貫き通した信念を結実させたメジャーデビュー作――全曲解説で解き明かす!

ゆびィンタビュー | 2020.08.07


 東京都府中出身の4ピースバンド・koboreが、8月5日に2ndフルアルバム『風景になって』をリリースする。今作でメジャーデビューを果たす彼らだが、そこに変な気負いは一切感じられない。今までどおりの自然体のまま、自分たちが「これがいい」と思ったものに対してだけ素直に反応していくという彼らの姿勢が顕著に表れている作品だ。そして今回Fanplus Musicでは、佐藤 赳(Gt・Vo)と田中そら(Ba)のふたりに『風景になって』の全曲解説をしてもらった。アルバムを聴きながら、ざっくばらんとしたふたりの明るい雰囲気を感じ取ってもらいつつ読んでみてほしい。

PROFILE

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kobore


 2015年結成。東京、府中発ギターロックバンド。
 2016年にリリースした demo CD「ヨルノカタスミ」をきっかけに、2017年ビクターロック祭りにO.A.出演を果たすなど注目を集める中、同年2017年9月に1st mini album「アケユク ヨル ニ」をリリース、全国31ヶ所のツアーを行う。
 その後、休む事なくライブと音源制作を重ね、2018年3月にはシングル「アフレル」をリリース、全国12ヶ所のツアーを行う。そのわずか2ヶ月後の5月には、2nd mini album「ヨル ヲ ムカエニ」をリリース、タワレコメンに選出される。リリースツアーは全国53ヶ所にも及ぶロングツアーを行い、渋谷TSUTAYA O-WESTにて行ったツアーファイナルライブは満員、大盛況で幕を閉じる。
 2019年1月にはキャリア初となるフルアルバム『零になって』をリリース、全国22ヶ所のツアーを行う。ツアー初日の府中Flightのソールドアウトを皮切りに全国各地着実に動員を増やし、ツアーファイナル名古屋編に続き大阪編、そしてツアーファイナル渋谷CLUB QUATTROもソールドアウトを記録。
 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019 / MONSTER baSH 2019 / MURO FESTIVAL 2019 / FREEDOM NAGOYA 2019 など数々の大型フェスに初出演が決まる中、息をもつかせぬスピードで8月に1st EP「音楽の行方」のリリースし、全国ツアー「ダイヤモンドTOUR 2019」も開催。類まれなスピード感で急成長を続けるkoboreから目が離せない。

  • メジャーデビューすることになったと聞いたとき、どう感じました?
  • 佐藤

    関わる人が増えるっていうことだなって思ったし、今まで以上に自分たちで決めなきゃいけないことが増えるってことで、メジャーデビューしたからメジャーバンドになったというよりは、そのステージに立ってどれだけkoboreでいられるかっていうことを真面目に考えました。音楽ってやっぱり人と人だと思うので。
  • 田中

    僕はうれしいという気持ちはもちろんありましたけど、そこに驚きはなかったです。というのも、koboreに入った時点で、このバンドはきっとメジャーデビューするだろうと思ってたんですよ。だから、これから先は想像できないですけど、この展開は予想してました。
  • 佐藤

    彼は人気者だから、僕ら3人は行けなかったとしても、自分は行くと思ってたと思いますよ。
  • 田中

    いやいや、そんなのはまったくないですよ!(笑)。赳は高校の先輩で、そのときからすごい人だと思ってましたし、こういう未来がわかってたからkoboreに入ったっていうのもあります。
  • 佐藤

    俺はメジャーデビューを目指して誘ったわけではないんですけどね。でも、4人でデビューできてよかったです(笑)。
  • ソロデビューじゃなくて安心しました(笑)。今まで自分自身の内側に宿る想いを音楽に変えてきたkoboreが、「ボーイズアンドガールズ」のような「対誰か」に向けた応援歌を作ったり、日を追うごとにライブの規模感が変わっていったりするなかで、自分たちの音楽に対する考え方や心境の変化というのはありました?
  • 佐藤

    自分たちが目にしてる景色や聴いたものを音楽にすることが多かったので、心境の変化を伴っての今というよりは、周りの移り変わりに順応できたから自ずと変化したんだと思います。だから、変わっていったっていう感覚はあんまりないですね。音楽的な環境は変えていかないといけないとは思うんですけど、作詞や作曲をするうえでの過程は崩さずに、今までどおり日常の空気を纏わせられたらいいなと思ってます。
  • 田中

    赳の書く歌詞やバンドのスタンスについては、根底は変わってないと思います。ただ、僕と安藤(安藤太一/Gt・Cho)と克起(伊藤克起/Dr)の3人は、演奏者として技術面や知識面を強くしながら日々変わらないといけないと思ってますし、安藤と克起は特に強く感じてると思います。今の時代、パソコンひとつあれば音楽を作れますけど、僕たちは赳の歌と楽器3種類という制限を設けたなかでやれることをやってるので、音楽的な変化と、変わらないバンドのスタンスが隔離することもないですね。
  • なるほど。では、ここからは今作についてお聞きしていきます。『風景になって』の構想はもともとあったんですか?
  • 佐藤

    タイトルだけは決めてましたね。1stフルアルバムが『零になって』だったので、「~になって」という部分での繋がりで、次は何になろうか?というところは考えてました。ずっとkoboreの音楽を聴いてくれてる人にワクワクしてもらえるようなアルバムタイトルにしたかったんですよね。それを考えていくなかで、ライブのMCでも「僕たちの音楽が、ちょっとした風景になればいいなと思ってます」って言ってるので、“風景”というワードがいちばんしっくりきたという感じです。
  • 「風景」という言葉がkoboreの音楽性を表していると思える理由って何でしょう?
  • 佐藤

    風景って、自然に思い出すじゃないですか。苦しいときに聴いた音楽を聴けば、そのときの感情を思い出すし、うれしいときも然り、場所も然り。音楽ってそういうものであってほしいんですよね。リスナーの耳にずっとkoboreの音楽がなくてもいいし、何かあったときに思い出してくれたらそれで充分だと思ってるんです。だから、僕らの音楽が“自分にとって何かを思い返すためのコンテンツ”になってもらえたらいいなと思いながら音楽を作ってます。
  • 客観的というか、かなりフラットな考え方ですよね。
  • 佐藤

    音楽って誰かに言われて無理して聴くものでもないと思いますし、1番じゃなくてもいいと思うんです。でも、いざこっち側に来たときには、いくらでも響かせられるものは揃えておくよ!っていう気持ちです。ライブはずっと必死なんですけどね。
  • 田中

    僕も、音楽は押し付けるものではないと思ってるので、同意ですね。
  • うんうん。今作を聴いても、koboreが思うそういった「音楽の在り方」を大事にし続けているというのはとても伝わってきます。では、1曲ずつお話を聞かせてください。

  • 1.FULLTEN

  • まずは「FULLTEN」です。これはkobore初のタイアップ曲ですね。



  • 佐藤

    俺、お笑いがめちゃくちゃ好きなんですよ。だから、ダウンタウンさんの番組のタイアップって聞いたときはマジでめちゃくちゃうれしかったですね! 音楽やめてもいいと思いました。
  • 田中

    なんでだよ!(笑)。でも、俺らも赳がお笑い好きなのは知ってたので、みんなで「赳、よかったな!」って。
  • 早速ひとつの夢が叶っちゃいましたね。ショートチューンでもありますし、「これからやったるぞ!」というような気合も感じられる、まさに幕開け的な楽曲ですよね。
  • 佐藤

    そうですね。1曲目にハマるように作ったわけではなく、出来上がったら「これは1曲目しかないじゃん!」ってなった感じっすね。
  • 歌詞から察するに、この曲はメジャーデビューすることへの意気込みがかなり色濃く詰まっているように感じますが、やっぱりその気持ちは入れたかった?
  • 佐藤

    自分たちに向けて「変わるなよ」って歌ってる曲なので、かなり自己満足な歌詞ではあると思います。リスナーからしたら、メジャーだろうがインディーだろうが知ったこっちゃないじゃないですか。でも、やっぱりそこの決意は入れたかったし、このアルバムに対してというよりは、「俺たち4人がどう思ってるのか」を如実に表してる曲だと思います。
  • 田中

    歌詞も突っ張ってるし、俺たちもこの曲にケツを叩かれてます。メジャー/インディーを本当に気にしてないんだったら、わざわざ歌詞にしないと思うんですよ。でも、そこをあえて歌詞にしちゃうっていうことは、彼の性格でもあり、いいところでもあると思います。
  • 佐藤

    言うことに意味があると思うし、こんなこと口じゃメンバーにも言えないんですよ。でも「なんで音楽やってるの?」って聞かれたときに、4人ともちゃんと答えられるようにしてたいんです。僕にとっての歌詞って、裏側にある真意なんですよ。言えることよりも言えないことのほうがリアルだと思うし、そっちの面を表現することのほうが多いと思います。

  • 2.るるりらり

  • 2曲目「るるりらり」は、どういうタイミングで出来た曲なんですか?
  • 佐藤

    ツアー中に機材車で聴いてた曲とか、各地の商店街を歩きながら聴いた曲って、東京に戻って聴いたときに、そのときの映像を鮮明に思い返せるんですよ。“風景”という話にも繋がりますけど、音楽ってマジで無限だなと思いながら作った曲です。
  • 田中

    メロの楽しい感じがメンバー間でもすぐに共有できたので、アレンジを考えるのは早かったですね。赳の<るるりらり>の歌に合わせるように、ベースドラムはBメロでちょっとハネてみたりして、わりとすんなり出来たように思います。
  • 佐藤

    曲にもタイトルにも角がないですよね。「るるりらり」っていう字面も丸いし、ミドルテンポで爽やかに作り上げていきました。俺としては、これがアルバムの1曲目っていう感覚なんです。「FULLTEN」はプロローグで、そこからフィードバックで「るるりらり」へと繋がっていって、この2曲で1曲なんですよ。曲調は違えど、「FULLTEN」に負けないドラムやつんざくようなバッキングが入ってたりもするので、そこの繋がりも意識して聴いてもらいたいですね。

  • 3.HAPPY SONG

  • 3曲目の「HAPPY SONG」は、タイトルを見たときに「koboreがハッピーソングというタイトルをつけるのか!?」とちょっとびっくりしました。



  • 佐藤

    この曲が出来たとき、めちゃくちゃハッピーでしたね。ポップだけどオルタナ感も感じられる、今までのkoboreにない曲が出来たなと思いました。それで、スタジオ終わってシールド巻きながら「これさ、『HAPPY SONG』でいい?」ってメンバーに聞いて、すんなり決まりました(笑)。歌詞は今の状況を考えながら作り上げていって、「あなたがいないことや、無情にも時が過ぎているのを眺めているだけの状況ですら幸せに思えるよ」っていう気持ちを天気に例えて書きました。
  • 田中

    たしかに新しい感じはしましたね。克起がシンプルなビートを叩きたいって言ってたので、ベースもそれに合わせるようにしました。koboreの3人って、何かかっこいいことをしたい欲があるんですよ。だからそれを抑えつつ仕上げました。
  • 佐藤

    koboreのアルバムの中に1曲はある「ダサ良い曲」のポジションが、今作ではこれですね。

  • 4.HEBEREKE

  • 4曲目の「HEBEREKE」、これはもうわかりやすく二日酔いの曲ですね。
  • 佐藤

    そうです! これは、いつのライブの打ち上げだったかは覚えてないんですけど、次の日の機材車の中で二日酔いの状態で作りました。俺、酔っ払うと記憶を無くすんですけど、先輩が話してくれたことを忘れたくなくてメモを取ってるんですよ。で、そのメモに「いつ、どこで、誰が」ってだけ書いてあったんです(笑)。そこから「5W1H」っていうワードが出てきて、あまりのハマりの良さにそのまま歌詞にしました。
  • koboreの4人は酒癖悪いんですか?
  • 田中

    みんなわりと酷いですね……。
  • 佐藤

    こいつは面白くなくなります(笑)。
  • 田中

    おい、ひどい言われようだな(笑)。

  • 5.イヤホンの奥から

  • 酒は怖いですから(笑)。5曲目「イヤホンの奥から」は、かなり赤裸々というか、ヘイトの感情を曝け出していますね。
  • 佐藤

    僕が1、2年前にTwitterをやめた理由を歌詞に書いたんです。部外者でいたとしても、いつでも加害者になれてしまうっていうのがSNSの怖いところだと思うんです。そういった日々溜まっていく暗い部分も、表現者としてkoboreらしくしたうえで発信してかなくちゃいけないと思ってるので、このヘイトをどう削ってまるくしていくかを考えながら作りました。
  • 田中

    歌詞がかなり尖ってるから、最初は本当にこれでいくの?って思ってましたけどね。
  • 佐藤

    でも<気にする事はないZE>のZEとかポップじゃん!
  • そこ!?(笑)。
  • 佐藤

    ローマ字があればポップだと思ってるんで(笑)。
  • 田中

    メロに乗ったら中和するけど、歌詞だけだとかなり尖ってるよ(笑)。でも、ここで言ってることって誰もが感じてることだとは思うので、今の時代を生きてていちばん共感できる歌詞だとは思います。メロディーのアレンジに関しても、テクニックに寄るのではなく、頭で考えずに感覚重視でできました。
  • 佐藤

    削って削って、ギリギリ尖ってるところを狙いました。でも最終的には、俺がただ吐き散らかしてるだけではなくて、それが誰かの救いになればいいなという曲にまとまってると思います。
  • この曲に限らず、赳くんって曲の雰囲気によって歌い方がかなり変わりますよね。
  • 佐藤

    ああ、たしかにそうっすね。ライブを意識してレコーディングしてるので、そこのところは如実に出てるのかもしれないです。そもそも俺は、そのときのテンション感で結構歌い方を変えちゃうことが多かったんですよ。だけど今回は特に緩急のある楽曲が多いので、そこは意識的に「ここはこういう歌い方にしよう」と決めてレコーディングしました。あとは、「俺はこういう歌い方もできるんだぜ?」って自分を大きく見せたいっていう気持ちもありました(笑)。

  • 6.夜に捕まえて

  • たしかに緩急はかなりありますよね。5曲目から6曲目への流れもまさにそうですけど、6曲目の「夜に捕まえて」は、koboreの十八番ともいえる夜テーマの楽曲ですね。
  • 佐藤

    これは「夜を抜け出して」の女の子目線なんですよ。今作でメジャーデビューをするけど、前から俺たちの事を知ってくれてる人たちにも楽しんでもらいたいと思って、繋がりのある歌詞にしました。ここから俺の歌い方も徐々に変化していくし、アルバムのV字を作るうえでいい表現が出来ているなと思ってます。もともと俺はBUMP OF CHICKENが大好きなんですよ。バンプの曲にある「この曲を聴かなきゃあの曲はわからない」といった物語性や一貫性がすごい好きで、アンサーソングっていうのを作ってみたかったんです。



  • Aメロのあとにいきなりサビがくるところとか、1サビ終わりがきっかけでベースが大胆に動き出すところとか、聴いていてすごく気持ちいいなと思ったんですけど、作り方としてはすらっと出来たんですか?
  • 田中

    「夜を抜け出して」のアンサーソングだという主旨を事前に伝えられたうえで、「夜を抜け出して」がわりとポップだったということを踏まえつつ、切ない歌詞とは逆に明るい音を使うように意識しました。Aメロでもドラムとの掛け合いがあったりして、制作で言えば、この曲は今作の中でいちばん楽しかったですね。この6曲目以降はアルバム的にも色が変わるタームですし、ここから先の曲は作り上げるのに結構時間がかかりました。あと今作をきっかけに、メンバーに対してお互い意見を言うようになったんですよ。全員プライドがあったし信頼もあったので、そういうふうに垣根を越えて言い合うことは今までやってこなかったんですけど。
  • それは、結果的に良かったですか?
  • 田中

    やっぱり言われたらムッとすることもありますけど、出来上がりを聴くと、この方法で作ったほうが断然良かったですね。
  • 赳くんとしては、その変化はどう思いました?
  • 佐藤

    自分のやりたいことは、「いい歌詞といいメロ」だけだったりするので、ニュアンスは伝えますけど、ほかのことは結構3人に任せちゃってるんですよ。だから、今回の変化についても、真面目だなぁって思いました。楽器隊は律儀にスタジオも入るし。俺、練習が大嫌いなんで、置き去りですわ……。
  • 田中

    置き去りじゃねぇわ、来ないんだろ(笑)。でもまあ真面目だなんて言われましたけど、実際は全員ちゃらんぽらんな奴らなので、それくらいがちょうどいいのかもしれないです。

  • 7.なんにもないの

  • いい関係性ですね。7曲目「なんにもないの」は、ループするビートやフレーズが印象的です。
  • 田中

    これは僕が赳に、ギターがあまり歪んでないようなゆっくりとした曲を作ってほしいってリクエストしたんです。
  • 佐藤

    今までも何回かアイデアをもらったことがあるんですけど、説明が下手で全然わからないし、説明自体も途中で諦めるんすよ(笑)。でも今回は意図が汲み取れたんで、初採用しました。こういう曲作ってって言われたときは、「そら、病んでんのかな?」って思いました。
  • 田中

    全然病んでないし、病んだこともないわ(笑)。でもこの曲は陰の応援ソングだと思いますし、koboreとしても新しい感じだと思います。
  • 佐藤

    歌詞のイメージとしては、新宿や渋谷の喫煙所にいる “自分のことをなんとも思ってないような女の子”に「仕事がんばろ」って言いたくて作ったんです。最後の<「きっとうまくいくさ、頑張ってこい。」>というところもそうですし、悲しい雰囲気の中で休憩時間を迎えてるような人に聞いてほしい。
  • でも、こういうふうに「この人に聴いてほしい」という明確な対象がいる曲って、koboreでは初めてじゃないですか?
  • 佐藤

    ああ、たしかに日常の風景の中にいるこの人に歌いたいって思ったのは初めてかもしんないっすね。でも対象が人物だとしても、やっぱりそこの場所で聴くのがいちばんきれいに聴こえると思いますし、自分的にも明確な風景が思い描ける1曲になりましたね。

  • 8.君とじゃなくちゃ

  • 8曲目「君とじゃなくちゃ」は、個人的にはライブハウスでの風景が浮かんだ楽曲でした。
  • 佐藤

    これは友達が結婚するってなったときに書いた歌詞なんです。
  • そうなんだ! 結婚というイメージは全然湧かなかったな。
  • 佐藤

    そうですよね? でも僕は、「君がいなきゃ楽しくない」という歌詞を、「君がいるから楽しい」というイメージで作りました。あえてストレートに書かなかったのは、裏側を書きたいという自分の気持ちもありますし、この曲の歌詞みたいにならないでほしいと思って作ったからなんですよね。

  • 9.二人だけの世界

  • なるほど。余談ですけど、私は「君とじゃなくちゃ」以降の曲順に、“君”との「二人だけの世界」の中で、二人で迎える「ボクタチノアシタ」、さらにその先にある二人の「当たり前の日々に」っていうストーリー性を感じているんです。それが正かはさておき、9曲目「二人だけの世界」はどういうふうに生まれた曲なんですか?
  • 佐藤

    これは、俺が腰を痛めて眠れない日が続いたときに見た夢の話です。すごく綺麗な夢だったから起きても覚えてて、「そこに君がいる」っていう曲じゃなくて、「そこ(夢)に君が来てくれたら自由にできるのに」っていうイメージなんですよ。だから現実世界では起こりえない状況をとことん歌詞にしようと思って書いたし、<ずっと死んでいてくれないか?>っていうところも、夢なら死ぬことも生き返ることも自在にできるっていう意味合いで書いたんです。発端が「夢=自由」だからこそ、歌詞から考えられるイメージも聴いた人に完全にお任せだし、僕から説明するというよりは、それぞれいろいろと噛み砕いて聴いてほしいです。そういう地に足付かないふわふわした感じが自分的にも好きだったりするので、いろんな解釈をしてもらえるのが楽しみですね。
  • 田中

    この曲のデモをもらったときは、「久々に名曲きたな」と思いました。これって、「ヨルノカタスミ」を初めて聴いたときの感覚と同じだったんですよ。曲に優劣をつけるつもりはないんですけど、あのときを超える感動がありましたね。



  • 佐藤

    夢ってコロコロ変わっていくものだから、この曲では展開もすごい意識しましたね。

  • 10.ボクタチノアシタ

  • 9曲目で夢の話をして、10曲目は「ボクタチノアシタ」ということで、曲調の変化も相まって、まさにベッドでハッと起き上がったような翌日の景色が見えてきますね。
  • 佐藤

    そうなんですよ。だから最初のドラムの入れ方も、あまり驚かせすぎないようにふわっとさせてみたんです。でも曲の成り立ちは、その辺りは全然関係なくて、自粛期間中にサッカーのハイライトシーンを観てたんですけど、感動して泣いちゃったんですよね。で、そのときに流れてたのが、当時のワールドカップのテーマソングだったSuperflyさんの「タマシイレボリューション」だったんです。それで「こういう曲を作りたい」と思って作ったのがこの曲で、タイトルもそれに合わせてカタカナにしました。
  • 赳くんって、わりと突拍子もないところからネタを持ってきますよね(笑)。
  • 田中

    そうなんですよ。だから、ライターさんが言ってくれた考察のほうが良かったりすることがあります(笑)。
  • 佐藤

    そうそう。ちょっとね、自分がノーマルカードしか持ってなくて照れる(笑)。
  • いや、でもそれがkoboreらしくていいですね(笑)。
  • 佐藤

    ありがとうございます(笑)。でもそういう経緯があったので、本当はコンガとかブブゼラとか入れたかったんですよ。海外でも通用する曲にしたかったし、世界中の誰が聴いてもアガる曲にしたかったんです。だから結構イントロを考えましたね、「これが聞こえてきたらこの曲だ!」っていう印象を残したかったんで。この曲のかっこいいところを言えるとしたらそのくらいですね。歌詞はもう、ワールドカップのハイライトシーンを観て書いたものなので(笑)。
  • 「タマシイレボリューション=ワールドカップ」という関係性に憧れて作ったということなら、この「ボクタチノアシタ」を聴いて思い浮かべてほしいシーンは何ですか?
  • 佐藤

    やっぱりライブハウスですね。思い出すというよりは、「この曲のあのフレーズをライブハウスで聴きたい!」と思ってもらえるようなイメージで作りました。最初は完全にワールドカップ寄りの歌詞だったんですけど、それじゃダメだってことでライブハウスの話にシフトチェンジさせたら、意外とすんなり歌詞が書けました(笑)。
  • 田中

    この曲はギターとベースのユニゾンソロもそうなんですけど、ドラムのバスの位置が独特だったので、そこに合わせるのにすごく苦労しました。そのノリが個人的に苦手すぎて、この曲は結構練習しましたね。このアルバムの楽曲は僕を成長させてくれる機会が多くて感謝です。
  • 佐藤

    そんななか、俺はひたすらサッカーのハイライトシーンを観ているというね……いや、本当に真面目だと思うよ。

  • 11.当たり前の日々に

  • ラストの「当たり前の日々に」は、アルバムの最後に相応しい楽曲だと思いました。
  • 佐藤

    これは4年前からあった曲で、もし自分たちがメジャーデビューすることになったら、再録してアルバムの最後に必ず入れようって決めてました。もしもこの曲をアルバムの最後に入れてハマらなかったら自分たちが変わったということだし、もしもハマったら変わらずに進んできたということであり、自分たちがやってきたことは正しかったんだという証明になると思って、この曲だけは絶対にとっておこうって決めてたんです。実際にそういう状況になって、見事にハマってくれましたし、この曲がkoboreの歩みを全部肯定してくれてますね。
  • それ、めちゃくちゃかっこいい話だなぁ。年月を経てもkoboreが変わらないでいたという証明がなされているんですね。それでも時代は今、ライブシーンについても大きく変わりつつありますよね。この期間で、koboreとして考えたことはありますか?
  • 田中

    もちろん今の状況でライブがなくなったりするのは悲しい気持ちもあります。そのうえで、安藤と克起の想いも代弁すると、むしろこの逆境をチャンスに変えていこうとしてます。空いた時間は全部スタジオに入ってスキルアップしていこうとか、そういう話を3人でして実際に動いてますし。それにコロナに限らず、キツい現実っていうのをkoboreは今までも乗り越えてきたので、大丈夫だろうとは思ってます。全然ネガティブな感情はないですね。
  • 佐藤

    どっちかと言うと、今まで当たり前だったライブを当たり前に感じなくなったことは、幸せなことだなと思ってます。だから個人的には、「コロナのせいで」というよりは「コロナがあったおかげで」というふうに考えるようにしてます。その考え方を誰かに否定されようとも、俺は俺の考え方なので、貫いていきたいと思います。この状況になって気づけたこともたくさんあるので、それらも込みでkoboreらしいライブができたらいいなと思います。

【取材・文:峯岸利恵】

tag一覧 J-POP アルバム ゆびィンタビュー 男性ボーカル kobore

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リリース情報

風景になって

風景になって

2020年08月05日

日本コロムビア

01.FULLTEN
02.るるりらり
03.HAPPY SONG
04.HEBEREKE
05.イヤホンの奥から
06.夜に捕まえて
07.なんにもないの
08.君とじゃなくちゃ
09.二人だけの世界
10.ボクタチノアシタ
11.当たり前の日々に

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

kobore HEBEREKE TOUR 2020
09/20(日)千葉 LOOK
09/21(月・祝)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
09/24(木)静岡 UMBER
09/26(土)三重 四日市CLUB CHAOS
09/27(日)大阪 梅田Shangri-La
09/29(火)奈良 NEVERLAND
10/07(水)島根 松江AZTiC canova
10/08(木)岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
10/11(日)愛知 名古屋RAD HALL
10/15(木)北海道 札幌BESSIE HALL
10/18(日)青森 Quarter
10/20(火)新潟 GOLDEN PIGS RED
10/22(木)石川 金沢vanvan V4
10/23(金)宮城 仙台MACANA
11/03(火・祝)東京 下北沢GARDEN
11/05(木)長崎 アストロスペース
11/07(土)熊本 Django
11/08(日)福岡 Queblick
11/10(火)愛媛 松山WstudioRED
11/11(水)高知 X-pt.
11/14(土)滋賀 B-FLAT
11/15(日)静岡 浜松メスカリンドライブ
11/23(月・祝)栃木 宇都宮HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
11/24(火)長野 松本ALECX
11/28(土)和歌山 CLUB GATE
11/29(日)京都 KYOTO MUSE
12/01(火)兵庫 神戸太陽と虎
12/02(水)広島 Cave-be
12/04(金)鹿児島 SR HALL
12/05(土)大分 T.O.P.S Bitts HALL
12/06(日)徳島 club GRINDHOUSE
12/12(土)沖縄 那覇Output
12/17(木)岩手 盛岡Club Change WAVE
12/19(土)福島 郡山CLUB#9
12/20(日)茨城 水戸LIGHT HOUSE

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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