レビュー

奥田民生 | 2014.10.08

連載 第40週
奥田民生『OT REMASTERS』&『OT DONUTS BURN』


OTソロ20周年記念で、ジュークボックスがバカ売れ?

 ふと気付けば、奥田民生がソロデビューして20年。あっと言う間のような、すごい道のりだったような20周年を記念して、『OT REMASTERS』と『OT DONUTS BURN』が リリースされることになった。

 『OT REMASTERS』は全11作のアルバムを、超凄腕エンジニアのグレッグ・カルビがリマスターしたもの。グレッグ は、ポール・サイモンやジョン・メイヤーも手掛け、ジョン・レノンが最も信頼していたニューヨークきっての鬼才だ。一方、『OT DONUTS BURN』はダジャレの通り、7インチレコード=ドーナツ盤の10枚組。それも過去のシングル曲ではなく、OTが自分の好きな曲をセレクトした“架空のアナログ・シングル”になっているのが何ともOTらしい。

 先日も日比谷野音で行なわれたイベント“顧問豊作”で、所属する事務所“SMA” の仲間を集めて“ひとりカンタビレ”のスペシャル・バージョンを大勢の目の前で見事にやってのけた。OTは音楽のいろいろな楽しみ方をこの20年間、提案し続けてきたが、今回の『OT REMASTERS』&『OT DONUTS BURN』もその一環な のだ。普通ならただの豪華なベスト盤を出したりするものだが、さすがOT。機会を逃さず、思いっきり自分の音楽で遊んでみせる。全作品のリマスターはこれまでも例があるものの、ドーナツ盤コレクションは洋楽アーティストにも例のない前代未聞の好企画になった。

 しかし、そもそも誰が買うんだろう(笑)。 だってアナログを聴ける人はそんなに多くないし。素朴な疑問が湧いたので、直接、OTに訊いてみた。すると、「ドーナツ盤は片面に1曲だから、その曲だけを取り出して聴いてもらえるのがいいよね。音もいいし。どうせならジュークボックスを買って、それで聴いてほしい。確か、トータス(松本)がジュークボックス、持ってるから、ヤツが買ってくれるんじゃないの」と即答。

 あははは、OTは20年この調子でやってきた。きっとそれは今後も変わらない。ちなみにリマスターはギターやボーカルがしゃっきりクッキリして、OTのこだわりが嬉しい限り。ドーナツ盤は、いかにもシブい選曲で、今のOTが自分の作品を振り返っているニュアンスがにじみ出ていて興味深い。

 一筋縄ではいかないアニバーサリー・アルバム2組が、奥田民生の心意気。音楽愛には様々な形がある。これからもOTに、たくさんの楽しみを分けてもらおうっと!

 ちなみに、どちらのセットも僕が解説を書いているので、そちらもお楽しみに~!

【文:平山雄一】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル 奥田民生

リリース情報

OT REMASTERS(11CD+1DVD)

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OT REMASTERS(11CD+1DVD)

発売日: 2014年10月21日

価格: ¥ 20,000(本体)+税

レーベル: SME

収録曲

Disc1:「29」
Disc2:「30」
Disc3:「FAILBOX」
Disc4:「股旅」
Disc5:「GOLDBLEND」
Disc6:「E」
Disc7:「LION」
Disc8:「comp」
Disc9:「Fantastic OT9」
Disc10:「OTRL」
Disc11:「O.T. Come Home」
Disc12: DVD

リリース情報

OT DONUTS BURN(10 Analogue 7 inch disc)

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OT DONUTS BURN(10 Analogue 7 inch disc)

発売日: 2014年10月21日

価格: ¥ 12,000(本体)+税

レーベル: SME

収録曲

01. ハネムーン
02. BEEF
03. 人間2
04. ワインのばか
05. 夕陽ヶ丘のサンセット
06. メリハリ鳥
07. 御免ライダー
08. ドースル?
09. 快楽ギター
10. SUNのSON
11. 彼が泣く
12. イオン
13. ライオンはトラより美しい
14. 青春
15. イナビカリ
16. なんでもっと
17. わかります
18. 音のない音
19. ちょっとにがい
20. ぼくら

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