ゆびィンタビュー vol.04 CHAI
ゆびィンタビュー | 2018.11.05
PROFILE
CHAI
双子のマナとカナに、リズム隊のユウキとユナ。4人で2015年に本格始動したニュー・エキサイト・オンナ(=NEO)バンド。国外での活動も絶好調で、今年2月のアメリカデビューに続き、8月にはイギリスデビューを果たし、10月にはSuperorganismのワールドツアー(UK~アイルランド13公演)をサポート。そして11月17日から日本国内の全国ワンマンツアー「CHAIいく! CHAIくる! トゥアートゥアートゥアー」がスタートだ!
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キャリア初のシングルができました。4人はシングル盤ってよく買ったりしてました?
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マナ
ああ、買ったことない。 -
カナ
アルバムしか買ったことない。 -
4人が音楽を聴き出した頃はもうシングル盤という形態がほとんどなくなってたのかな。
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マナ
うん。そうだね。 -
昔、8センチCDとかってあったの、知ってます?
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ユウキ
長いやつ? -
ユナ
「だんご3兄弟」のやつ? -
マナ
ああ、「だんご3兄弟」のやつだ。 -
ユウキ
持ってた持ってた。黄色いやつでしょ? -
マナ
懐かしいね~。 -
いや、「だんご3兄弟」に限らずたくさん出てたんですけどね(笑)。で、もっと昔のレコードの時代になると、シングルはドーナツ盤って呼ばれてて。
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ユウキ
なにそれ? レコード? -
マナ
7インチ? -
7インチだけど、中心の穴が大きくあいててドーナツを思わせることからドーナツ盤って呼ばれてたんですよ。
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ユナ
へぇ~。かわいいね。 -
ユウキ
かわいいねぇ。 -
普段、4人は何で音楽を聴いているんですか?
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マナ
今はやっぱりSpotifyとかApple Musicが多いね。 -
じゃあ、シングルCDを出すということに対する特別な思いはそんなにない?
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ユウキ
新しい曲を聴いてほしいっていう気持ちのほうが強いかな。 -
マナ
うん、そっちのほうが強い。 -
ユウキ
新しいCHAIを早く知ってほしい。びっくりさせたい。形態は……。 -
カナ
なんでもいいかな。 -
ユナ
うん。なんでもいい。 -
ユウキ
ただ今回はTシャツ付きだし、パッケージも面白い感じになってるから。グッズとしてかわいい感じなんだよね。だからシングルCDという形態がどうっていうよりは、アイテムとしてかわいいものを出せる嬉しさがある。 -
マナ
そうだね。それはある。並べたときに目立つしね。 -
カナ
すっごい目立つ。 -
ユウキ
透明ピンクでかわいいの。ピンクなのに透けてるの。 -
ユナ
すっごいかわいいよね。 -
じゃあ、全国ツアーのお土産としてちょうどいい。
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マナ
そうだね。 -
ツアーで盛り上がる曲を作ろうという意図もあったの?
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マナ
「GREAT JOB」のテーマとして、それはあったね。ライブをしていて「こういう曲があったらいいな」っていうのがわかるから。特に海外でライブをするとそれがよくわかるから、それで作った。この曲は特にそうだね。。 -
お客さんが盛り上がってる様子をイメージしながら作っていた。
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マナ
そうそうそう。 -
着想は、どういうところから?
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マナ
「GREAT JOB」はそういうのが特にないんだよね。いつもはだいたいあるんだけど。なんだろ。中華? -
ユナ
チャイナ感あるよね。 -
マナ
中華のテイストを入れたかったの。CHAIはアジアの顔になりたいっていう目標もあるから、そういうテイストの曲がいいと思って。かっこよくて、チープで、っていう感じがほしかったから、そういうふうにしたの。 -
ユウキ
それと、この曲はパナソニックの家事シェアキャンペーンとコラボして作った楽曲で、WEB CMで流れるんだけど、パナソニックって家電を作ってる会社でしょ。掃除機とか洗濯機とかいろいろ。で、掃除洗濯ってけっこうたいへんじゃん。仕事から帰ってきて家事もしなきゃってなると、「はぁ~」ってなる人、多いと思うんだよね。そういう気持ちをどうやったらポジティブにもっていけるかって考えて、歌詞はそこから書いていったの。 -
掃除洗濯が楽しくなる曲ってことですね。
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ユウキ
そうそうそう。みんな毎日、職場の人間関係がどうのとか上司がどうのとか、いろいろストレスがあると思うんだけど、それを爆発させる先を家事にして、その勢いのまま掃除したり洗濯したりすれば、家もキレイになって一石二鳥かなって。家事も捗るし、ストレスも解消されて、わーい、みたいな。 -
じゃあ、主婦の人が聴いてもよさそうですね。
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ユウキ
そうそう。ぜひ主婦の人にも聴いてもらって、日々の不満を家事に向けて「あー、すっきり!」ってなってもらいたい。 -
ははは。因みに4人は掃除洗濯をしっかりやるほう?
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ユナ
やるよぉ~。クイックルワイパーとかすごいやるよ。すすすすすってやるよ。 -
ユウキ
分担してやるからね。誰かがお皿洗って、誰かが掃除して。だからそんなに億劫じゃないよね。 -
カナ
うん。やだなって思うことはないね。 -
家事にストレスを感じない。
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カナ
感じない。 -
マナ
でもウチのママはいっつもイライラしてる。朝、家のなかを走り回ってるもん。 -
カナ
そうだねぇ。 -
ユウキ
家族みんなの家事ってなると、量がすごいし、たいへんだよね。だから、これからはこの曲を聴いてもらえばいいね。 -
マナ
そうだね。 -
それにしてもユウキさんの歌詞が今回も冴えてますね。言葉選びのセンスが素晴らしい。リズムにいい感じで乗る言葉をしっかり選んで組み立ててるでしょ。
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ユウキ
うん、そこはめっちゃ意識してるから、そう言ってもらえて嬉しい。意味も大事だけど、それに捉われて訴えかけすぎる歌詞にはしたくなくて。どっちかというと言葉遊びで、リズム感をまず考えてる。だから英語と日本語を混ぜてるし。 -
昔からそういうところを意識して歌詞を書いていたんですか?
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ユウキ
昔からではなくて、CHAIでしか書いたことない。CHAIを始めてからマナと半分くらいずつ書くようになって。 -
マナ
今はほとんどユウキだよ。 -
初めからそういう才能があったんですね。
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マナ
あったよね、ユウキ。いつもいい歌詞書くの。 -
カナ
そう、いつもいい歌詞書く。 -
ユウキ
嬉しい。でも日本語ってけっこう難しくて。うまくハメないとリズムが詰まっちゃうから。 -
“盛りつけてFAST 早起きはMUST ゴミ捨てはJUST”とか、韻を踏んで進んでいくのも気持ちがいい。
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マナ
気持ちいいよね。 -
カナ
うまいよね。 -
ユナ
うん。うまいよねぇ。 -
ユウキ
褒められると調子に乗っちゃうよね(笑) -
いつもそうやって褒め合ってるの?
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ユウキ
常に褒め合って盛り上げてるよ。「今日もかわいいね」って言い合って。 -
カナ
でも、ユウキはやっぱり言葉をよう知っとる。 -
マナ
ほんと。すごいよね。 -
ユウキ
みんな本読まないからだよ。 -
マナ
そう、本読まない。字がいっぱいあると読めないの。 -
カナ
ユウキは本読むから、よく知ってるんだよね、言葉を。 -
ところで、この曲は構造が独特ですよね。メロディ自体はそんなに上下したりしないでしょ。
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マナ
うん。しないね。 -
マナさんの歌もそんなに低いとこ行ったり高いとこ行ったりはしてないんだけど、その分、コーラスに動きがある。
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マナ
あ、そうだね。それ、めっちゃ意識した。ベースメント・ジャックスの幅感とかノリとかが好きだから、それを意識したかな。メインヴォーカルはヌケた感じで、その分、コーラスがすごいっていうのを意識した。 -
あと、この曲はリズムが肝だなと思っていて、特にドラムがものすごいことやってますよね。
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ユウキ
ドラム、頑張ったもんね。かっこいいもん。 -
ユナ
ありがとうございます! にやけちゃうねぇ。 -
マナ
よかったねぇ。 -
ユナ
この曲は攻めの姿勢が絶対大事だから、サビになって前傾姿勢で叩いたからね。攻めてくぞ!って気持ち満載で叩いたから。 -
そして間奏になると、鍵盤含めてみんなの音が渦巻く感じになるでしょ。
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マナ
ああ、そうだね。音数を多くするってことを今までやったことなくて。 -
今までは一音一音、分離して聴こえてくる曲が多かったけど、これは違いますよね。
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マナ
そう。今まではけっこう音数の少なさを意識して作ってたんだけど、今回は音数を多くすることを意識したの。最近、ザ・ゴー!・チームがすごい好きでよく聴いてるんだけど、あのバンドって音数多くてなんぼってところがあって。いろんな音が入っててカッコイイ!って思って、その影響でCHAIも音数の多い曲をやってみようと思って。 -
ユウキ
ガチャガチャ感、あるよね。 -
マナ
そう、ガチャガチャさせたかった。 -
それってすごく大きな変化ですよね。
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マナ
うん、めっちゃ大きい。だから、聴いて「新しい!」って感じてほしいし。 -
このガチャガチャ感に至るまでにトライ&エラーを繰り返したんですか?
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ユナ
たくさんやったね。 -
マナ
最初は本当にシンプルに、キーボードとシンベ(シンセ・ベース)とドラムしかなかったんだけど、そこからいろいろ足していった。 -
カナ
WEB CMで流れる曲だからサビをもっとパッとさせようって意見も出たので、そういうふうにしたりして。最初はあんまりサビっぽくしたくなかったんだけど、やっぱりサビ感を出そうってことになって、ラッパを入れてみたりとか。そしたらパッとしたね。あと、ギターも足して。最初はギターもなかったから。それでキーボードの音も多くして、だいぶ華やかになった。 -
ユナ
うん、だいぶ華やかになったね。 -
華やかさを目指したの?
-
ユウキ
そうだね。 -
マナ
華やかさが結局似合ったの。似合ったからよかったよね。 -
じゃあ、この曲のレコーディングで新しいところへ行けたってことですね。
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マナ
うん。行けたと思う。聴けば今までと違うってわかると思う。 -
確かに今までと違うサウンドの感触だなって思いました。
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ユウキ
よかった。 -
でもいかにも複雑なことをしてるようには聴こえなくて。よく聴くといろんなことやってるってわかるんだけど。
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マナ
あ、そうそう。よく聴くと、だよね。 -
ユウキ
それがいいところ。嬉しい。 -
では、もう1曲「ウィンタイム」の話をしましょう。これはどういうところから作っていったんですか?
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ユナ
最初からクリスマスの曲ってことだったんだっけ? -
マナ
うん。クリスマスの曲がそもそもすごい好きで。流れる度にいつも「いいなぁ」って思うから。で、この時期に出すならこの曲をってなって。これ、1年近く前からあった曲で、いい曲だからいつか出したいと思っていて、で、今出したって感じかな。 -
ユウキ
曲の感じがクリスマスにピッタリだから、出すなら今がいいねってなって。 -
“お決まりソングをなりふりかまわず歌うよ”ってフレーズがあるけど、これ、定番のクリスマスソングってことでしょ?
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ユウキ
そう。冬になると街中に流れるもんね。 -
何が好き?
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マナ
やっぱりマライア(*マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス(All I Want For Christmas Is You)」)だなー。 -
ユナ
あれだよねぇ。 -
マナ
あれ、名曲だよね。いつ聴いても人肌恋しいもん。 -
カナ・ユナ・ユウキ
わかる(笑) -
マナ
「もっとひっついて」ってなるよね。だから4人でくっつくもん。おしくらまんじゅうみたいになって。 -
ユナ
あと、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。あれ、すごい好き。 -
カナ
クリスマスソングじゃないけど、ヴルフペックの「アニマルスピリッツ」がクリスマスっぽくて好き。 -
ユウキ
ああ、あれ、クリスマスっぽいね。あと、あれ。ビージーズの曲。なんてタイトルだっけ? -
マナ
わかる。なんだっけ? -
「愛はきらめきの中に(How Deep Is Your Love)」?
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マナ
あ、そうそう。あれ、やばい。 -
ユウキ
あれ、いいよね。人肌って感じだよね。 -
マナ
やばい。人肌恋しくて苦しい。 -
カナ・ユナ・ユウキ
あはははは。 -
CHAIとクリスマスってなんか合うよね。そもそもCHAIのスローソングが僕は大好きなんですよ。「ほれちゃった」とか。
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マナ
嬉しい。 -
でも、スローな曲はそんなに多くないですよね。
-
マナ
ライブを考えると、スローな曲はたくさんあってもやれないし。だから、そこは意識的にテンポの速いものを作るようにしてるんだけど。 -
ユウキ
ライブはアゲていきたいからね。 -
マナ
そう。でも、しっとりした曲も大好きなんだけどね。 -
ユナ
うん。大好き。 -
ユウキ
よく、しっとりした曲聴いて泣くもん。 -
マナ
マイケル(・ジャクソン)のしっとりした曲とか、やばいよね。 -
ユウキ
やばい。地球を大事にしようって思うもん。 -
因みにこの曲は、クリスマスという言葉を使わずにクリスマスを感じさせるのもいいですね。
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マナ
あ、そうそう。そういうのがいい。 -
ユウキ
「クリスマスソングですよー」って押しつけたくなかったから。初めはクリスマスって言葉を使ってたんだけど、なんか上辺っぽいというか、CHAIらしさが消えるかなってちょっと思って書き直したの。言葉で言っちゃうと表面的すぎるから、言わないでそれが感じられる曲にしようって思って。言葉選びはめっちゃ考える。やっぱりマナに背伸びしたことを歌わせたくないし、等身大でありたいし、“CHAIが歌うからいい”っていう言葉でありたいし。 -
わかります。なんか、CHAIちゃんというひとりの女の子がいる感じ。4人でひとりの言葉って感じがする。
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マナ
あ、そうそうそう。 -
ユウキ
それ、すごい嬉しい。 -
あともうひとつ。この曲「ウィンタイム」はフェイドアウトで終わっていくのが、なんだか新鮮でしたよ。
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ユウキ
フェイドアウトで終わるのってクリスマスっぽいんじゃないかって。 -
マナ
そう、クリスマスっぽいよね。消えてっちゃう感じが。こんなに盛り上がったのに、あっけなく消えてっちゃうっていう。 -
今年のクリスマスから年末にかけては、CHAIは何してるんですか?
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カナ
何してるんだろ。まだわかんないね。 -
ユウキ
鍋、食べたいなぁ。 -
去年のクリスマスは何してたの? ライブ?
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マナ
いや、クリスマスにライブしたことないんですよ。 -
ユナ
パーティーしてたね。 -
カナ
すっごいパーティーするよね -
マナ
うん。食べ物、めっちゃ頼む。 -
ユウキ
出前とるの。 -
マナ
ピザとお寿司と。 -
ピザと寿司、両方頼むの?
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マナ
そう。で、コンビニでフライドチキン買ってきて。 -
ユウキ
あと、オードブルも。 -
マナ
食べきれない量のオードブル。次の日に持ち越すくらい。 -
ゲストで友達呼んだりは?
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マナ
しない。4人だけ。 -
ユウキ
絶対4人だけ。 -
ユナ
絶対4人で盛り上がる。 -
ユウキ
必ずトム・トム・クラブの曲かけて。 -
マナ
そうそう、いっつもトム・トム・クラブだよね。 -
ユウキ
あれ(「悪魔のラヴ・ソング(Genius Of Love)」、かわいいから。 -
カナ
やっぱりパーティー始める前にムード感作るのは大事だからね。
【取材・文:内本順一】
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リリース情報
GREAT JOB / ウィンタイム
2018年11月07日
OTEMOYAN record
2. ウィンタイム
お知らせ
CHAIいく!CHAIくる!トゥアートゥアートゥアー
11/17(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
11/18(日) 金沢vanvan V4
11/20(火) 京都KYOTO MUSE
11/22(木) 鹿児島SRホール
11/23(金・祝) 福岡BEAT STATION
11/25(日) 広島CAVE-BE
11/29(木) 名古屋CLUB QUATTRO
12/01(土) 梅田TRAD
12/02(日) 高松DIME
12/07(金) 札幌Sound Lab mole
12/09(日) 仙台darwin
12/19(水) 台場Zepp Tokyo
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