「日常を音楽にしたい」――注目のニューカマー・ヤユヨ入門編インタビュー!

ゆびィンタビュー | 2020.06.10


 2019年1月に大阪で結成されたヤユヨ。活動歴はまだ浅いが、着々とその存在が知られつつあるバンドだ。淡々と過ぎていくようでいながら、無数の感情を掻き立てる要素、肌触り、風景に満ち溢れている「日常」を描く彼女たちの音楽には、豊かな物語が脈打っている。そして、多彩なニュアンスを醸し出す演奏も、非常に味わい深い。初の全国流通盤としてリリースされる1stミニアルバム『ヤユヨ』は、このバンドの魅力をさらにたくさんの人々に伝えることに繋がるだろう。リコ(Vo/Gt)とぺっぺ(Gt/Cho)に、今作について語ってもらった。


PROFILE

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ヤユヨ


 2019年1月に高校の同級生で結成した大阪の3人組ガールズバンド。
 Vo.リコのどこか切なく耳に残りやすいクセになる歌声と、Vo.リコとGt.ぺっぺの2人のソングライターによる飽きのこない多彩な音楽を強みに関西圏を中心に活動中。現役女子大学生が日常の中で感じること、考えること、見ること、聴くことすべてを音楽に。どんな事があっても、どんな気持ちになっても、どうにか生き抜いた昨日達が無駄にならないように。ヤユヨにしか至らない音楽で、たくさんの人々の日常にヤユヨのロックを贈ります。
 未流通音源の展開企画「タワクル」にてTOWER RECORDSの一部店舗で自主音源の展開がスタートし、品切れが続出。一時は入手困難にもなるなど3ヵ月以上のロングチャートを記録。2019年12月にはバンドとして初となる「さよなら前夜」のMVを公開し、約4ヵ月で80万回再生を記録した。

  • 結成してから、まだそんなに経っていないんですよね?
  • リコ

    そうですね。まだ1年くらいなので。
  • ぺっぺさんがリコさんをバンドに誘ったんでしたっけ?
  • ぺっぺ

    はい。高校の頃、軽音部で一緒になって、まだ大学受験が終わってない時期に「将来、音楽したいなあ」っていう話をしたんです。リコはそういうことが想像できてなかったみたいで、断られてしまったんですけど(笑)。
  • リコ

    将来的には歌う仕事をする前提で生きてたんですけど、やるんやったら大学行かへんっていうテンションやったので。大学に行きたいっていう気持ちもありましたし、その時点では決めきれなかったんですよね。
  • ぺっぺさんが、リコさんと一緒にバンドをやりたいと思った理由は?
  • ぺっぺ

    軽音部の頃からふたりで音楽の趣味を結構共有してて、ライブもよく一緒に行ってたんです。
  • リコ

    w.o.d.とか突然少年とか、一緒に行ってましたね。
  • ぺっぺ

    あと、私はリコの声が好きで、ぞっこんになってたというか。だから自分が音楽をやるにあたって「誰に歌ってもらおう?」って考えたときに、リコが思い浮かんだんです。軽音部にはほかにも歌のうまい人がたくさんいたんですけど、声が好みやったっていうのが誘った理由としていちばん大きいです。
  • リコさんの歌声に惹かれた理由、僕もよくわかります。なんか、聴いていると、郷愁を誘われるような声なんですよね。
  • リコ

    うれしいです(笑)。自分では、自分の声を聴くのが結構苦手なんですけど、そう言っていただけると自信を持って歌えます。
  • ぺっぺ

    リコにしか歌えないメロディがあると思って、私はこのバンドをやってます。この歌声を活かせたらいいなと思いながら曲作りをしてますね。
  • バンドを結成してから、サウンドの方向性とかは何か話し合いました?
  • リコ

    はっきりとは決めてなかったですね。「こういう歌を歌いたい」っていうのを共有して、メンバーがいいと思ってくれたらそのままバンドで表現するっていうやり方で、この1年間やってきました。
  • この1年間は濃密でしたよね。どんどん名前が知られるようになっていますし。
  • リコ

    そうですね、びっくりしてます(笑)。音楽を聴けるアプリのEggsに「さよなら前夜」をアップしたことが、いろんな方に聴いていただけるようになったきっかけだったのかなと思ってます。でも、オーディションにはことごとく落ちてたんです。
  • ぺっぺ

    全然曲数がないのに、いろんなオーディションに送って、全部落ちてました。
  • 結果が伴わなくても、曲に自信はあったんじゃないですか?
  • リコ

    ありました。自分たちに足りないところがありつつも、変えなきゃいけないところもないと思ってたので。
  • ぺっぺ

    オーディションにたくさん落ちてからは、「ライブ頑張ろう!」っていうふうに変わっていきましたね。
  • 状況が変わるきっかけとなった「さよなら前夜」は、リコさんがヤユヨで最初に作った曲なんですよね?
  • リコ

    そうです。作詞作曲、全部頑張りました。
  • エネルギッシュなサウンドですけど、歌っている内容が切ないのが印象的です。
  • リコ

    最初に弾き語りでデモを録ったときは切なさしかなくて、バラードみたいな感じだったんです。でも歌詞に自分が経験したことが入ってるので、あからさまにバラードにすると恥ずかしいなと思って(笑)。だから明るくしたくて、アレンジしてもらいました。
  • この曲を含む4曲入りのシングル「さよなら前夜-Single-」が、去年の12月にタワーレコードの一部店舗で販売されて、そこからさらにいろんな反応をもらえるようになったんですよね?
  • リコ

    はい。ライブ会場でCDを売ってたときは、1日で1枚とかしか買っていただけなかったりしたんですけど、タワーレコードさんでいろんな方々に手に取っていただけたのはびっくりしました。
  • 今回の作品が初の全国流通盤ですけど、どういうものにしたいと思っていました?
  • リコ

    「ジャンルに縛られたくない」とか「日常を音楽にしたい」というバンドのコンセプトを、そのまま全国流通でお届けできるものにしたいと思ってました。
  • 描く内容に関しては、「別れ」というものを様々な角度から描いているという印象もしました。
  • リコ

    たしかにそうですね。「なんでですか?」って訊かれたら、答えるのが難しいですけど。「kimi_no_egao」は恋愛っぽく描いてるんですけど、友だちのことを思って歌詞を書きました。
  • リコさんの歌声は、日常の一部である別れを描くのに、すごく長けているというのもあるんでしょうね。やはり、切ないムードを誘う声ですから。
  • ぺっぺ

    そうですね。おっしゃるとおり、切なさとか懐かしさとかが伝わってくる声だと私も思ってますし、歌詞で別れを描いてたりもするので、メロディやギターのフレーズも、ちょっと切なさや悲しさを入れてます。明るめのメロディではあるけど、ギターでちょっと悲しみを入れてみたりはしてますね。
  • 「kimi_no_egao」は起伏に富んだ展開で、エネルギッシュなバンドサウンドですけど、切ないニュアンスを絶妙な匙加減で醸し出していますね。
  • リコ

    この曲は、リードギターが印象的なのかなと思います。
  • ヤユヨは、ギターサウンドもかっこいいですよね。
  • リコ

    ありがとうございます。私、「七月」のギターが気に入ってます。
  • 「七月」はアウトロのギターがすごくいいです。
  • ぺっぺ

    アウトロのギターのイメージはOasisなんですよ。
  • ノエルになりきったんですね?
  • ぺっぺ

    そうです(笑)。ノエルを舞い降りさせて弾きました。
  • ぺっぺさんが作詞作曲をした「メアリーちゃん」も、躍動感に満ちたサウンドですね。ところどころで感情を剥き出しにするニュアンスが、リコさんの手がける曲とはまた別の味として感じた部分です。
  • リコ

    「メアリーちゃん」は、私には書けない曲ですね。でも歌ってて楽しいし、感情を込めることができるというか。メアリーちゃんになりきるのが楽しいです。
  • ぺっぺ

    「メアリーちゃん」は、メアリーちゃんという主人公がいて、小説を書いた気分で作ったんですよ。「こういうメンヘラな女の子がおって、こういう生活をしてて、こういう友だちがおって」っていうことを設定してから書いたので、台本みたいな感じのストーリーがある曲ですね。
  • リコ

    嫉妬心が強い女の子の曲なんですよね。
  • ぺっぺ

    この曲、最初は歌詞を英語で書いてたんですよ。
  • リコ

    知らんかった(笑)。
  • ぺっぺ

    英語だと表現がストレートになるんですよね。それを日本語にしたので、ストレートに本音を表した歌詞になったんだと思います。
  • リコ

    「メアリーちゃん」を作ってたとき、私はまだバンドにいてなかったんです。だから、英語の歌詞だったって今知りました。
  • それぞれの曲に、すごく豊かな物語がありますよね。リコさんが作詞作曲をした「今度会ったら」は、《今度会ったら》って歌いつつ、どうやら「今度」がなさそうなことを、この主人公は知っているんだろうなと想像しながら聴きました。
  • リコ

    おっしゃるとおり、「今度」はないと思いますねえ(笑)。
  • (笑)最後に《全部大好きだったのに/全部大好きだったのに!》って感情をぶちまけて、歌と演奏がスパッ!っと終わるアレンジが、歌詞にすごく合っていると思います。エモーショナルなエンディングである分、切なさと未練が余韻とともに伝わってくるので。
  • リコ

    《全部大好きだったのに/全部大好きだったのに!》っていう歌詞とメロディが頭の中にあったので、そこから全体を構成していきました。終わらせ方は、ぺっぺのアイディアでしたね。
  • そして「さよなら前夜」は、先ほども少しお話したとおり、ヤユヨがたくさんの人に知られるきっかけになった曲ですが、別れたあとではなくて、別れの瞬間や気配、予感をじっくりと描写しているのが独特ですね。
  • リコ

    「なんで別れる直前のことを描いたんやろ?」って、自分でも思いました(笑)。失恋って痛くて傷みたいなものなので、《青い痣》っていう表現が出てきたりもしたんですよね。
  • CDでリリースされると歌詞カードを読みながら曲と向き合ってもらうこともできますから、歌詞の細かな描写やニュアンスに対する反応が増えると思いますよ。
  • ぺっぺ

    ぜひ歌詞も読んでほしいですね。
  • リコ

    ライブだけやったら歌詞を感じ取るのは難しいと思うので、歌詞に反応してくださる人がいたらうれしいです。いっぱい読んで、考えてほしいですね。「どういうことなのか?」って。
  • 「さよなら前夜」のサウンド面に関しては、サビで歌がユニゾンになるのも、力強さと対照的に、切なさが醸し出されていると思いました。
  • リコ

    あそこはレコーディングで大合唱しましたね。
  • 「さよなら前夜」は2000年代初頭の日本語パンク的な疾走感がありますけど、「七月」はそれとはまた違った味わいで、新鮮でした。曲をじっくりと展開させながら、切ないムードを高鳴らせていく感じが、とても気持ちいいです。
  • リコ

    「七月」は、「さよなら前夜」とストーリーを似せたというか。まったく同じストーリーではないですけど、「さよなら前夜」を違う視点で描いてる感じもあると思います。現時点で、YouTubeでMVを観ていただけるのは「さよなら前夜」だけなので、明るいバンドだというイメージを持ってる人が多いのかもしれないですけど、こういう面も感じていただけたらなと。
  • ぺっぺ

    「七月」のアレンジを考えながら、「さよなら前夜」を越えるくらいの曲を作りたいという気持ちがあったんです。完成したときに「うまくいった!」っていう手応えがありました。
  • あと、リコさんが作詞、ぺっぺさんが作曲した「いい日になりそう」も、ヤユヨの新鮮な一面を感じた曲です。朝に感じる「今日はいい日になりそうだなあ」っていう漠然とした予感を描いていますね。
  • リコ

    あんまり恋愛とかが関係せえへん、「私の日常」というものにスポットを当ててます。
  • ぺっぺ

    「いい日になりそう」っていうタイトルは、曲が完成してから決まったんですけど、朝の準備をしてる感じとかは、演奏に反映させたいと思ってました。Aメロは、まだ寝起きで、「家から出たくないなあ」っていう憂鬱な感じで、Bメロのブリッジミュートのリズムの刻みで、「でも行かなきゃいけない。頑張らなきゃいけない」っていうのを表現したりしてます。
  • サウンドと歌詞が絶妙にリンクしているというのは、ヤユヨのあらゆる曲に言えることですが、これはその代表例だと思います。あと、《私が知らない今日》って、いい表現ですね。たしかに、「今日」ってまだ知らないものですから。
  • リコ

    「今日」って予想ができなくて、何が起こるかわからないですからね。
  • 《私が知らない今日は/なんか、いい日になりそう》って、商品とか企業のキャッチコピー的なポップさを感じます。
  • リコ

    うれしいですね(笑)。ありがとうございます。
  • 今回の作品、CDには「ユー!」と「さよなら前夜」のアコースティックバージョンも収録されるんですね。
  • リコ

    はい。「ユー!」はライブで人気があるイメージなので、アコースティックでやったら、また別の雰囲気で聴いていただけるのかなと。「さよなら前夜」はキーを変えて歌いました。キーを上げたことによって切なさを倍増させたというか、「切なさだけを込める」っていうものになってると思います。
  • リコ

  • この作品は、まず6月10日に配信されて、8月5日にCDがリリースされるわけですが、さらにたくさんの人にヤユヨを知っていただいた先で、どのような活動をしたいと思っています?
  • リコ

    自分たちのツアーもやったことがないし、フェスとかもまだ出たことがないので、そういうのに出たいですね。フェスは、ヤユヨのことをまだ知らない人にも聴いてもらえる機会なので、そういう場で演奏したいです。あとは、街中とかラジオとか、いろんなところでヤユヨの曲がかかるようになったらいいですね。そういう機会が増えるように頑張っていきたいです。
  • ぺっぺ

    今、ライブができなくなってて、活動のペースが少し遅くなってる感覚があるんですけど、自分たちは演奏する側になって、いろんな人に音楽をどんどん聴いていただける状況になってるんですよね。だから、いろんなフェスに出たいし、各地でライブをやって、ヤユヨの音楽を聴いていただきたい一心で曲を作ってます。いろんな音楽も聴きながら、「パワーアップしていくには、どうしたらいいやろ?」っていう感じで、インプットもしてますね。
  • リコ

    今は部屋にこもりきりですけど、それはそれで今の日常なので、そういうのも歌にできたらいいなと思ってます。

【取材・文:田中大】

tag一覧 J-POP ミニアルバム ゆびィンタビュー 女性ボーカル ヤユヨ

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リリース情報

ヤユヨ

ヤユヨ

2020年06月10日

TALTO / murffin discs

(配信) 2020年6月10日
(CD) 2020年8月5日

01.kimi_no_egao
02.いい日になりそう
03.メアリーちゃん
04.今度会ったら
05.さよなら前夜
06.七月
<CDのみ>
07.ユー! (acoustic ver.)
08.さよなら前夜 (acoustic ver.)

お知らせ

■配信リンク

『ヤユヨ』
http://lnk.to/yayuyo-yayuyo



ジョンソン®キャンペーンサイト
https://johnsons.jp/refreshgel-yayuyo



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