ゆびィンタビュー vol.24 Novelbright
ゆびィンタビュー | 2020.05.30
PROFILE
Novelbright
Vo.雄大の心を震わす圧倒的な歌声、一度聴いたら忘れられない確かなメロディワーク、細部まで練りこまれた楽曲アレンジに定評がある、大阪出身5人組ロックバンド。
2013年にオリジナルメンバーで結成。2019年1月に現体制となり、同年7月に開催した「どチクショー路上ライブTOUR」がSNS・口コミで大拡散、瞬く間にその名を全国へと広める。前作リリースから半年以上経つ今もなお、各種ストリーミングチャートで上位チャートインを続け「2020年ブレイク必至」とあらゆるメディアでピックアップされる、2020年期待のニューカマー。
- いよいよ1stフルアルバムがリリースされます。今の心境はいかがですか。
雄大
今、新型コロナでライブがことごとく中止や延期になってたり、周囲ではリリースができなくなってしまったりという状況のなか、僕たちもツアーは開催自粛することになってしまったんですけど、なんとかアルバムは無事に発売できそうなので、そういう意味ではちょっとホッとしてます。せめて音だけは届けたいという想いでずっといたので。海斗
Novelbrightにとって初めてのフルアルバムですし、今までとは雰囲気の違う楽曲もいろいろあるので、早く聴いてほしい気持ちでいっぱいですね。- 今作はいつ頃、制作されていたのでしょう。
雄大
前回の『「EN.」』を出したくらいから、すでに制作はしてたんですよ。なので去年の9月くらいからですね。半年ちょっとぐらいやってました。雄大
前回のミニアルバム『「EN.」(アンピリオド)』は、1年半前にベースの圭吾が加入して今の5人体制になって初めて作る作品ということもあって、そのときにできることを詰め込んだ感じの制作だったんですけど、今回はどういう曲を入れようか、しっかり話し合ったうえで緻密に考えながら計画的に作れたように思いますね。- 制作に入る際、みなさんがイメージされていたもの、目指していた作品像みたいなものは?
海斗
やっぱりメロディのキャッチーさですね。僕たちはどんな曲でもメロディをいちばん重要視してるんです。雄大の声とメロディのキャッチーさ、それを制作の軸にして進めてました。- メロディは雄大さんが付けているんですよね。
雄大
はい。基本的には聡ちゃん(沖聡次郎/Gt)と海斗くんがオケを作って、それをデータでもらって僕が歌を乗せて渡して、みたいな感じです。メロディを作る過程自体は別に今までと何か変わることは一切ないんですけど、今回はより聴きやすいメロディにしようっていうのは、結構意識してましたね。- それはどうして?
雄大
前回のミニアルバムから今回のアルバムを出すまで8~9ヵ月くらいなんですけど、その期間でNovelbrightを知ってくれた方が大半だと思うんですよ。僕たちが路上ライブをやり始めて、その映像がネットで拡散され出したのがその頃なので、それで知ってくれた方が多いと思うんです。そうしたなかで、いざ初めてのフルアルバムを出すということで、「どういう新曲を持ってくるんだろう?」みたいな期待値もきっと以前より高まっている状態じゃないのかな、と。そこに対して「Novelbrightというバンドはこんなにキャッチーでいい曲を作ってるんだぜ」っていうのをしっかり示したいという想いがあったので、メロディを付けるにあたって「ここはもっと上がったほうがいいんじゃない?」とかメンバーともいろいろ話し合いながら決めていきました。雄大
あと、路上ライブはアコースティックでやってたので、アコースティックのイメージでNovelbrightを認識してる方も多いでしょうし、そういう方たちに向けて、「Novelbrightはバンドとして5人でしっかりいい音楽を作ってるんだぞ」っていうことも証明したかったです。- まさに聴き手の心を掴んで離さないキャッチーな楽曲ばかりですし、なおかつ1曲1曲がバラエティに富んでもいますし、本当にドラマティックでダイナミックな聴き応えたっぷりのアルバムになっていますよね。オープニングを飾る「ランナーズハイ」は2020年の第1弾配信、いわば今年のスタートとなった曲でもあり、ここから本格的に走り出そうというバンドの気概も存分に感じられる楽曲ですが、やはりアルバムの始まりはこの曲だよね、と?
雄大
曲順はいつも直感で決めてるんですよ。特に今回の『WONDERLAND』は曲が出来てばっと並べたときにはもう「これはここで、この曲はここやな」ってすぐに決まって。なので「ランナーズハイ」が1曲目になったのも特に具体的な意味があるというより、メンバー共通の感覚という感じで。- 続く2曲目の「Believers」は、「ランナーズハイ」の勢いをいっそう力強く昇華させたバンドらしさが溢れる1曲で。これはどのように作られたんですか。
海斗
もっと爽やかな疾走感のある曲を作ろうと思って、僕がオケを作りました。『「EN.」』から同期や打ち込みの音も多く入れるようになってきて、最初はそういうサウンドをメインにしてたんですけど、もっと若さがあるもの、ほぼ大半をバンドセットだけの音で表現できるような曲にしたくて。- バンドの肉体感を表現したかった?
海斗
そうですね、バンドらしさを前面に押し出したかったっていうのはあります。雄大
今回、いろんな楽曲の中でギター、ベース、ドラム以外の音色が散りばめられてるなかで、「Believers」みたいな爽やかなバンドらしい曲がちゃんと入ってるのがいいなと思うんです。- ところで、今回収録された12曲はどういう基準で選ばれた楽曲なんでしょう。
雄大
30~40曲くらいあるデモの中から、まず直感で「この曲は絶対入れないといけないね」っていう曲を挙げて、そこから今回はフルアルバムということで、これまでよりボリューミーにできるので、だったら1曲くらい変化球を入れとこうとか、真面目な曲ばっかりじゃつまらないから面白おかしい曲も入れようか、みたいな感じである程度固まったところで、あとは「アルバムにこの曲はいる/いらない」って話し合って決めましたね。- 例えば「Photo album」は最初の自主制作アルバム『BRIGHT 1』(2014年会場限定リリース/現在は廃盤)に収録された、かなり初期の曲ですよね。これも絶対入れたい曲だったということでしょうか。
雄大
「Photo album」は18歳のときに作ったのでもう6年経つんですけど、いまだにライブでもやってる曲だし、今でもすごく思い入れがある大好きな曲で。ライブハウスでも路上ライブでもいろんなところで歌ってきたので、ファンの方も認知はしてる曲なんだけど音源がないっていう。なので音源として早く届けたいなっていう気持ちがここ何年かずっとあったんですよ。雄大
今回は1stフルアルバムだし、過去の曲……それこそ「夜空に舞う鷹のように」とか「スタートライン」もそうですけど、流通してない会場限定のみで発売してた曲で、今もやっている曲は再録音して入れたいなという話になって、僕がいちばんに「『Photo album』を入れたい」って言ったらメンバーも「入れよう」って言ってくれて。なので今回アレンジも多少変えて録り直したんです。- 「スタートライン」は今のバンドの状況にもすごく重なるところがあると思うんですけど、録り直したことで改めて感じたことなどは?
雄大
「スタートライン」を作ったのがたしか4年ぐらい前なんですよ。Novelbrightって初期は4人組でやってたんですけど、半分メンバーが抜けて半年ぐらい活動をお休みした時期があって。その後、聡ちゃん、海斗くん、ねぎ(Dr)という、圭吾以外の今のメンバー3人が加入して、そこからまたスタートしたんですけど、そのときに書いた曲なんです。雄大
バンドを活動休止してる間、周りの同世代のバンドが頑張っているのをすごくもどかしくて悔しい思いで見てたんですけど、それでもきっとまた新たな、いいスタートが切れるはずだという願いを込めて。その後もメンバーチェンジがあったりして、やっと今の5人になって1年半ぐらい経つんですけど、これまで見てた景色とはまた違う景色が今は見えている状況にあって、新たに気持ちを引き締められますね。すごく初心を思い出させてくれる曲で。- 個人的には「おはようワールド」がとても好きなんです。雄大さんの特技である口笛がイントロで炸裂していたり、ノリのいいダンスビートからいきなりテンポチェンジして3拍子になったり、歌詞にしてもとにかく遊び心満載で。演奏もみなさん、より伸び伸びと楽しそうに暴れ倒してますし、今のNovelbrightが持っている技を全部注ぎ込んでやれ!みたいな気概を感じたんですよ。いったいどんなふうにして出来た曲なんですか?
海斗
これはアルバムのレコーディングをしてるとき、スタジオからの帰り道にふとイメージが湧いたというか。歩きながら頭の中で曲をいろいろイメージしてたら、途中のテンポチェンジでガラッと雰囲気変わるところとかも含めて全部が一気に浮かんできて、家に着いて速攻「これはメモっといたほうがいいな」って。そこから作っていったんですよね。ほんとに思いつきっていう感じで。- え、思いつきの段階でこの構成がすでに?
海斗
大まかには決まってましたね。で、そのあとに、どういう音を入れていくかとか、そういうのを決めていって。最初の口笛のところも僕は最初ピアノで適当にバーッと弾いてたんですけど、みんなで話してるときに「やっぱりここは口笛のほうがいいんじゃない?」って意見が出てきたので、雄大が吹くことになったんです。雄大
実はこれ、いちばん最後に滑り込んだ曲なんですよ。アルバムに入れる曲がある程度決まって、だけどやっぱりフルアルバムやから、ちょっと面白おかしい曲もあっていいんじゃないかなっていう話をしてたところに海斗くんがこの曲を作ってきて、これならそういうメロディと歌詞を付けられそうやな、と。で、レコーディングも半ば終わってるぐらいのところで、やっぱりこの曲入れようやって話になったんです。歌詞とかも、すっごいしょうもないんですけど(笑)。- それがまたいいじゃないですか(笑)。
雄大
僕、本当に朝起きるのが苦手で、出発するまでが毎朝戦争なんです。しかも、海斗くんが曲を作ってきたときの仮タイトルが「おはよう世界」だったっていう(笑)。ちょうどええやん、みたいな。僕が朝起きてからのストーリーをテーマにして書いてみようかなって。でも、こういう曲が意外にライブで盛り上がったりするので、個人的にはいい曲が出来たなと思ってます。- 確実に盛り上がるでしょう!
雄大
あと、2番に入ってすぐ3拍子に変わるところでは、レコーディング中に急遽面白いことがやりたくなって、猫の鳴き真似や叫び声とか、おじさんが笑ってる声を入れたんです。全部、僕が自分の声でやってるんですけど(笑)。- こういうこともやっちゃうバンドなんだってかなり新鮮でした。ある意味、新機軸というか。そういう意味では「ENVY」のシニカルさもこれまでのNovelbrightにはなかったものだという気がしていて。特に歌詞ですけど、これは雄大さんが常々思っていらっしゃることだったりするんでしょうか。
雄大
僕らの歌って、誰かの背中を押したりとか、今まで味わってきた悔しさや悲しいことを糧にこれから頑張っていこうとか、夢に向かって進もうとか、あるいはラブソング的なものだったり……基本的にはそういうものが多くて、こういう、何かについて物申すような曲って意外と今までなかったんですよ。ただ、最近は自分の目で実際に確かめもしないでネットの情報や周りの人からの情報だけをすべて鵜呑みにして「それが真実だ」って思い込んでる人が結構いるなと感じることがよくあって。雄大
例えばスマホで何かを調べたら、それだけで完結しちゃったり、ネットっていう入口の情報だけで“いい/悪い”を決めちゃう人が多い気がするというか。でも実際に自分の目で見てみたら思ってたのと違ったり、「意外といいじゃん!」みたいな発見があると思うんですよね。つまり「真実はスマホの画面越しじゃねぇぞ」と言いたかったんです。便利な時代だけど、だからと言ってすべてを鵜呑みにするんじゃなく、自分の目で確かめたものが答えなんだよって。- でも、そうやって世の中に何かを提言するってなかなか勇気がいることじゃないです?
雄大
この曲を聴いて「Novelbright、いいこと言うやん」っていう人もいれば「何言ってんねん」みたいに思う人もいるかもしれない。そこは賛否分かれると思うんです。でもアーティストなので、自分が発信したいなと思ったときに思ったことを言うっていうのは大事だと思うし、だから今、24歳の僕が言いたかったこととして歴史に残したいなって(笑)。- Novelbrightの歴史にね(笑)。ホント痛快です、これ。
雄大
とはいえ、ただ単に僕が個人的に言いたかったことっていうわけでもなく、バンドとしても言いたかったことなので書いたんですけど。海斗
歌詞が雄大から上がってきたのを見たときは「よくぞ言ってくれた!」みたいな(笑)。メンバーみんながたぶんそう感じたと思いますね。- この2曲とはまた別のベクトルで異色なのが「candle」ですよね。このアルバムでは唯一、海斗さんが作詞されている曲ですが、まさかここまで大人っぽいラブソングが聴けるとは。
海斗
たしかに今まであんまりNovelbrightではやってこなかった、アダルトな雰囲気の曲に仕上がりましたね。- 海斗さんがこの曲の歌詞を手掛けることになった経緯もぜひ知りたいです。
海斗
前のミニアルバムでは2曲(「the Eternal oath」「Rain Dancer」)、僕が作詞をしたんですけど、それによって僕は歌詞を書くのが好きなんだなって気づいたんですよ。ただ、今回のアルバムに関しては、詞は全部、雄大が書こうかなって話になってて。でも「candle」のまだ歌詞が乗っていないトラックやメロディを聴いてたら、めちゃくちゃイメージが湧いてきて、すごく書きたくなったんです。なので雄大に「この曲だけ書かせてほしい」って言って。雄大
まだ手をつけてなかったし、どういう歌にしようかなってテーマすらも決まってなかったところに、海斗くんがしっかりこういうことを書きたいって言ってきたので、僕としては「どうぞ、どうぞ」と(笑)。前回のミニアルバムで海斗くんが書いた2曲が、僕とは正反対というか、いい意味で全然違う歌詞だったんですよ。海斗くんの魅力がしっかりあっていいなって思ってて。全部が同じ色じゃなく、違った色もあってこそのフルアルバムだとも思ったので、「ぜひ書いてください」って感じでしたね。- では最初にこの歌詞を読んだときの感想は?
雄大
セクシーですね、みたいな(笑)。海斗
ははははは(笑)。もともと大人っぽい曲にしようってメンバーの間でも話してたので、そういうイメージはあったんですけど、なんだかすごくドロドロとした男女の関係性が湧いてきて(笑)、それをそのまま僕なりのストーリーにしたっていう感じです。- 雄大さんの歌声がこの曲の切なさ、やるせなさにぴったりハマっていて。実際、レコーディングで歌うときはどんな感じだったんでしょう? やっぱりほかの曲とはちょっと違いましたか。
雄大
ほかの曲よりもアダルトな雰囲気があったので、大人っぽく歌いたいな、とは心がけてましたね。- 主人公は女性ですよね。
海斗
そうです、女性目線です。- じゃあ雄大さんも女性の気持ちになって。
雄大
まあ、そうですね(笑)。声のタッチとかもほかの力強い曲とかよりは柔らかいタッチで歌って、サビはパーンと高くなるのでちょっとした力強さが出るんですけど、AメロやBメロは優しいタッチで女性らしさは意識しました。- 自分が書いた歌詞ではない曲を歌うというのも、歌い方の違いに作用したりしますか?
雄大
それはありますね。慣れるのにちょっと時間がかかりますし。自分の歌詞って完成して初めてそれを見るというよりかは、書いてる段階でどういうものかを理解してるので、完成したときに“新たに出来た感”や“初めまして感”はないんですけど、人が書いた歌詞の場合、全部が新たに見せられたという感じなので、一語一句、「どういう意味があるんだろう」「どういうストーリーなんだろう」って自分なりに呑み込むには、やっぱり時間がかかるんですよ。雄大
でも、それはそれですごくいいなと思うんですよね。自分がまったく考えもしなかったような言葉を海斗くんが表現してくれるから、そういう表現の仕方があるんだってすごく勉強になりますし。もちろんボーカリストとして伝えたいことはあるので、自分が書きたい歌詞はこれからも書いていきますけど、アルバムの中で何曲か海斗くんが書く歌詞があるのはいいんじゃないかなって。- 海斗さんならではの表現って、例えばどのような?
雄大
僕自身は自分の経験を介して歌詞を書くことが多いんですよ。そのとき思ったことを書くっていうのがほとんどで。でも海斗くんは詩的というか、表現方法が僕と全然違うので。すごくいい意味で、しっかり読み込まないとすべてを理解できない歌詞だと思うんですね。なので歌詞に見入っちゃうというか。たぶん誰が歌詞を書いたか伏せた状態でも普通に違うってわかると思いますよ。特に「candle」は。- たしかに<創られただけの愛は/また美しく崩れていく>とか、すごくロマンティックですよね。海斗さんご自身、かなりのロマンティストだったりされますか?
海斗
いやぁ……なんなんやろ?(笑)。ちょっと恥ずかしい話なんですけど、僕の昔からの習慣で、寝る前に寝つくまでヒマなので頭の中でひとつ物語を進めてるんですよ。ひとつの題材をもとにストーリーを妄想しながら寝つくまで過ごしてるんです(笑)。そういうことを、昔からヒマつぶしみたいな感覚で、ボーッとしてるときもやったりしてたので、それが要因かもなって。雄大
そうなんだ(笑)。- ちなみにおふたりは、それぞれのキャラクターについてどう思っていますか?
雄大
歳は海斗くんが2コ上でバンドの中で最年長なんですけど、いい意味でというか(笑)、年齢の差は感じさせないですね。むしろ海斗くんはいちばん年下なんじゃないかなって、精神年齢が(笑)。海斗
でも雄大も変わったヤツですよ。人のこと言えない(笑)。僕からしたらやっぱり年下な感じも見えますし。面白いのが、めちゃくちゃ細かいところまで気にするくせに、ふとしたところでめちゃくちゃ適当なので、「どっちなんだ?」って思うときがありますね。雄大
でも基本的に僕らみんなクソガキですよ。個性の渋滞ですね(笑)。- あはははは! ラストの「時を刻む詩」はまさにNovelbrightそのものを感じさせる曲でした。これは最近作られた曲ですか?
雄大
はい、今回のアルバム制作の過程で作った曲です。僕たちと応援してくれてるファンのみんなとの物語みたいな歌詞を書きたいなとずっと思ってたんですよ。僕たちもまだ全然これからのバンドだし、この先の道のりにはもっとしんどいこともたくさんあると思うんですけど、今ここまで来れたのは、やっぱり応援してくれる人たちが僕たちのことを広めてくれたおかげなので。雄大
大人が周りにまったくいなかったので、巨大な力でNovelbrightを押し上げてくれるなんてこともなく、ほんとに自力でやってきたバンドなんです。それを応援してくれる一人ひとりがNovelbrightを広めてくれて、今やっとちょっとずつ認知され始めて。僕たちを今まで支えてくれたみなさんに感謝を込めて作りました。- 大人の力に頼ることなく、Novelbrightを心からいいと思う人たちの応援によってここまで広がったというのは、バンドにとっても大きな自信になってるのではないでしょうか。自分たちの音楽を信じてこれまでやってきたことが間違っていなかったという証明でもあるでしょうし。だからこそ書けた曲なんじゃないかなと思います。
雄大
Novelbrightという名前でバンドを始めてから、この9月で7年になるんですけど、1年くらい前まではバイトもしてましたし、バンドで生活をしていくなんてまだまだ程遠かったんですよ。Novelbrightは僕が唯一のオリジナルメンバーなんですけど、ほかのメンバーも以前からずっとバンド活動をしてたわけで、同じくらいの期間をともに苦労してきた仲間でもあるんですよね。そうやって地道に活動を続けてきたなかで路上ライブを始めて、SNSがきっかけで人生ががらりと変わって。それまで数10人だったお客さんが、路上ライブで1000人ぐらい集まってくれたときはほんとに震え上がるぐらいうれしかったです。雄大
そういう瞬間瞬間のいろんな気持ちが今の自分たちを駆り立ててくれているというか。この曲の1番と2番のBメロは僕らが路上ライブをやってるときの姿を書いてるんですけど、走馬灯のようによみがえってきた思い出をしっかり歌詞に表現できたと思ってます。いい意味でわかりやすく自分たちの歴史が表現できたなって。- アルバム自体も、みなさんがこれまで歩んできた道のりや抱えてきた感情、さまざまな表情が詰め込まれた、Novelbrightそのものだと言っていいアルバムだと思うのですが、そうした作品に『WONDERLAND』、直訳すれば“不思議の国”というタイトルを付けたのはどうしてですか?
雄大
このタイトルも直感で付けたんですよ。前の『「EN.」』はめちゃめちゃ意味を考えて付けたんですけど、「今回はどうする?」ってアイデアをいろいろポンポン出してるときに僕がふと「『WONDERLAND』ってよくね?」って言ったら、みんなも「なんかいい!」って(笑)。海斗
ほんとに直感で「ええやん!」みたいな感じ(笑)。雄大
でも後付けですけど、初めて世に出るフルアルバムということで、Novelbrightというバンドの振り幅もしっかり見せられる、いろんな色を持った曲が入った作品っていう意味としても『WONDERLAND』はすごくいいなって。海斗
例えば『WONDERLAND』っていう島があったとして、その島は円形で12区分されてるんですよ。1曲1曲、1区分1区分の全部にそれぞれの特徴があって、12区分されたどの入口から入っても最終的には真ん中にあるNovelbrightの良さに辿り着ける――そう考えると、すごくぴったりなタイトルなんじゃないかなと思いますね。雄大
めちゃめちゃいい表現だね、それ。今、初めて聴いたけど(笑)。海斗
僕も初めて言った(笑)。雄大
もし僕ひとりでインタビュー受けることがあったらパクろうと思います(笑)。- どんなふうに聴いてもらいたいとかはありますか?
雄大
どの歌も捉え方はその人の自由やと僕は思ってて。受け取り手によって歌の意味もまた変わってくるだろうし、何回も聴くうちに「はじめはこう思ってたけど、本当はこうなんじゃないかな」みたいに変化していってもいいと思うんです。特に今回は『WONDERLAND』っていうくらいいろんな楽曲があって、よりいろんな受け取り方ができる飽きないアルバムになったと思うので、深く深く楽しんでほしいですね。海斗
まだあんまり僕らを知らない人たちからすると、Novelbrightってすごくポップなイメージで見られてると思うんですよ。そういう人たちから「こんなポップな曲でロックバンドってどうなの?」みたいに言われることもよくあるんですけど、でも僕らがロックバンドとして掲げてるのは信念であって。ロックバンドを信念としたうえで、いろんな曲を僕らなりに表現できる形で届けたいと思ってるんです。なので、そういう一側面だけからのイメージを、このアルバムを通してちょっと柔らかく考えてもらえたらっていう想いはありますね。- きっと大きく変わると思いますよ。新型コロナが収束して、この楽曲たちをライブでも思いっきり楽しめる日を心から待っています。
雄大、海斗
ありがとうございます!
【取材・文:本間夕子】
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リリース情報
WONDERLAND
2020年05月27日
Emperor Driver
02.Believers
03.君色ノート
04.Photo album
05.おはようワールド
06.ENVY
07.夜空に舞う鷹のように
08.夢花火
09.スタートライン
10.candle
11.Prologue -Before the dawn-
12.時を刻む詩