THE BACK HORNは美しいバンドだと思うのだ。

　結成当初から「生と死」の狭間で?き、葛藤し、戦う人間の姿を奏で続けてきた彼ら。その歩みも今年で結成15周年を迎える。そんなアニバーサリーイヤーにリリースされたシングルが「バトルイマ」だ。

　「バトルイマ」は、イントロやサビの力強いコーラスが印象的な、魂を揺さぶるアンセムソング。それはまるで、これまで彼らと共鳴してきたリスナー／オーディエンス達との関係性を表わしているかのようで、アニバーサリーイヤーにふさわしい曲とも言えるだろう。そして、“今この瞬間を戦え”というメッセージ。それは、THE BACK HORNがこれまで描き続けてきたテーマの根底であり、そしてこれからも叫び続けて行く宣言のように聞こえた。

　また、シングルと共に『B-SIDE THE BACK HORN』も発売。2枚組、全34曲で構成される本作は、オリジナルアルバム未収録のシングルカップリング曲に加え、インディーズシングル、コンビ盤参加曲などを含めた、計155分を超える特大ボリュームのB面集だ。

　ときに「カップリング」という存在は「捨て曲」なんて揶揄されることがあるが、THE BACK HORNは全くもって違う。それは、彼らが定期的に行なっている「マニアックヘブン」──シングルのタイトル曲やアルバムのリード曲をセットリストから完全排除した、バンドもファンも大切にしているライヴ──が物語っていると思う。生み出した曲に捨て曲なし。すべてが全力勝負。音楽がもたらす力と可能性をまっすぐに信じ、全身全霊でぶつかって行く彼らの姿が、ここには刻まれている。

　そんな彼らの戦う姿勢はやはり、美しいと思うのだ。

【文：山口哲生】