ゆびィンタビュー vol.20 Kitri
ゆびィンタビュー | 2020.01.31
PROFILE
Kitri
姉のMonaと妹のHinaによるピアノ連弾ボーカルユニット。Monaはボーカル、ピアノ低音部(Secondo)を担当、Hinaはコーラス、ピアノ高音部(Primo)を担当(ギター、パーカッションほか)。幼い頃よりクラシックピアノを習い、Monaは大学で作曲を専攻。Hinaは芸術学を専攻する。2015年から京都を拠点に音楽活動を開始。2016年、ライブで京都を訪れていた大橋トリオの手に自主制作盤が渡り、その音源を聴いた大橋が絶賛。大橋が手掛けていた映画『PとJK』の劇伴音楽に、テーマ曲のボーカルとハミングで参加する。2017年、過去の音源を大橋トリオプロデュースにより再録音して、パイロット盤『Opus 0』が完成。2019年1月23日、日本コロムビアより1st EP『Primo』でメジャーデビュー。同年1月「キトリの音楽会♯1」と題し、初のワンマンツアーを開催。同年7月24日、2nd EP『Secondo』を発売。10月から「キトリの音楽会♯2」と題し、全国7会場でワンマンツアーを開催。またSpotify「Spotify Early Noise Artist 2019」やYouTube「Artists to Watch」等に選出されるなど、ブレイクアーティストとしても注目されている。
- おふたりの生育環境みたいなところから順を追って伺っていきたいんですが、ご出身は京都ですよね。
Mona
はい、今も京都在住です。わたしは生まれも京都なんですが……。Hina
わたしは滋賀県です。Mona
親が転勤族だったので、西日本を中心に転々としていて、今は京都に落ち着いています。- Monaさんは4歳のときにピアノを始められたんですよね。
Mona
そうです。そしてみんなが通るような教材を学んでいました。Hina
わたしは6歳のときに姉に憧れて「わたしもピアノ習いたい!」と母にお願いして習い始めました。- 連弾を始めたきっかけは?
Mona
ふたりとも同じ先生に習っていたんですけれども、わたしが中学生になったとき、先生に「ふたりでひとつの曲を弾く連弾っていうものがあってね」と教えてもらったんです。曲をいただいてふたりで練習してみたところ、息を合わせてひとつの音楽を作る連弾の楽しさを知ってしまって、以後年に何回か、趣味程度でやっていたんです。わたしは緊張しいであがり症だったので、Hinaがいると心強いということもあって、「連弾っていいな」という印象が残ったまましばらく経ったんですけれども……。Hina
わたしが中学生のとき合唱にすごくのめり込んで、合唱の強い高校に行って続けたいと思って、勉強に専念しなきゃということで2年生で一度ピアノをお休みしたんです。で、Monaはずっと続けていて。Mona
わたしは小中高ずっと部活にも入らずに、毎日、学校から帰ったらピアノを練習していました。受験生になって、音楽系の大学を目指して実技試験の練習と音楽理論の勉強をしていたんですけれど、おかげでコードがわかるようになってしまって(笑)、「曲が作れそう!」と思ってこっそり曲作りを始めたんです。クラシックって本当にひと握りしかプロになれない世界で、「自分は何になれるんだろう?」と自信を失っていたので、あくまで受験勉強の息抜きとして。- 連弾との出会いに続く、Kitriの始まりその2ですね。ご家族にも内緒で?
Mona
そうです。Hina
そんなある日、母がパソコンのごみ箱に入っていた曲を見つけたんです。「Monaちゃんが曲を作ってる!」と呼ばれてふたりで聴いてみたら「すごくいいね」という話になって、母がMonaに「あれは何?」って。Mona
わたしは「ああ、怒られる!」と思って(笑)、ハッと我に返ったような感じで「ごめんなさい! 大事な時期なのに」と謝ったら、「ううん、そうじゃないの。曲が面白くてすごくよかった」とほめてくれて。今思えば親だからというのもあったと思うんですが、そのときは客観的に評価してくれた気がしてうれしくて、わたし、曲を作って歌うのが好きかもしれない……と気づいて、大学生になったときにHinaに「連弾をしながら歌うユニットって見たことないから、ふたりでやってみたら面白いんじゃないかな」って提案したんです。Hina
そんなユニット、たしかにわたしは知らないなと思って、「やる!」と即答しました。「じゃあ、高校卒業するまで待ってね」と話して。Mona
そのときから想定していたスタイルが、今ようやく形になったという感じです。- ちなみにご両親は音楽好きでいらっしゃるんですか?
Mona
詳しいわけではないんですけど、父は趣味でギターを弾くんです。Hina
それでわたしもやってみたいと思って、小学5年生のときにギターを始めました。Mona
あと母は歌が好きで、わたしたちは母の歌を聴きながら育ちました。- ジャンル的には?
Mona
昭和の歌謡曲やポップスです。松田聖子さんとか中森明菜さんとか松任谷由実さんをよく聴かせてくれました。父は洋楽も好きでしたね。- そうするとお父さまのギターはクラシックではなくて……。
Hina
フォークギターですね。そして家族全員が好きになったのが大橋トリオさんで。Mona
家族でコピーしていたんですよ。両親が歌ってわたしがキーボード、Hinaがギターを担当して、セッションみたいな感じで。- 楽しそう! 大橋さんに聴かせたことあります?
ふたり
いえいえそんな……とんでもないです(笑)。- 絶対に喜びますよ。機会があったらぜひ聴かせてあげてください。
Mona
まさかその後の活動に関わっていただけるなんて、夢にも思っていませんでした。- Monaさんおひとりでライブをしたこともあったそうですね。
Mona
Hinaが高校を卒業する直前ぐらいから、ちょっとでもKitriを温めておこうと思って数回ひとりでやったことがあります。でも、「やっぱりひとりはダメだ!」と思って(笑)、2015年からふたりでライブハウスに出させてもらうようになりました。翌年、わたしが大学を卒業する前の年になって、一般的には就職活動をしたりする時期なんですけど、わたしはどうしても音楽で生きていきたいと思って、家族にそう話したら「応援するね」と言ってくれたんです。それから7曲入りのデモCDを作って会場で売ったり、あちこちに送ったりしていたんですけど、なかなか反応がなくて、不安な時期を過ごしていました。そんなある日、大橋トリオさんがライブで京都にいらしたときに、父がデモCDをこっそりカバンに入れて、スタッフさんに「娘が作った曲なんですけど、よかったら聴いていただけませんか?」と渡したんです。自分たちのいちばん好きな音楽を愛されているスタッフの方たちなら届くんじゃないか、と思ったらしくて。- 伝説のエピソード。ありがたい親心ですね。
Mona
その話を聞いた瞬間は「なんてことをしてくれたんだ!」と思って、「ありがとう」どころか「えっ、なんで?」って言っちゃったんですけど(笑)、母は父の勇敢な姿を見ていたらしく、「勇気が要ったと思うよ。娘を応援しているからこそやったことなんじゃない?」と言われたんです。たしかに、聴いてもらえなくても、わたしたちの音源が大橋トリオさんのスタッフさんに渡るなんてすごい1日になったんじゃないか……と思い直して。そうしたら後日、そのスタッフさんからご連絡をいただいて、「大橋も聴かせてもらいました。面白い可能性を秘めていると思うので、一緒に何か作ってみませんか?」と言われて、家族全員でフワフワしてしまいました。- それまでの人生でいちばんすごい日だったんじゃないですか?
Mona
忘れられないですね。事務所の社長さんとお会いすることになって、「将来がここで変わるのかな? いや、何かお話を聞かせてくださるだけかもしれないし、期待はしないでおこう」とドキドキしながら向かったんですが、音楽で生きていくことの現実を、その厳しさも含めて誠実に伝えてくださったうえで、「Kitriの音楽性がすごく面白かった」と言ってくださったんです。これはフワフワしてはいられないと思って、わたしは音楽で絶対に生きていきたい、地に足を着けていこう、と改めて決意しました。Hina
わたしも最初「お話をしてみたい」と言ってくださった時点で本当にびっくりして、「こんなことがあるんだ!」と不思議な気持ちでした。「お会いできるだけでありがたいね」と家族で話していて、こんなことがあった、と日記に書き留めました(笑)。実際にお会いしたらすごく誠実にいろいろ教えてくださって、まさかお世話になるとは考えてもいませんでしたけど、ありがたかったです。Mona
その日に早速仕事を与えてくださったんです。大橋さんが音楽を担当された映画『PとJK』(2017年3月公開)の劇伴に参加しないかと。そのこともあって余計に、しっかりと目を覚まして音楽に真摯に向き合おう、と気持ちが引き締まりました。- そうすると、おふたりだけで活動をしていた期間はそんなに長くはないんですね。
Mona
1年半ぐらいでしたね。ふたりだけで音楽を作る、ギュッと濃密な時間でした。Hina
あとは月に何回かライブをして。- 大橋さんのプロデュースで配信限定のパイロット盤『opus 0』(2017年11月)を作ったときには、もうデビューは決まっていたんですか?
Mona
いえ、まだです。『Opus 0』の収録曲はデモCDに入っていた曲で、大橋さんが「いい音で録り直してあげたい」と言ってくださったんです。「デビューとかは考えずに、いい音を作ろう」と。- 実を言うと僕はこのお話をいただいてから聴いたんですが、本当にすばらしくて、衝撃を受けました。
Mona
ありがとうございます。大橋さんのご自宅のスタジオで、完全に3人だけで録ったんですけども、「Kitriのそのままを生かしたい」と言ってくださって。- アレンジにもほとんど口を出すことなく?
Mona
もう本当にワンポイントアドバイスですね。「BPMを1落としたら?」とか。そんなちょっとのことで本当に変わるんだなって驚いて、音楽への繊細なこだわりをすごく勉強させていただきました。Hina
7曲だけですけど、1週間ぐらいかけて録っていただいたんです。Mona
合宿状態で(笑)。大橋さんはこだわりもすごいんですけど、その判断が音楽的かつ人間的というか、今は歌もピアノも修正できちゃいますけど、多少の瑕疵があっても聴いた感じがよければ、その自然な状態でよしとされるんです。わたしたちは譜面だけの世界で生きてきたので、すごく大事なことを教えていただきました。- その『Opus 0』をいろんな人に聴いてもらって、最終的にコロムビアからお話が来た、という流れですか?
Mona
そうなんです。今もお世話になっているスタッフさんのおひとりが、大橋さんのライブのときに話しかけてくださって、「日本コロムビアの者ですが、『Opus 0』を聴かせてもらって、すごく面白いと思いました。何か一緒に作りませんか?」と。そんなこと言われたことがないので、社交辞令かなと思ったんですけども(笑)、本当に一緒にやっていただけることになって、その何ヵ月かあとにメジャーデビューのお話が決まって、2019年1月にデビューすることができました。- 2019年にEPを2枚リリースして、2020年1月にフルアルバム。レコーディング、メディア出演、インタビュー、ライブと、怒濤のような1年だったのでは?
Mona
生まれたての赤ちゃんのような気持ちというか(笑)、何もかもが真新しい経験で、本当に刺激的でした。Hina
特に最初はどう動いたらいいか、どうお答えしたらいいのかもまったくわからない状態でしたけど、いろんな経験をさせていただけるのはありがたいなと思いながら、長いようであっという間の1年でした。Mona
そしてたくさんの方に出会って、いろんな方たちのおかげで少しずつ口コミで広まっているんだな、そのおかげで活動できるんだな、と実感しています。- YouTubeの動画のコメントやSNSに書いてある感想を見ると、数は決して多くないものの、一人ひとりの受けたインパクトの大きさ、思いの強さを感じます。
Mona
みなさん本当にアツく語ってくださっていて、すごくうれしいです。メジャーデビューというものにわたしは漠然と機械的な印象を抱いていたんですが、音源を作ることにも広めることにもたくさんの人が関わってくださいましたし、聴いた方がまた動いてくださっていて……と、輪が広がっていくのを見て、温かさを感じています。- 『Primo』は「はじめまして」的な作品ですし、『Secondo』は「挑戦」と、過去2枚のEPにはそれぞれテーマがありましたが、1stアルバム『Kitrist』の場合はどうですか?
Mona
第1章の集大成というか、わたしたちがこの3作目でやっと踏み出す第1歩という感じですね。改めてここから始まるのかな、と思っています。- EP→EP→フルアルバムという流れは最初から決まっていたんでしょうか。
Hina
フルアルバムを目標に、EP1、EP2と出していって、3部作というイメージは最初からありました。- ということは、収録曲をどう振り分けるかも最初から頭にあった?
Mona
はい、もちろん。『Primo』『Secondo』『Kitrist』と階段を登るような曲の分け方をしましたし、フルアルバムにはフルアルバムに必要な曲を入れました。- 「雨上がり」(NHK『みんなのうた』)、「さよなら、涙目」(映画『“隠れビッチ”やってました。』 主題歌)とタイアップ曲もありますね。このあたりはお話をもらってから書き下ろした曲ですか?
Mona
そうです。こういう作り方は今までしたことがなかったので、とてもいい勉強になりました。- ほかにこのアルバムのために作った曲というと?
Mona
新しさで言えば「Lento」と……。Hina
「overture」。Mona
その2曲は2019年に作った曲ですね。アルバムの概要が固まってきたときに何が足りないかなって考えて、ピアノとハーモニーを聴いていただけるシンプルなバラードがもう1曲ほしいね、ということで「Lento」を作りました。初のフルアルバムなので、大本となるふたりのピアノとハーモニーを前面に楽しんで聴いてもらえるものにしたいと思ったんです。同じピアノ、同じ歌声だけれど、それぞれ世界観が違って飽きずに楽しんでいただけるようにしたいという思いは強くありました。- おふたりと大橋さんやディレクターさん、みんなで話し合って?
Mona
そうですね。やっぱりピアノを大事にしつつ、曲によってはアレンジを加えても面白いかもね、と。- アレンジといえば、「Akari」はかなり大胆ですね。
Mona
これと「別世界」は1stアルバムに入れることを最初から想定して作った曲です。「Akari」は連弾で録る予定だったんですけど、リード曲なので最後の最後まで粘りたくて、「本当にこれで納得いくかな?」とレコーディング当日になってもまだ確信を持てずにいました。それで休憩していたとき、大橋さんがピアノのアドリブで「Akari」をさらさらっと弾かれたんですね。それを聴いたときに、「あー、絶対にこの音がほしい!」と思って、こちらから何かをお願いするということはこれまであんまりなかったんですけども、勇気を出して「もしよろしければ、本番でもピアノを弾いていただけないでしょうか」とお伝えしたところ、「僕でよければ」って言ってくださって。レコーディング当日、それも直前に偶然が重なって完成したので、共作させていただいた感覚があります。- 大橋さんのピアノはどう違ったんですか?
Mona
難しいんですけど……わたしたちはピアノ連弾でクラシカルに表現するのが特徴だと思うんですけど、その枠を飛び越えた表現をされていたんです。ジャズもポップスも、いろんな音楽に造詣の深い方なので、そうした豊かな音楽性が加わると確信して、「絶対にこのピアノがほしい!」と思いました。- こだわってしまっていたところを解いてもらったような感じですね。
Mona
そうなんですよ。「ふたりで」「連弾で」「Kitriらしいピアノを」と思い込んでいたんですけど、別の素晴らしい方に弾いていただいて、そこにKitriの歌声を乗せるとまた違う色が生まれるんだな、と実感しました。- Kitriには連弾とハーモニーという強力な型があって、それは圧倒的な長所でもあるからこそ、こだわってしまうのもわかります。視界が開けるヒントをさらりと投げかけた大橋さんも、素直に受け入れたおふたりも立派ですね。
Mona
頭を柔らかくほぐしていただいたような感じです。大事な曲になりました。Hina
Monaが作る曲は結構ピアノだけで完成されていて、「ほかの楽器を入れるのは難しい」とおっしゃる方が多いんですよ。たしかにクラシックで育ってきて、歌はもちろんピアノのメロディもすごく大切にして作っているし、ほかの楽器を入れる難しさはわかるので、「Akari」は大橋さんのピアノが入って本当によかったなって思います。Mona
大橋さんは元々わたしが作っていた主題みたいなメロディをマンドリンやピアノで弾くという、粋な取り入れ方もしてくださいました。- 素晴らしいですね。ほかにアレンジ曲は……。
Mona
EPにも入っていた「矛盾律」と「羅針鳥」、あと「overture」です。- それ以外の7曲はおふたりだけですね。
Hina
あと「青空カケル」がピアノとギターです。- あ、そうだ。Hinaさんはライブでもギターを弾いていますものね。
Hina
はい。小学生の頃から弾いていて、ブランクもありましたけど、Kitriになってからピアノ以外の楽器で色を加えられたらいいな、ということでライブではずっと弾いています。レコーディングで弾いたのは「矛盾律」が初めてで、この曲は初めてピアノとギターだけで録音しました。- 「バルカローレ」ではHinaさんがリードボーカルをとっていますね。MonaさんはHinaさんが歌うことを想定して書いたそうですが、自分が歌う曲との違いはありますか?
Mona
音楽的なことで言えば声域ですね。Hinaの歌声がいちばんきれいに聞こえる高さとか、あとHinaは裏声がきれいだなとわたしは思っているので、それが生きるように。力を込めて張って歌うのではなく、柔らかく聞こえる歌を、と思って作りました。Hina
わたしがリードボーカルをとるきっかけになったのも大橋トリオさんのお言葉なんです。「ふたりの声は、質は似ているんだけどやっぱり違うから、両方の声があるともっと面白いんじゃないかな?」とつぶやかれたのを、さっそくMonaが取り入れて作ってくれました。- アーティストとプロデューサーの理想的な関係ですね。大橋さんは主役を張るときはちゃんと張るし、スマートに脇役や裏方にも回れて、心憎いほどです(笑)。
Mona
本当にそうです。すごくオーラがあるので、普段はわたしたちもアーティスト・大橋トリオさんとして見ているんですけど、Kitriのレコーディング現場ではすごくリラックスしていてくださるので、緊張しないで済むんですよね。決めつけるような言い方は絶対にせず、「僕はこう思ったんだけど、ふたりはどうかな?」と柔らかくアドバイスや提案をしてくださるのも、すごくありがたいです。- Hinaさんが作詞をした曲が3曲(「Lento」「雨上がり」「バルカローレ」)と、おふたりで書いたのが1曲(「青空カケル」)。聴いて思ったんですが、Hinaさんのほうが言葉遣いがストレートですね。
Hina
そう言ってくださる方が多いですね。性格の違いもありますし、趣味もちょっと違って、姉は昔から自分で物語を作るのが得意で、わたしはその物語を読むのが好きなので、アウトプット型とインプット型って言っていて(笑)。姉の書く歌詞は空想の物語みたいなイメージが強いと思うんですけど、わたしは自分が感じたことや見える景色をまっすぐに描くことが自然と多くなっているかと思います。- 歌詞をよく見ると、Monaさんって案外、意地悪じゃないですか?
Mona
ああ、たしかに……(笑)。Hina
(大笑)。- 妹がめっちゃウケていますね(笑)。意地悪というのは冗談です、ごめんなさい。まじめに言うと批評性の高さを感じました。
Mona
どんなことも客観的に捉えて、疑問を持つことが多いですね。「これってこの流れで当たり前なのかな?」とか。そういったものが曲の物語として表れていることが多いと思います。- 「Lento」と「Akari」が、同じようなテーマを扱いながら姉妹でまったく違うのが面白いなと。“当たり前”にあるもののありがたさを、Hinaさんは素直に享受していて、Monaさんは諸行無常的な視点で書いていますよね。
Mona
言われてみればそうですね(笑)。わたしは性格的にはむしろ感情的といいますか、入り込んでしまいがちで、落ち込みやすいところもあるので、客観的に物事を見たい、フラットでいたいという気持ちが表れているのかもしれません。- 姉妹の性格の違いをお互いに言葉にするとどんな感じですか?
Hina
Monaは裏を読む力がある人だなって思います。わたしは裏が見えても表だけ見ていたいって思うタイプなんですけど、姉はその裏側にもいいところを見出すんですよね。その繊細さはわたしにはないところだなって思います。Mona
繊細って言われましたけど、実はおどけているのはわたしのほうで、Hinaはすごくまじめなんです。普段あんまり感情を表に出さないんですけど、内側にすごく情熱的なものを持っているタイプなので、そこがいいところかなと思います。- じゃあ、Monaさんが裏読み力を発揮した「鏡」の歌詞みたいなことは、Hinaさんはあんまり思わない?
Hina
そうですね。あんまり思わないかもしれないです。Mona
共感してもらえなかった(笑)。Hina
物語として楽しんでいます。インプット型なので(笑)。
【取材・文:高岡洋詞】
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約2年振りのミニアルバム『Pabulum』をリリースした、名古屋発の4ピースバンド・SideChest。彼らの変化も感じられるような革新的な一枚となった今作について、メンバー全員に話を訊いた。
リリース情報
Kitrist
2020年01月29日
BETTER DAYS
02.Akari
03.矛盾律
04.鏡
05.さよなら、涙目
06.Lento
07.青空カケル
08.雨上がり
09.バルカローレ
10.羅針鳥
11.別世界
お知らせ
Mona
リラックス
人前に出る機会をいただくと緊張してしまうので、自分に合うリラックス方法はないかな、ということで検索していました。その結果、深呼吸というか呼吸法――吸うよりも長く吐くことを大事にするのがいいと書いてあったのを見つけて、舞台裏で深呼吸してみようかなと思い実践しています。
Hina
小説 新作
趣味が小説を読むことで、ミステリーとかサスペンスとかを読むのが好きで。特にずっと好きな小説家さんが乙一さんなんですけど、先日「最近何かいい本ないかな。次は何を読もうかな」と検索したところ、ちょっと前に乙一さんが久しぶりの新作を出されたことを知って、「知らなかった! 買わなきゃ!」とすごくテンションが上がりましたね。
■ライブ情報
Kitri Live Tour 2020 SS「キトリの音楽会#3 "木鳥と羊毛"」
03/15(日)石川 金沢 Shirasagi/白鷺美術
03/21(土)北海道 札幌 ザ・ルーテルホール
03/28(土)兵庫 神戸 FISH IN THE FOREST
04/05(日)熊本 早川倉庫
04/11(土)愛知 名古屋 愛知県芸術劇場小ホール
04/19(日)宮城 仙台 レトロバックページ
04/25(土)大阪 大阪倶楽部4Fホール
04/26(日)福岡 イムズホール
04/28(火)東京 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。