レビュー
ACIDMAN | 2014.07.17
ACIDMAN
「Stay in my hand」
大きな哀しみを歌え!
めっちゃスピード感のある哀愁ロックだ。哀愁といっても、ACIDMANのことだから、ベタベタにウエットな哀しさではない。思えば彼らの代表曲「赤燈」も、クールな哀愁をたたえていた。ただ「赤燈」に比べると、今回の「Stay in my hand」はもうちょっとウエットだなと僕は感じた。
その原因は、オオキ ノブオの声にある。サビの♪Stay in my hand♪の部分のシャウトは、いつになくエモーショナルだ。ACIDMANは、ずっと「宇宙」や「生命」という壮大なテーマを歌ってきた。なので、このバンドの音楽に在る感情は、いわゆるベタなものではなく、どこか乾いていたように思う。だから「Stay in my hand」を初めて聴いたとき、やや違和感を持った。同時に、ついにこの領域に踏み込んだかという感慨があった。
人は大きな視点に立つと、今まで見えなかったものが見えてくる。それは“知”に属する最大の価値だ。一方で、自分のことだけを思うことで、人間は高いモチベーションを得ることができる。
わかりやすく言えば、宇宙の視点に立って地球のことを考えることでより良い未来に気付くが、それを実現するにあたっては“今日の自分の暮らし”を基準に置いた方がやる気が出るということだ。
僕はオオキの「Stay in my hand」のボーカルに含まれる個人的な感情の量が増えたことを歓迎したい。それは彼の中で、“世界”と“自分”との距離が、確実に近くなっていることを表わしている。
この世にラブソングはたくさんある。その中には超個人的な小さな愛を歌うものと、人類愛のような大きな愛を歌うものがある。それと同じく、もし“サッドソング”=哀しみの歌というジャンルがある なら、小さなサッドソングはたくさんあるが、大きなサッドソングはあまり聴いたことがない。
ACIDMANは「Stay in my hand」で、大きな哀しみを歌うバンドに一歩近づい た。おそらく、今後のACIDMANのオリジナリティは、この方向に突き進んでい くように思う。
【文:平山雄一】
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