音楽コンシェルジュ、ふくりゅうが月に一度だけママをつとめる都内某隠れ家スナック(※コロナ禍なので“というてい”でお送りします!)。2020年要注目のアーティストを迎えてお届けする、ゆるふわ酒呑みトーク。第7回目は、2020年10月7日にリリースされたシチズン クロスシーCMソング「Every One Minute」が話題のソングライティングデュオ、モノンクルに注目です。平仮名“ものんくる”表記から一転、カタカナ表記へリニューアルした2人。きらびやかなポップセンスと掛け合わされるジャジーな音楽的素養の奥深さ。来年2021年1月16日にはBillboard Live YOKOHAMA、2月22日にはBillboard Live OSAKA公演も決定した、勢いにのっているモノンクル。どんな想いで音楽活動をされているのか、お話を伺ってきました。
ふくりゅう
いらっしゃい~。
吉田&角田
こんばんは!
ふくりゅう
わあ、アンドロイドのようなレトロフューチャーな雰囲気の(新曲「Every One Minute」のミュジージックビデオのイメージ)モノンクルのお2人が来ると、スナックなのになぜか洒落たBARのような雰囲気に変わるね。
VIDEO
吉田&角田
あはは(笑)
吉田
ミュージックビデオでの未来っぽい建物は、伊東のハトヤホテルなんですよ、実は。
ふくりゅう
えっ、そうなんだ。意外! あ、50年代や60年代とかの未来感なのかな。なにより新曲「Every One Minute」がめっちゃよくって。あ、まず何か呑む?
角田
オーダーまだでしたね。コロナ禍以降、ラムパンチを呑むようになって。
ふくりゅう
えっ? ラムパンチというお酒がこの世にあるの? ファンタのフルーツパンチしか知らないぞ。
角田
お酒のラムにオレンジとかフルーツを漬け込んでおく南米の梅酒みたいなものです。家で飲むのが好きになりましたね。
ふくりゅう
おしゃれだわ。さすがモノンクル、平仮名からカタカナ表記へリニューアルしただけあるわ。
角田
ははは(笑)。ラムを買ってきて、ドバドバとツボかなんかに入れて1週間ぐらい寝かせたら完成するんです。もともと甘いお酒とか飲まなかったんですけど、自粛期間になってひとりで家にいると延々と仕事をしてしまうので、リラックスの切り替えで呑んだり。
吉田
おしゃれ男子だよね。
角田
ひとり呑みだと焼酎呑んでつまみ食べてって感じじゃなくなったんですよね。甘いお酒をちょっと呑んで、寝るぐらいな感じがよくて。
吉田
わたしはお酒弱くて、そんなに呑まないんですけど。特に好きなのはアマレットですね。烏龍茶で割ってレモン入れるんですよ。五反田に好きな美味しいイタリアンがあって。私はそこでしか見たことないんですけど、イタリアン・アイスティーという名前のアマレットベースのカクテルがあるんです。
ふくりゅう
お洒落だわ。しかも自然すぎて一切嫌味にならないのがさすがモノンクル。世界観を持っているよね。じゃあ、お酒を用意したという“てい”で、乾杯!
角田
“てい”でね(笑)。時代ですねえ。
ふくりゅう
なんとも世知辛い時代になったもので……。ちなみに、好きなおつまみは?
吉田
わたしあれだな。砂肝の山椒煮ですね。知り合いのBARで出しているもので。好きです。
角田
最近は自宅呑みなのでつまみ無しが多いですね。(視線に気がつき)あ、一品オーダーしないとダメなお店ですか?
ふくりゅう
ふふふ(笑)。そうだね、一品オーダーしてちょ。
角田
じゃあ、お新香ください(笑)
ふくりゅう
ほい。そもそもモノンクルを最初に知ったのはアルバム『世界はここにしかないって上手に言って』を新宿タワレコの試聴機で知ってCDを買って。「透明なセイウチ」、「空想飛行」という曲が好きでよく聴いていて。ちなみに、なんでモノンクルはカタカナ表記になったの?
VIDEO
角田
これは(吉田)沙良の思いつきだったんです。
吉田
ひらめきです! ひらがなの“ものんくる”ってなんだか丸い印象で。音楽を聴いていただけたらやっていることをわかっていただけると思うんですけど、聴いていただくまではふんわり男女ユニットな音楽性なのかなって思われるのかなと。
ふくりゅう
ああ、たしかにね。和というか“くるり”っぽいもん。あ、ちょっと違うか。
吉田
ひらがな表記も好きだったんですけど、さっぱり髪を切りたくなったような気持ち? イメチェンでした。
ふくりゅう
ちなみに、モノンクルの人柄を知りたいので、お互いがお互いを紹介してもらってもいい?
吉田&角田
お~(笑)
角田
さっきの話とも繋がってくるんですけど、沙良はひらめきの人で。感性の人なんですよ。なので急にポンと面白いことを言ったり。いいアイディアが降ってきたりする人ですね。逆にいうと、そう出ないときもあって。そんな時はずっと寝ているかのようなね(笑)。
吉田
ははは(笑)。冬眠?
角田
現実的にじゃなくてね(笑)。なんかボヤッとしていることが7割ぐらいあるよね。
吉田
けっこうあるな(苦笑)
角田
他の3割で活躍するタイプの人間ですね。
吉田
ギリギリですね(苦笑)
角田
音楽面では日本語の歌詞を伝えられる力を持っている人ですね。かつ、裏付けされたたしかな歌唱力がある。
吉田
すごい、褒めてもらえた。どうしよ~かな。角田さんはすごい音楽人ですね。常に新しいことを取り入れてチャレンジされてますね。機材とか、あ、また買って、また売ったみたいな。サイクルも早いんです。ずっと起きてから寝るまで音楽の人なんです。ゼロから創作する能力が強い人ですね。わたしはそれを広げていきたい人なので、モノンクルはバランスがとれているなって思っています。
角田
沙良、機材にはこだわらないもんね。あるものでやる、みたいな。
吉田
そうだね。あ、でも、レコーディングでいいマイクを見つけて買っちゃいました。大事に使っています。
ふくりゅう
沙良さん、「Every One Minute」でもとてもヴォーカリゼーションが繊細で。聴くたびに新たな発見があって。
吉田
ほんとですか。コーラスとか自分で入れているので、カラーバリエーションはあるのかな。
角田
ニュアンスの付け方など気にしているもんね。
吉田
そうかも。最近は家で録るので、普段のリラックスした自分の感情を表現しやすくなっていますね。スタジオとはまた少し違うかも。
ふくりゅう
今回リリースした「Every One Minute」はモノンクルとしてもカタカナ感を強く感じるというか。カタカナ表記になったことでポップアーティストとしてギアを上げていくのかな、なんて思ったり。ジャジーな枠組みを颯爽とダンサブルに突き抜けた「Every One Minute」を聴くとなおさらに。
角田
ああ、そうなのかもしれないですねえ。
ふくりゅう
それでいて日本語へのこだわりというポイントは変わらずに。ポジティブな雰囲気でポップできらびやかで。
角田
楽曲は、僕が最初に詞と曲を作って、この曲だったら8割ぐらいは僕が作っていて、そこで沙良に「どう思う?」って聞いて、ひらめきをいただきながらミックスして作っていくんです。
吉田
最終的な出来上がりは一緒に作っていきます。
角田
今まで、作詞作曲のクレジット表記は分けていたんですけど、それもめんどくさいなと思って二人一緒にまとめました。
吉田
最初、「Every One Minute」は1番しかなかった曲で。それをひとまず録って。CMのタイアップがあったこともあって、歌詞は人物を描いているんだけど時計の話になっているなって、めちゃめちゃ巧みに織り込まれていて感動しました。せつなさが表現されていて。1番のAメロ、Bメロで歌い方にはこだわっていますね。
角田
そこは一番いいよね。
吉田
CMでも使ってもらっている箇所だからね。実はサビも良いんですけど、Aメロ、Bメロが良いっていう。
ふくりゅう
「Every One Minute」は、CMの話があって曲を書き下ろしたの?
角田
コンペという形だったので、書いた時点では決まってはいなかったんですけどね。
ふくりゅう
CMでの世界観にめっちゃハマっている曲だよね。インスピレーションが拡がる。
VIDEO
角田
ありがたいです。
ふくりゅう
今回は、自分で演奏もいろいろされて?
角田
そうですね。ギターだけはやってもらって。なのでほぼデモと変わっていないですね。ガットギターは自分で弾いて、エレキはWONKなどでもやっている小川翔で。
ふくりゅう
モノンクルとしては新鮮なスタイルで作った曲なんだ。
角田
そうですね、新鮮でした。
ふくりゅう
もともとモノンクルってジャズの匂いがとても強かった印象なのですが、「Every One Minute」を聴いているとジャズ至上主義だけでない“あきらめないポップミュージック”感を強く感じたんだよね。ポップソングとしてクオリティを上げていくチャレンジ精神というか。
角田
ああ、それいい言い方ですね。素敵ですね。
吉田
たしかに。
ふくりゅう
どんな意識を持たれているのかな?
角田
これまでジャズとポップミュージックの融合を考えて活動をしてきたんですけど、ジャズの良さをプロダクトに落とし込むのってなかなか難しいんですよ。プレイヤーに委ねるところが多くて。ひらめきやプレイヤーとしての性格とか個性や表現したいことなどがあって。
吉田
それが強く出るのがジャズなんです。
角田
同じ空気の中で混ざってみんなに届けたいものなんですけど、それが録音物という小さなハコの中だと渋滞になってしまったり、折り合いをつけるのが難しかったんです。それが今回、打ち込みでやることで交通整理ができるんだなって気がついて。今回はあまりジャズのテイストは無いんですけど、このやり方でジャズのテイストを入れることもやっていきたいですね。
ふくりゅう
新しいスタイルへチャレンジしたことで次のステップが見えてきたと。
角田
扉が開けた感じはありましたね。
吉田
ふふふ。
ふくりゅう
あ、なんだかいろいろ真面目に聞いちゃったな。他に、なんか普通に悩みとかないんすか? 悩み相談の受け売り(笑)
吉田
スナックのママに相談だ!
角田
なんだろう? でも、コロナ禍以降、悩みがなくなりましたね。
ふくりゅう
コロナ問題は、個人レベルでは解決できない大きすぎる課題ですもんね。
角田
そうですね。自分の悩みとかも人と会わない時間が増えたことで、考え抜ける時間が増えたということもあります。やっぱり、自分って人から評価されてできるものじゃ無いですか? 輪郭というか。でも、人と会う機会が減って評価されること自体が少なくなるので、ある意味自分の輪郭は自分で作ることができるので悩みが減りましたね。
ふくりゅう
深い考察だ。これをテーマに曲が作れそうだ。
角田
そうですね(笑)。逆にいうと自家中毒にならないように気をつけたいですね。濃くなってしまうというか。
ふくりゅう
そんな哲学的な発想は、学生時代の経験あっての考え方なの?
角田
文学部心理社会学科で学んでいて。考え方の基礎にあるのかもしれないですね。
ふくりゅう
なるほどね。じゃ、悩み無しということで(笑)
角田
ちょっと待ってください、いま、沙良が考えています(苦笑)
吉田
えっ、ちょっと待ってちょっと待って(汗)
ふくりゅう
じゃあ、マネジメントの三浦さんから(笑)
三浦
えっ、俺(笑)? ぱっと言われると答えられないな(苦笑)
吉田
あ、あった。朝起きれないのをどうしたらいいですかね? ほっておくと昼の13時ぐらいになってるんですよ。寝るのは早いときには0時には寝ているんですけどね。
ふくりゅう
あああ、アテクシもそのタイプかも……。
角田
解決しないなこれは。
一同
ははは(笑)
角田
あ、もう一個あった。コロナ禍だとずっと仕事しっぱなしになってしまうんですけど、なんとかなりませんかね?
ふくりゅう
あああ、一緒だわ……。ずっと仕事しちゃうよね。自宅だと歯止めが効かないし。
吉田
解決しないなこれは(笑)
ふくりゅう
あ、Nintendo Switchのゲーム『あつまれ どうぶつの森』とかやるといいよ。箱庭療法としても、あれ心理学的に繋がるよね。
吉田
あ、やっぱり“どうぶつの森”か!
一同
ははは(笑)
ふくりゅう
モノンクルっぽい。
吉田
ひらがなのね(笑)
ふくりゅう
みんな、今年は特にだけどけっこうゲームやってるもんね。
角田
じゃあ、ちょっと試してみます(笑)
ふくりゅう
ははは、ほどほどにね(マネジメントの視線を感じながら)。モノンクルの新曲、いっぱい聴きたいので、2021年に向けても楽しみにしてるよ~。