール。
がむしゃらながらも、艶やかな感情。真っ直ぐにぶつかって生きる素晴らしさを教えてくれた時間。最高の生き様を見せてもらった。
素晴しく熱く、素晴しく艶やかでがむしゃらな、素晴しく最高なロックンロールをありがとう!
【取材・文:武市尚子】
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リリース情報
セットリスト
- ROKA
- ホロスコープ
- Buddy
- SとR
- マディ・キャット・ブルース
- SATURDAY NIGHT KILLER KISS
- PARTY PEOPLE
- ビート
- LOVERS
- あの娘のスーツケース
- Red Eye
- I’m just a dog
- 春雷
- なぜか今日は
- OUTLAW?
- 泥棒サンタ天国
- YUYAKE
- 涙がこぼれそう
- READY STEADY GO
- さよなら最終兵器
- BABY YOU CAN
- ローリン
お知らせ
QUATTRO MIRAGE VOL.4"SHIBUYA Comes Alive!"
2012/05/30(水)SHIBUYA CLUB QUATTRO
JOIN ALIVE
2012/07/22(日)いわみざわ公園
『Planet"Kyu"2012 in KITAMI』
2012/07/20(金)北見市・端野町公民館
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。