音楽コンシェルジュ、ふくりゅうが月に一度だけママをつとめる都内某隠れ家スナック。2020年要注目のアーティストを迎えてお届けする、ゆるふわ酒呑みトーク。記念すべき第1回目は3人組バンド、アイラヴミーが登場。切なさに寄り添う歌詞の魅力やロック色強いグルーヴ感溢れる楽曲&ライブに注目です。
ふくりゅう
いらっしゃいまし。チーママがまだなんでハイボール作れないから、今日はビールしかないけどいい?
さとうみほの
えっ、あ、ビールで!
野中大司
じゃあ、僕も。
井嶋素充
同じく。
ふくりゅう
3人はお酒好きなの?
野中大司
めっちゃ呑みます。
ふくりゅう
あ、酔ってたよね、先月もここで(笑)。
井嶋素充
大司さん、呑みすぎちゃうところがあるんですよ(笑)。
ふくりゅう
じゃあ、ビール継ぎ足しておくね。あ、違う銘柄だった(アサヒからキリン)! ……お、美味しいよ(笑顔で)。
さとうみほの
えっ、うそつきぃ(苦笑)。まぁ、いいですけど(笑)。
ふくりゅう
ははは。アイラヴミーってさ、バンド名がまたいいよね。自己肯定感がキーワードな時代にピッタリくるっていうか。
さとうみほの
嬉しいです。私たちがやりたい音楽を伝える上で大切なキーワードでもあります。
ふくりゅう
2020年代の音楽って曲の良さだけじゃなく、社会的意義であったりメッセージ性って大事だよね。
野中大司
グラミー賞が先日ありましたけど、海外のアーティストとか、その辺を特に大事にしてますよね。
井嶋素充
ビリー・アイリッシュにもそんな要素を感じています。
ふくりゅう
アイラヴミーの前作「でも生きている」のミュージックビデオや、リリースしたばかりの最新シングル「答えを出すのだ」のジャケット写真とかリスペクトを感じるよね。
さとうみほの
ビリーちゃん、すごい好きなんです。影響は受けていますね。
ふくりゅう
そっかぁ。んじゃ、ここスナックなんだけど、なんか聞きたいことある?
井嶋素充
えっ、突然。
野中大司
スナックって良くわからないんですよ。人生相談とか?
さとうみほの
う~ん、私は“言いたいことを我慢する癖がぬけない”かな。
ふくりゅう
それはもうずっと?
さとうみほの
そう。我慢しちゃったり、言いたいことがあっても人に言うのを諦めちゃうんですよ。
ふくりゅう
でも、それが曲になるんでしょ? 創作への必要なスイッチなんだろうね。
さとうみほの
うん、そう、曲になる(笑)。
井嶋素充
解決した(笑)。すげぇなスナック。
野中大司
答えが出たね(笑)。
ふくりゅう
そうそう、アイラヴミーの新曲のタイトルが「答えを出すのだ」っていう。
さとうみほの
お、うまい!
ふくりゅう
しかも、2月度NHK『みんなのうた』への書き下ろし曲でしょ? 米津玄師「パプリカ」や嵐「カイト」で話題のタイミングだし、すごいことだよね。「答えを出すのだ」、歌詞におけるテーマ性も世代を超えて刺さる感じがとてもいいよね。
さとうみほの
嬉しいです。学生の時には先生がいたじゃないですか。問題を出してくれて、その問題には必ず正解もあって。答案用紙に答えを書けばよかった。でも、いまは、違うんですよね。先生はいないし、自分の人生は自分で問題を出して、自分で答えを出していかなければいけないっていう……。
ふくりゅう
なりたい自分になるためには、自分で考えて動かないといけないもんね。
さとうみほの
先の見えない時代において、みんなの応援歌になれたら嬉しいです。
ふくりゅう
あ~、すごいよくわかります。実際、勉強においてもなんだけど、自分で問題を作れるようになって一人前というか、その上で答えの選択肢を導き出せるか、そして答えを導き出せる決断力を持てるかが生きていく上でとっても大事だよね。
さとうみほの
そうそうそう、そんな歌なんです。
ふくりゅう
野球選手のイチローさんがかつて言ってた言葉で“自分自身がコントロールできないことは気にしない”みたいな発言があって、おいらが生きる上でとても指針になっていて。その上で、自分の人生を自分自身で選択肢を作って選んで、答えへ向かって突き進んでいくことって大事ですよね。そんなことを教えてくれるアイラヴミーの「答えを出すのだ」は、2020年を代表する大名曲の誕生を予感させるね。
さとうみほの
わぁ、ありがとうございます。ほんと嬉しいです。
ふくりゅう
季節柄、卒業ソングにも受け取れるよね。そのために書いた曲じゃないと思うけど。
井嶋素充
あ~、卒業関連のプレイリストとか入れて欲しいですね。
野中大司
たしかに。
さとうみほの
歌詞は、何かを決断するという場面に出くわした時に思いつきました。自分で答えを決めるのが苦手で怖かったんです。勇気も必要だし、誰かを傷つけてしまったら嫌だし、自分も傷つきたくないし。先延ばしにするクセがあって。
野中大司
それって、誰もがそう思う時があるよね。
さとうみほの
そんななか、引き延ばしすぎたら逆にだれかを傷つけてしまうってことに気づいた瞬間があって。それで、高校時代を思い出したんです。あの頃はテストでも問題を出されて、それに答えていればバツかマルかがはっきりして。テストも点数が出て、今思えば楽だったなって。でも、学校じゃないし、先生もいないし、自分で問題を作って答えて前に進んでいかなきゃいけないんだなって。それで、誰かを傷つけてしまうことや自分を傷つけることがあるかもしれないけど、答えを出そうって思いきりました。
ふくりゅう
一歩踏み出したんだね。
さとうみほの
その瞬間、世界がキラッとしたっていうか背筋が伸びたんです。別に答えを出さずとも生きてはいけると思うんだけど、なりたい自分ややりたいことがあるなら、自分で選択していかないといけないんだなって。
井嶋素充
選択することでワクワクすることにも出会えるよね。
野中大司
意思を持つってことだね。
ふくりゅう
選択って間違えることがあるかもしれないけど、日々問題を作って選択して答えを出し続けていくことは、必ずや成長に結びついていくと思う。わかるわぁ。あ、ビールが空だね(缶ビールを開けて注ぐ!)。
さとうみほの
あ、また違う銘柄のビールを継ぎ足された(苦笑)。いや、もともと混ぜられても気にしませんけど(笑)。
野中大司
ブレンドだ(笑)。
ふくりゅう
美味しくなあれ(手でハートマークを作りながら)!
井嶋素充
ははは(苦笑)。
ふくりゅう
サビの“私が私に問題を出して 私が私に答えを出すのだ”ってフレーズがいいよね。グッとくるね。酒が進むよね。あれだよ、宇宙イチのやきとん屋、東十条 埼玉屋の一品目に出てくるアブラ(牛のリブロース)並みのパンチラインだよね。だって、やきとん屋なのに最初に牛肉が出てくるんだよ。「答えを出すのだ」はそのぐらいインパクトのある曲だよね。
さとうみほの
褒められているのかしら(笑)。
井嶋素充
ふくりゅうさんは、褒めているんだと思うよ(笑)。
ふくりゅう
それが、歴史あるNHK『みんなのうた』として全国区でオンエアされるのは嬉しいことだよね。
さとうみほの
アイラヴミーのことを知らない人にも知ってもらえたら嬉しいです。
ふくりゅう
アイラヴミーとして優しいタイプの曲だと思うんだけど、サウンド面でのこだわりは?
さとうみほの
これまでキーがDの曲ばっかり作っていたんですけど、はじめてドレミファソラシド、Cの曲を作りました。これも挑戦でしたね。サビ高すぎて自分に怒りました(笑)。
野中大司
あ、Cだとピアノだと白い鍵盤だけで弾けるんだ。
さとうみほの
そう。で、サビが高いから何回泣かされたか(苦笑)。
井嶋素充
いい曲なんですよ。歌詞が言いたいことを言ってくれているというか。
さとうみほの
メンバーがそう言ってくれるのは嬉しい!
野中大司
いい曲ができたよね。
さとうみほの
でも、ほんと大変な曲でした。この曲はほんとビンタしたいぐらい大変でした(苦笑)。いや、叩かないけど(苦笑)。
井嶋素充
それぐらいね、思い入れが強い曲が完成しました、ということで。
野中大司
おれ、ここ好きなんだよね。
さとうみほの
どこ?
野中大司
すごいアイラヴミーらしいところがあって。“みんなが幸せだと思うことが 私にとっても幸せとは限らない”っていう。
さとうみほの
うん、そうだね。
野中大司
みんなそれぞれ思っていることや考えていることはあるけど、強要してはいけないんだよね。このワンフレーズがあるところがアイラヴミーらしいよね。
ふくりゅう
なるほどね。アイラヴミー「答えを出すのだ」に注目だね。
さとうみほの
ぜひ、聴いてみて下さい!!!