ゆびィンタビュー vol.19 CY8ER

ゆびィンタビュー | 2020.01.29

「大人たちの事情」に振り回されないセルフプロデュースで新たなカルチャーを作り出すことを目指して活動してきたCY8ERが、ついにメジャーデビュー。中田ヤスタカ、Yunomi、Moe Shop、Pa’s Lam System、Masayoshi Iimori、KOTONOHOUSE、Tomggg、Neko Hacker――錚々たるクリエイターが参加したアルバム『東京』は、刺激的な世界を体感させてくれる。様々な人間が行き交い、多彩なカルチャーが渦巻く東京で活動しているCY8ERの実像とも向き合える作品だ。「東京系ネオKawaii」というコンセプトが掲げられている今作に込められている想いとは? メンバーたちに語ってもらった。

PROFILE

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CY8ER


メンバー 左から「藤城アンナ」「ましろ」「苺りなはむ」「小犬丸ぽち」「病夢やみい」
2016年12月24日に結成し「世界を騒がすガチマジアイドル」がコンセプトの「東京系」5人組アイドルユニット。
「大人たちの事情」に振り回されない、完全なセルフプロデュースにより、新たなカルチャーを作り出すことを目指して活動している。
メンバーの苺りなはむがプロデュースや事務所運営も行いながら、他のメンバーと共にライブも行っており、活動内容には一般的なアイドルが行わないような実験的な試みが多い。
活動は非常に急進的であり、2020年までに横浜アリーナでのワンマンライブを成功させる事を目標としている。
楽曲制作はYunomiが担当し、舞台演出ではhuezが協力している。
2020年1月、満を辞してメジャーデビュー。

  • 結成は、2016年12月24日ですね。
  • 苺りなはむ

    はい。もともとBPM15Qというユニットをやっていたんですけど、アイドルグループとしてやっていきたくて、小犬丸ぽちを誘ってスタートしたのが、CY8ERです。
  • ぽちさんは、誘われた時に、どのようなことを思いました?
  • 小犬丸ぽち

    ぽちは、もともとDJとして活動していたんですけど、BPM15Qの曲が好きで、「普通のグループと違うな」と思っていたんです。りなちゃんが始める新しいアイドルグループに誘われて嬉しかったです。
  • 他のメンバーのみなさんも、オーディションではなくて、誘われて加入したようですね。
  • りなはむ

    オーディションをしてみたことはあるんですけどね。
  • ましろ

    でも、それよりは、活動をしながら出会った人の方に惹かれてしまったんです。
  • 気になる人がグループを抜けた時に、声をかけたり?
  • りなはむ

    はい。
  • 藤城アンナ

    それで、入ったのが私です。前のグループを脱退するって発表した1時間後くらいに連絡が来ましたから。
  • りなはむ

    発表した日の夜中でした(笑)。
  • アンナ

    何も決めず、無になったところで連絡が来ました(笑)。前のグループの時にCY8ERと3、4回、共演したことがあったんですけど。
  • ロックバンドって、気になるメンバーに目をつけていて、脱退のタイミングで声をかけることがよくあるんですけど、それに近いスタイルかも。
  • アンナ

    たしかにそうですね。芸人さんも、コンビの解散のタイミングで誘うっていう話を聞いたことがありますし。
  • やみいさんは、どんな感じで誘われたんですか?
  • 病夢やみい

    アパレルの会社で働いていた時に、コンテストに出たんです。
  • ミスiD?
  • やみい

    はい。
  • ましろ

    その時に、豆まきのお仕事で一緒になったんです。「すごい可愛い娘がいるっ!」って思ってたら「一緒に写真を撮りましょう」って声をかけてくれました。
  • やみい

    私はCY8ERのことを知っていて、働いていたお店でも曲をかけていたんです。豆まきのお仕事で一緒になった次の次の日くらいにツイッターに、ましろちゃんから「どう?」みたいなDMが来て驚きました。
  • りなはむ

    豆まきの直後に、ましろは「気になる娘がいる!」って言っていて。
  • ぽち

    写真がいっぱい送られてきました(笑)。
  • ましろ

    やみいちゃんはタトゥーが入っているんですけど、その頃アイドルでタトゥーって、ほんといなくて。自分の中で、「新しい!」って思ったんですよ。前から存在は知っていて、会ってみたらおしとやかで、めちゃくちゃかわいいから、「行きましょう!」ってふたり(りなはむ、ぽち)に提案しました。
  • りなはむ

    連絡した日に、やみいちゃんの人生を変えちゃったみたいで。
  • やみい

    父とかが岡山の方に住んでいるんですけど、年齢とかも考えて、帰ろうかなって、私はその日に会社に退職届を出すタイミングだったんです。そこでDMをもらって、運命を感じました。
  • 運命を引き寄せ合ったメンバーによるグループがCY8ERなんですね。
  • アンナ

    そうなのかもしれないです。振り返ってみると、すべてはタイミングなんですね。
  • CY8ERの活動は、ユニークなアイディアの連続なのも興味深いです。クラウドファンディングで資金を募ってツアーをしたり、『アイドル博』での防護服ハグ会も話題になったじゃないですか。
  • りなはむ

    CY8ERは、上の人がいないから「これをやりたい!」って思った時に、「それはやめた方がいいよ」って言われないんです。
  • アンナ

    誰かが何かを提案すると、メンバーは「面白そう!」って乗り気になるんです。
  • そういうセルフプロデューススタイルの活動を経て、ついにメジャーデビューですね。このアルバムの「2020年の東京系ネオKawaii」というコンセプトには、どういう想いが込められているんでしょう?
  • りなはむ

    今までは、「世界を騒がすガチマジアイドル」というコンセプトで活動していたんですけど、「CY8ERというカルチャーを作りたい」というのが根本にあったんです。そして、「CY8ERって何系?」っていうのを言葉にすると、「東京系」だなと。秋葉原、渋谷、原宿の文化がミックスされた先にある「東京系」っていうカルチャーを、みなさんに提案したくて、このアルバムを作りました。初のコンセプトアルバムです。
  • 素晴らしいプロデューサーさんたちが参加していますね。
  • りなはむ

    そうなんです。とても嬉しいです。「これが東京系の音楽だ!」っていうトラックメイカーさんにお願いしました。
  • 「恋愛リアリティー症」は、中田ヤスタカさんのプロデュース。りなはむさんは、中田さんの作品に参加したことがありましたよね?
  • りなはむ

    はい。2018年からフィーチャリングボーカルとして中田さんの曲を歌わせていただいているんですけど、初めてCY8ERに提供していただいたのが「恋愛リアリティー症」です。
  • ぽち

    すごくキャッチーで、全部がサビみたいで、全部が好きな曲です。5人のいいところも出ていて、ひとりひとりのパートも分けられていて、サビはみんなで歌って盛り上がれるんですよね。
  • ぽち

  • ましろ

    中田さん、すごかったです。レコーディング中に、どんどん音が増えていくんですよ。
  • みなさんの歌を聴きながら音を足したり、アレンジを膨らませていったんですね?
  • ましろ

    そうなんだと思います。「歌を上手く歌わなくていい。個性が出た方がいいから」っていうことも、めっちゃ言われました。
  • アンナ

    今回のアルバムは、全曲違うトラックメイカーさんなので、作り方は全員違いましたね。毎回新鮮で、とてもいい経験になりました。
  • メンバーのみなさんはCY8ER以外にも音楽活動していますよね。音楽が大好きな5人?
  • アンナ

    そうですね。全ジャンルが好きなメンバーが揃っているという説もあるので。
  • やみいさんは、ラウド系とか、ロックが大好きだと聞いています。ロックバンドもやっていたんですっけ?
  • やみい

    はい。20歳までやっていました。父がベーシストで、赤ちゃんの頃からメタルの爆音を聴いていたんです(笑)。CY8ERの音楽の重低音、爆音の感じは、メタルに通ずるものがあるので、ロックが好きな層にも楽しんでいただけると思います。
  • CY8ERの曲は、ユニークなエッセンスも絶妙に入っていますし、日本的でもありますよね。例えば、「東京ラットシティ」は、和テイストも取り入れられているのが、とても新鮮です。
  • ましろ

    かっこいい曲です。「オリンピックで流れてほしい」って思っているんですけど。
  • ぽち

    わかる! 聖火ランナーが走ってくる開会式で流れてほしい。
  • ましろ

    こういう音、海外の人も好きだと思います。
  • ましろ

  • 海外から反応をもらうことはあります?
  • アンナ

    結構あります。
  • ぽち

    衣装とかも完コピしているグループがいるみたいなんですよ。
  • アンナ

    でかいステージでやっている映像を観たことがあります。嬉しいんですけど、「どういうことが起きてるんだろう?」って思っています(笑)。「私たちのやっているステージより大きいんじゃないか?」っていうステージなので。
  • 海外にも積極的に行きたい気持ちはあります?
  • アンナ

    はい。アジア圏以外にまだ行ったことがないので、いつか行ってみたいですね。私、ポーランドとのハーフなんですけど、EDMが人気のヨーロッパとかにもいつか行ってみたいです。
  • CY8ERの音楽は、歌詞の面でも日本的なものをすごく感じます。例えば、りなはむさんが作詞をした「東京少女」や「もしもしじゃぽん」とか、今の東京や日本の雰囲気がすごく描かれていると思いました。
  • りなはむ

    私は横浜出身なので、それほど東京から離れていなかったんですけど、自分が15歳の時に見た東京を描いたのが、「東京少女」です。
  • 何かに出会いたくて東京に来た女の子の姿が、「東京少女」を聴くと思い浮かびます。バーチャルの世界が全てだったのに、東京に来てリアルな世界とたくさん繋がれた体験が、りなはむさんにもあるんでしょうね。
  • りなはむ

    はい。東京にも夢はたくさんあるんだと思います。だから、上京してくる人とかに聴いてほしいですね。
  • やみい

    私もそうなんですけど、東京出身でも、地方の人でも、何かをしたかったら、駆けずり回らないとできないことがあると思うんです。渋谷のスクランブル交差点に近寄りたくなかったり、新宿とかが大嫌いと思っている人も、何だかんだ言っても「東京」というものに愛着があったり、最終的には、ふるさと的な場所として感じるのかなと。東京って、私の中でもそうなんです。
  • アンナ

    今回のアルバムで作詞したみなさんも、その人それぞれや、私たちにとっての東京についてイメージしながら書いてくださったんだと思います。だから、歌詞カードもじっくり読んで聴いていただきたいですね。
  • りなはむ

    自分が引きこもりだった時期があるんですけど、中田ヤスタカさんの楽曲を聴いて、活動を始めたというのがあるんです。だから、このアルバムを聴いて、夢を見れる人がいたらめっちゃ嬉しいです。
  • 強力な8曲が収録されたアルバムが完成しましたが、今後、どんなグループになっていきたいですか?
  • ぽち

    渋谷とかを歩いているとCY8ERの曲が流れてきたり、おばあちゃんやおじいちゃんも聴いたことがあったり。そういうグループになりたいです。
  • ましろ

    私はCY8ERの音楽がすごくいいと思っていて。でも、まだ知られていないんですよ。聴いてもらう機会があれば、今回のアルバムの曲も、どれかは好きになってくれると思っています。だから、いろんな形でCY8ERという存在を知っていただきたいですね。
  • アンナ

    どんな人でも1曲は気に入っていただけると思いますからね。
  • メジャーデビューした今、CY8ERはたくさんの方々と出会うための万全の態勢にあるということですね。
  • アンナ

    万全だと思います(笑)。
  • ましろ

    こうして、名刺代わりになるアルバムを作れましたからね。
  • いろいろなアイディアを出して活動するスタイルも、さらにたくさんの方に楽しんでいただけたらいいですね。
  • アンナ

    はい。ビクターさんにご迷惑をかけない範囲でやっていきます(笑)。「CY8ER、丸くなったなあ」ってファンの人に思われたくないですから。
  • ましろ

    私たちは誰かを傷つけるんじゃなくて、「楽しい」を共有したいだけなんですよ。
  • アンナ

    「えっ?」って、驚かれたりもするけど、みんなで楽しめて、ハッピーで終わりたいんですよね。そういうCY8ERであり続けたいです。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

東京

東京

2020年01月22日

ビクターエンタテインメント

01.東京ラットシティ
02.トーキョー・イノベーター
03.ユメゾラココロ
04.東京少女
05.ネクストドア。
06.もしもしじゃぽん
07.トーキョーアイデンティティ
08.恋愛リアリティー症(feat.中田ヤスタカ)

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

SPICE presents APOSTOLOS TOUR 2020
02/01(土) 大阪BIGCAT
02/08(土) 名古屋E.L.L
02/16(日) TSUTAYA O-EAST
w) 眩暈SIREN/a crowd of rebellion/RAZOR

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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