自称 “歌謡エレクトロ” JUJUが届ける大人ならではのラブソング

JUJU | 2011.04.05

 ロングヒットとなった「この夜を止めてよ」に続くJUJUのシングルは、「さよならの代わりに」。アップテンポで胸を締め付けるほど切ないこのポップチューンは、JUJUの新しい代表曲になりそうだ。まさに“オトナのラブソング”といえる歌詞の話は本人にじっくり話を聞くとして、グサリと耳に刺さるのは、彼女のウルトラ・ハイトーン・ボイス。声を自在に操る実力者のJUJUではあるが、それにしてもギリギリの快感を味あわせてくれる。

 カップリングのバラード「願い」は、映画『犬とあなたの物語 いぬのえいが』の主題歌。さらには昨年デビュー20周年を迎えた至高のシンガーソングライター、槇原敬之の「もう恋なんてしない」のカバーも収録されている。2011年のJUJUはさらに充実したボーカル・パフォーマンスで音楽ファンを楽しませてくれそうだ。


EMTG:「さよならの代わりに」を最初に聴いたとき、あまりに人間離れした高い声で歌ってるんで、“隠れ体育会系”の歌だなと思った(笑)。
JUJU:そうなんですよ。手に汗握るレコーディングでした(笑)。
EMTG:あれは作曲&アレンジのジェフ・ミヤハラさんの要求だったのかな?
JUJU:彼と仕事をしていると、「なぜそこまで出すのか」って思うこともありますが、キーを下げると確かに歌の聴こえ方が変わるんですね。で、「この歌にはこの声がいい!」と思う声で歌わせるのがジェフさんの仕事。彼と作るたびに、自分でも聴いたことのない声が出るんですよ。「私ってこんな声が出るんだな」って思ったり。そういう意味では、いつもレコーディングで“見たことのない景色”が見えます(笑)。
EMTG:“見たことのない景色”って、すごいね(笑)。
JUJU:あは。この曲はそれこそ走り込みとかして、腹筋と背筋を強化しないと歌えません。よかったら、みなさんも歌ってみてください。
EMTG:(笑)いやぁ、JUJUさんにそこまで言われたら、オリジナル・キーでこの歌のカラオケに挑戦しがいがあるかも。
JUJU:でも、心が折れると、この声は出ない(笑)。だから「私には出る」って思えるまで歌いました。難しかったです。
EMTG:やらせるジェフさんも大変だったろうね。
JUJU:彼は絶対に妥協しない。というか、やってるうちに新しいアイデアがどんどん出て来るタイプなので、レコーディングは楽しかったです。
EMTG:それが楽しいって、やっぱり“隠れ体育会系”だ。
JUJU:そのとおり!
EMTG:(笑)しかも「さよならの代わりに」は、意外にもアップテンポの曲ですね。
JUJU:元々、クラブ・ミュージックが好きなので、アップテンポは好きなんですけど、私がアップテンポをやったらどうなるのかっていうシングルのコンセプトがあって。
EMTG:「さよならの代わりに」は確かに切ないアップチューンだけど、バックのシンセが妙に生々しくて悲しかった。
JUJU:あれは、コンピュータじゃなくて、私の前のライブバンドのリーダーが、手で弾いてくれたんです。
EMTG:そうか、それでエレクトロみたいだけど、聴いててどこか悲しいんだ。
JUJU:そうなんです。自分では「さよならの代わりに」を“歌謡エレクトロ”って呼んでます。
EMTG:それ、分かる!(笑) 歌詞は歌謡っていうか、相当オトナなラブソングだよね。
JUJU:そうですね、オトナにしか分からないリリック。付き合いが長くなってしまった男女が、結婚しなくて楽なんだけど、もしかしたら別れたほうがいいのかもしれない。嫌いにはなってないけど、このままだと自分がダメになるかもしれない。オトナだったら、一度はそんな恋愛をしたことがあると思うんですよ。もしこの歌を小学生から「分かる」って言われたら、「マジで?」ってなりますよね (笑)。
EMTG:そりゃそうだ(笑)。
JUJU:ある程度、オトナになって、お互いのために別れる。最初はすがすがしく話してても、いざ具体的な別れ話になると、たいてい男の人が崩れて号泣する。
EMTG:えー、そうなの?!
JUJU:そうなんですよ(笑)。で、女の人は悲しいものにはしたくないから、♪いつもみたいに 微笑って~ 最後のキスは かなしいキスでいい♪って歌う。自分的には、悲しいキスのほうが“次”に進めると思うんです。
EMTG:なるほど・・・って、怖いなあ。
JUJU:ダイエットとか禁煙みたいなもんですよ(笑)。
EMTG:こ、こえー(笑)。
JUJU:自分でもこういう恋愛に思い当たるフシがあったから、面白かったです。
EMTG:(笑)カップリングの「願い」は?
JUJU:こっちは、“世の中が思うJUJU”っていうタイプのバラードです。「いぬのえいが」の主題歌なので、ボーカル・ブースの中で昔飼ってた犬のことを思い出して泣いちゃいました。今、猫を飼ってるんですけど、死んじゃったらどうしようって思ったり。
EMTG:こっちは“隠れ体育会系”の反対だね。
JUJU:違った意味で難しかったですね。アレンジの島田昌典さんとのボーカルレコーディングは初めての仕事だったんですけど、歌を2回録ったんです。あんまりないことですね。どの歌がいいか選ぶ基準が、私とまったく違う。正確さよりも、“生々しさ”で選ぶ。それも面白かったです。
EMTG:もう1曲の「もう恋なんてしない」は、槇原敬之の名曲カバーだ。
JUJU:槇原さんの歌は子供の頃から好きで、さわやかなのに心をきゅっと掴まれるような気持ちがして、よく聴いてました。中でもこの歌は、ワシ掴みされてました。で、オトナになってから歌ってみたら、また違う感じになったりして、年齢によって思い出がたくさんある曲です。もっとジャズっぽく歌うやり方もあったんですけど、今回、私の心境的には初めて聴いた中学生の頃の気持ちで歌ってます。

【 取材・文:平山雄一 】

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リリース情報

さよならの代わりに/願い

さよならの代わりに/願い

2011年04月06日

SMAR

1. さよならの代わりに
2. 願い
3. もう恋なんてしない
4. さよならの代わりに -Yasutaka Nakata Remix-

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