ふくりゅうのお話スナック menu.2:たった2曲で最前線へ。“小説+音楽”のクリエイターユニットYOASOBIのコンポーザー Ayaseに聞くレアトークの数々
ふくりゅうのお話スナック | 2020.03.25
音楽コンシェルジュ、ふくりゅうが月に一度だけママをつとめる都内某隠れ家スナック。2020年要注目のアーティストを迎えてお届けする、ゆるふわ酒呑みトーク。記念すべき第2回目は、第1弾の楽曲「夜に駆ける」が560万再生を突破中の“小説を音楽にする”クリエイターユニット、YOASOBIに注目です。
【プロフィール】
Yahoo!ニュース、J-WAVE、Spotifyなどで書いたり喋ったり選曲したり呑んでます。好きなお店&つまみは、渋谷きになるきの本鮪、東十条埼玉屋のやきとんディナー、浦和モルガンのレバー&バラを愛する。 |
YOASOBIのコンポーザー / 好きなお酒はビール。好きなつまみはチーズ。 Twitter:https://twitter.com/Ayase_0404 Instagram:https://www.instagram.com/ayase_0404/ YOASOBI:https://twitter.com/yoasobi_staff |
ふくりゅう
いらっしゃい~。あら、イケメンさんだね。
Ayase
えっ、ありがとうございます。ビールください。
ふくりゅう
Ayaseさんは、チーズがお好きということでサービスしとくね。安いのだけど。
Ayase
ははは(笑)。チーズ好きなんですよ。ブルーチーズとかも。呑むときあんまり食べないんですよ。
ふくりゅう
そうなんだ。そいじゃカンパイ!
Ayase
おつかれさまです!!!
ふくりゅう
YOASOBIは、今年の1月にSpotifyのバイラルチャートでバズって、YouTubeの再生回数が爆増して、若い人のチャート動向を反映するLINE MUSIC TOP100で5位に入って、さらに、音声検索のShazamのチャート"Discovery:日本"で「夜に駆ける」が4位に入っていて大きな広がりを感じるよね。
Ayase
えっ、めっちゃ詳しいじゃないですか? 嬉しいです。Shazamは、リスナーさんがどんなシチュエーションで曲を検索してくれたのか知りたいですねぇ。
ふくりゅう
YOASOBIの動向をみていると、楽曲の良さがストレートに受け入れられて評価され広がっていることがよくわかるよね。プロモーション稼働もそんなにしてないでしょ?
Ayase
そうですね。まだまだ少ない方だと思います。ラジオ(FM802)やイレギュラーでテレビ(CDTV)はあるんですけど、こういった形での対面インタビューははじめてですね。
ふくりゅう
音楽系アーティストの新しい楽曲の伝え方、伝わり方がYOASOBIをみていると勉強になるよね。現在、560万再生突破の「夜に駆ける」、そして116万再生突破の「あの夢をなぞって」が好きすぎて、もうずっと聴いてるよ。たった2曲で、一躍シーンの最前線に躍り出たよね。
Ayase
YOASOBIはプロジェクト的にスタートしたものなので。自分だけでやっていたら届かなかっただろうなって層にまで広がってきているのを実感しています。
ふくりゅう
Ayaseさんが音楽活動をスタートしたきっかけは?
Ayase
もともと山口県出身で、福岡をメインにボーカルで激しめのジャンルでバンドをやっていました。普段好きなのは、海外のメタルコアやハードコアで。ブリング・ミー・ザ・ホライズンを崇拝していました。邦楽だったら9mm Parabellum BulletやONE OK ROCK、DOESとか。高校の頃、コピバンしてましたね。
ふくりゅう
へぇ、そうなんだね。メロディーのあるロックだ。
Ayase
バンドで3年前ぐらいに上京したんですよ。でも、活動休止したのをきっかけに、自分ひとりで音楽をやることはできないかなってボーカロイドを知って。バンドの頃は、DTMはプリプロで軽く使うぐらいだったんですけど勉強して。それで、YouTubeでボカロソングを掘るようになりました。自分名義(Ayase)でボカロ曲を投稿しだしたのも2018年末なんです。まだ1年ちょいぐらいなんで。
ふくりゅう
ボカロ文化も米津玄師のブレイク以降、二転三転しつつ、いま改めてボカロP自身による歌唱や、まふまふさんなど歌い手のアーティスト化という新たなフェーズに突入してるよね。YOASOBIは、そんななか新しい風をシーンに吹かせた存在で。
Ayase
バンドシーンとはだいぶ違いますよね。ギャップは感じながらも、YouTubeなど動画の活用やSNSでのコミュニケーションなど、バンドマンも見習わなければいけないなって思いました。
ふくりゅう
今や、ボカロ文化圏出身アーティストは、メインストリームを飲み込んでいくような勢いを感じるからねぇ。それこそ、ティーンにとってはそんな分け隔ても一切ないだろうし。
Ayase
その感覚は、YOASOBIをやってよくわかるようになりましたね。純粋に、楽曲で評価をしてもらえるという。いまだに不思議な感覚ですけどね。もちろん、いまのような状態を目指して活動をしてきたんですけど。
ふくりゅう
第1弾の楽曲「夜に駆ける」が今年の1月にSpotifyのバイラルチャートで跳ねたのは狙い通りだったの?
Ayase
いえ、僕自身バイラルチャートがどういうチャートなのかよくわかっていませんでした。
ふくりゅう
マニアックっちゃマニアックな領域ですからね。SNSでの拡散を指標とした、ストリーミングサービスでのチャートという。
Ayase
プロモーションとしてサブスクをどう使うかまでは、僕自身は予想できていませんでした。結果論ですよね。ありがたいことなんですけど。それこそ、スタッフのおかげ(ちらりとスタッフを見る)?
スタッフ
いえいえ、あのタイミングでバイラルチャートでランキングが上がるとは思っていませんでした。
ふくりゅう
ヘェ~、たまたまなんだ。となるとKPI(重要業績評価指標)というか、指標としていたのはYouTubeだった?
Ayase
そうですね。YouTubeで再生回数をあげたいなとは思っていました。あとはLINE MUSICがリスナーとは接点があるのかなって。やってみないとわからないことでしたけど。
ふくりゅう
YOASOBIは、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を原作に楽曲化するという新しい側面もあって。
Ayase
そうですね。もともとは「monogatary.com」の企画のひとつとしてスタートしたんですよ。ぶっちゃけ、声をかけてもらうまでこのサイトのことは知らなくって。当時は、ボカロ曲を自分でも3,4曲しか書いてなかった頃ですね。だけど、なんでもやりたい精神は持っていました。
ふくりゅう
バンドマンとしてやりたいこともあったと思うんだけど、今はプロデューサーとして作家であるということだね。いま、Ayaseさんはどんな夢を描いている?
Ayase
ボーカルでやってきた自分もあるので、歌いたい自分もありますね。なので、ボカロ曲をセルフカバーして投稿していたりもします。でも、足がけにしていくつもりはなくって。ボカロもずっとやっていきたいし、今はYOASOBIの活動が面白くなってきましたよね。
ふくりゅう
YOASOBI、ボーカリスト幾田りら(ikura)さんとのマッチングも良かったよね。
Ayase
だと思います。最初の印象がレコーディングに入った時に“わぁ、歌上手い!”って思って。いま19歳ですから。まだまだ伸びる可能性に秘めていますよね。
ふくりゅう
YOASOBIで、ライブをやってみようってのは?
Ayase
これから曲が増えたらやりたいですね。現状、YOASOBIとしては2曲しかないので(笑)。
ふくりゅう
そりゃそうだ(笑)。あ、グラスが空いてた。ビール、泡多めにそそいでおくね。
Ayase
ははは(苦笑)。
ふくりゅう
そうだ、音楽の話も聞きたいんだけど「夜に駆ける」という楽曲のヒットの理由をどう受け止めてる?
Ayase
う~ん、そうだなぁ。全力を出しきりましたね。メロディーの種類が多いタイプな曲かな。結果として、どんどん次の展開になっていくところがドラマチックさを生むというか、原作となる小説ともリンクしてよかったのかなって。僕はけっこう詰め込みたいタイプなので、詰め込んだ結果かもしれませんね。
ふくりゅう
片時も飽きさせない展開ってキーワードかもね。
Ayase
「夜に駆ける」の、小説での展開からの影響が大きいかもです。実は“自殺”がテーマになっている曲なんですけど、オブラートに包むのではなく、でもグロテスクさを内包しつつ、曲としてどこまで伝えられるかがキーでしたね。とはいえ、暗くはしたくなかったのであえてポップな曲にしてみて。動画での、藍にいなさんのアニメーションもカラフルでマッチしていたと思います。鮮烈に残る感じにしたかったんですよ。
ふくりゅう
そんな要素があるからこそ、聴き手によって様々な印象を生む曲になったということなんだね。
Ayase
さらっと聴いたらちょっとした恋愛ソングに聴こえるかもしれないですよね。でも、深く掘って聴いてくれた人は、そんな真意が伝わるかもしれないなって。
ふくりゅう
入り口はポップだけど、深みのある曲だよね。原作を読んで歌詞や楽曲を創作していくってユニークな試みだなと。楽曲にハマってから小説を読むという順番でも、リスナーは楽しめるわけで。
Ayase
そうですね。客観的にYOASOBIのプロジェクトを考えた時に、理にかなっているなって。実際、自分で曲を作っていったとしてもストーリーを組むし、自分が経験したり感じたことをモチーフにするわけで。通常でいうところの物語構成、こんな想いがあって曲を作ったんですよって作者が語ることが、すでに前もって明確に小説として存在しているんですよ。リスナーは、一般公募から発展した小説を先に読んでも後から読んでもいいわけで。楽曲の答えが明確に存在するんですね。
ふくりゅう
なるほどねぇ。おもしろいなぁ。イントロから切ないながらも疾走感あるYOASOBIらしさある2曲目となった「あの夢をなぞって」は?
Ayase
この曲は、直前で練り直してギリギリでゼロから作った曲なんです。でも、追い込まれたからこそ生まれたものがあるかな。小説が、1冊目に比べると長いんです。1冊目は短かったからどこまで細くするかにこだわったんですけど、どこをかいつまんで曲としてアプローチするのかが大変でした。そんな時に、この小説がアニメーションになった時のたとえばオープニングテーマになるような曲になればっていうスタッフのアドバイスがあって。なので、原作小説に立ち返ると理解が深まるパターンな曲ですね。
ふくりゅう
で、今後もすでに小説を募集していて、継続して曲をリリースしていくという。
Ayase
僕自身も楽しみですね。アルバムは小説の短編集みたいなものになりそうですよね。ライブもやりたいし。いつかは著名な作家さんとコラボレーションとかもしてみたいですね。まだまだ広がりのあるプロジェクトになるんじゃないかなと思います。
ふくりゅう
たしかにね。音楽はどんなカルチャーともとけあえる存在だからこそ、軸となるIP(知的財産)となり、映画やドラマやアニメなど、様々なプロジェクトの起点にYOASOBIがなるかもしれないという。
Ayase
まさに、YOASOBIって名前ですからね。おもしろい遊びをやっていきたいと思っています。
ふくりゅう
あ、そうだ。ここスナックなんで、なんか悩み相談なんてある?
Ayase
ええぇ、悩み事? ものすごいプライベートなことなんですけど。なかなか引越し先が決まらないんですよ。早く引っ越したいですね。
ふくりゅう
曲作りなど機材もあるだろうし作業場とか必要だもんね。ああ、それは答えられないな(笑)。うん、頑張ってね。
Ayase
ははは(苦笑)。
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ふくりゅうのお話スナック
リリース情報
夜に駆ける
2019年11月16日
YOASOBI
01.夜に駆ける
リリース情報
あの夢をなぞって
2020年01月18日
YOASOBI
01.あの夢をなぞって
お知らせ
■配信はこちら
夜に駆ける https://orcd.co/yoasobi_yorunikakeru
あの夢をなぞって https://orcd.co/yoasobi_anoyumewonazotte
夜に駆ける https://orcd.co/yoasobi_yorunikakeru
あの夢をなぞって https://orcd.co/yoasobi_anoyumewonazotte