メジャー2作目でシフトチェンジしたvivid undress。「変身」の真相に迫る!
ゆびィンタビュー | 2020.08.19
vivid undress major mini album『変身コンプレックス』 All track Trailer
PROFILE
vivid undress
2014年、別々に音楽活動をしていたメンバーが出会い結成されたロックバンド、通称"ヴィヴィアン"。
実力派のメンバーが奏でるテクニカルかつソリッドなサウンド、相反するような大衆性のあるボーカル・kiilaの歌声を武器に、"J-POP突然変異型ROCKクインテット"と称し、活動を始める。
2018年、2019年と代官山UNITで2年連続で行われたワンマンライブはともにSOLD OUT、現在その他都内ライブにおいてもSOLD OUT必至となっている。
2019年12月4日、バンド史上初となるフルアルバム『混在ニューウェーブ』のリリースをもって、待望のメジャーデビューを果たした。
この度、8ヵ月ぶりの新作となるミニアルバム『変身コンプレックス』をリリース。
- メジャー第2弾リリースとなるミニアルバム『変身コンプレックス』がいよいよリリースとなりますね。心待ちにしていました。
kiila
ほんと、「やっと聴いてもらえる!」っていう感じです。本来なら2ヵ月前にリリースする予定だったので。- この2ヵ月間で今作に対する想いに変化はあったりされますか。
kiila
そこはあんまり変わってないです。ずっと意気込みは高いままですね。rio
まったく変化がないと言ったら嘘になりますけど、それこそ生まれ変わったようなポジティブな内容の作品なので、この時期にリリースされるのは本当によかったなって思ってます。- 名は体を表わす、じゃないですけど、まさに“生まれ変わった”という表現がぴったりの作品で。先行公開された「主演舞台」のMVにもかなり驚きました。めちゃくちゃ自然体ですよね。
kiila
私たちもびっくりしました(笑)。でも私としては変わったというより、むしろ本質に近づいていったっていう感覚なんですよ。どっちかっていうとあれが素というか、普段の私たち、みたいな。これまでクールで攻めた楽曲や、そういうイメージで作ったMVが多かったなかで、やっぱりどこか無理してるというか……本来の自分たちってもっと素直でまっすぐだよな、みたいなことをずっと思ってて。そういうギャップというか、人からの見られ方とかも本来の自分と違ってたりすることもわりと多かったので、ちょっと悩んではいたんですよ。そのまま無理して突き進んでいくのもアリだったんですけど、やっぱりvivid undressとして音楽を長く楽しくやっていきたいし、音楽も生き方ももっと私たちらしい進み方をしていきたいなと思って。- でも、これまでの“クールでかっこいいvivid undress”も、そうありたいと目指していたものではあったわけですよね?
kiila
それもありましたし、みんなも「こういうvivid undressがいい」って思ってくれてるのかな?っていう気持ちもありました。周りが求める私たちの姿でいたい、みたいな。ただ去年、メジャー第1弾として『混在ニューウェーブ』というアルバムをリリースして、それまで5年、インディーズとしてやってきた集大成として10曲入りのフルアルバムを完成させて、私の中ではかなり満足したんですよね。- なるほど。
kiila
で、今回のメジャー第2弾を作るにあたって、バンドとしてどういう方向に進んでいきたいかっていうのをみんなで話し合ったんです。どういうバンドになっていきたいか、とか、どういうバンドのボーカルでいたいか、とか、それこそホワイトボードに書き出したりして(笑)。私自身もみんなと一緒に悩みながら、今作の選曲をしました。- そこで、より自分たちの本質を見せていこうということに?
rio
そうですね。やっぱり大衆的に認められたいっていう想いもどこかにはありましたし、やっぱり自分の中から出てくるものに対して素直にならなきゃっていうふうにも思ってて。なので最終的には満場一致で、本質を見せるのは大賛成っていう感じでしたね。kiila
私たち自身、逆に“vivid undressらしい”っていうことにとらわれすぎてたなって思ったんです。それで自分たちの音楽の幅もどんどん狭くなっていって、毎回、作品を作るたびに喧嘩して(笑)。今回も結構、揉めたりもしたんですけど、それはすごく自分たちの成長にもなった話し合いだったので……。rio
そんなに揉めたっけ?kiila
めっちゃ揉めたよ~!(笑)。会議室とかで。rio
ああ、そうかも。曲作りも難航したときあったもんね。kiila
うん、殺伐としたときもあった(笑)。でもバンドが前よりもっと仲良くなってきてるので、数時間後にはケロッと忘れて「お腹空いた~」って言ってるような感じなんですけど。rio
たぶんメンバーみんながvivid undressというものを通して話ができてると思うんですよね。個々の好みで話をしていくと、それを否定されたときって自分を否定されたみたいな感じになっちゃうけど、それぞれに“vivid undressが今後よくなるためには”っていうのを思い描いたうえで各自の想いを言ってるから、たとえその場で意見が食い違ったとしてもパーソナルを傷つけるような喧嘩にはならないし、最終的にはみんなが納得できるところに着地するというか。- 殺伐としても、どこか安心していられるわけですね。
rio
はい、安心して殺伐としてます(笑)。- でも自分の本質を見せるってすごく勇気のいることじゃないです?
kiila
たしかに挑戦でしたけど、今だけじゃなく、長い目で見ると良かったなって思いますね。- だからなのか、サウンド的にもかなり外向きに開かれた印象があったんですよ。それに伴ってバンドとしての一体感もより強く感じられて。一人ひとりの技を見せつけ合うのではなく、音の一つひとつがより調和して聴こえるというか。
kiila
今までは見せつけ合ってましたもんね(笑)。rio
ほんと音で喧嘩してる、みたいな(笑)。それはそれで良かったんですけどね。- そう思います。『混在ニューウェーブ』の、それぞれがガチンコでぶつかり合うスリリングな音のバトルも大好きですけど、今回はそこからさらに進化して、お互いの抜き差しも非常に絶妙で。出るところは出る、引くところは引く、のメリハリが素晴らしいです。
kiila
このアルバムをどうしていくかの話し合いのときに、担当ディレクターから「vivid undressのkiilaというボーカルがどういう人間なのか、今までの作品からは全然見えなくて謎なんだ」って言われたんですよ。だから今回の作品ではボーカルの本質をちゃんと示そうって。そこから今回はメロディと歌を大切にしたアルバムにしようというコンセプトに辿り着いたんです。歌を立たせるために楽器陣が抜き差ししてくれて。rio
それは自然の流れと言えば自然の流れというか……今回ありがたいことに、制作にかける時間が結構多く取れたんですよ。なので楽器陣での話し合いの場も多く持つことができて、「じゃあここは引こう」「こうしたらどうなる?」みたいな実験もいろいろできたんですよね。そういうやり取りのなかで自然に出来上がっていった感じなので。kiila
rioさんは特に歌詞のことも中心になって考えてくれてたよね。「歌詞を聴かせるべきだ」って言ってくれて。rio
そうそう。自分が“さらけ出す”っていう方向に持っていこうと思ったきっかけが歌詞だったんですよ。最初は仮歌なんですけど、その片鱗をどんどん見ていくと、どこかkiilaちゃんの本音オブ本音みたいなものが顔を覗かせるんです(笑)。それを活かすにはどうしたらいいのか、今までの作品とはシフトした考えで取り組んでましたね。- 垣間見えた本音の部分が、ある意味、vivid undressの核になる、と?
rio
そうですね。やっぱり本音は強いですから。いちばん強いと思うし、それをどんどん出していきたいっていうkiilaちゃんの自我は、大きく捉えてすごくいいことだと思うので。ただ、それなら楽器隊も生まれ変わっていかなきゃいけない――そう思ってシンセの音源資材を買ったりして(笑)。- おお! rioさん作曲の「ファンファーレ行進曲」なんて、まさにシンセが溢れ返ってますもんね。
rio
恥ずかしいことに、今回初めて有料のシンセ音源資材を買ったんです。今まではプリセットの音源で、EQとかを細かく変えたりしながら、なんとかいい感じにやってきてたんですけど、今回はちょっとお金を出してみようかと。そしたらもう……世界が広がり~~~!kiila
ははははは!(笑)。- (笑)。それまではあまり興味がなかったんですか。
rio
正直言うと、なかったんですよね。もともとクラシックピアノ育ちだったので、そういうものに疎かったというか、ピアノメインで頑張っていかなきゃなって思い込んでたところもあって。でも今回、音源資材を買ってみたらもうオモチャを手にした子供みたいに「あれも入れよう!」「これも入れよう!」みたいな(笑)。自分が先に入れたい音を入れちゃってたので、ゆうやん(yu-ya/Gt)なんかはちょっと戸惑ってましたけど(笑)。- めちゃめちゃ楽しそうです。
rio
たぶん今まででいちばん楽しそうだったよね?kiila
うん。ずっと「楽しい、楽しい」って言ってた(笑)。rio
「この音、どう思う?」「こんなのもあるよ」とか言いながら、メンバーにあれこれ聴かせたり。kiila
でもシンセのおかげで本当に曲が生まれ変わったので。特に5曲目の「ララ、バイバイ。」とか、私自身、変わりたいっていう想いがすごく強かったから、進化したい、アップデートしていきたいってメンバーに強く言ってたんですよ。なのに全然変わった感じがしなくて「う~~~~ん!?」って思ってたんです。なんならアルバムにはあんまり入れたくないな、ぐらい(笑)。- え、そこまで?
kiila
はい。でもrioさんがシンセとかを入れてくれたことによってガラッと変わったんですよ。やっぱり4万円払ってよかったなって(笑)。- それ、書いちゃっても大丈夫?(笑)。
rio
隠してもしょうがないことですから。4万円のシンセ音源資材を初めて買いました、って(笑)。- ちなみに今回、収録された6曲はどういう順番で作られたのでしょう?
kiila
わりと全部、同時進行でしたね。私たちは制作期間というものを設けてガーッと作っちゃうタイプなんですよ。- こんなに濃い楽曲たちを同時進行で? すごいですね。
rio
やっぱりメンバーみんなが曲を作れるのがこのバンドの強みですから。選曲会議もやったんですけど、「今回はこんな曲がある」って各々が面白いアプローチの自信作を持ってきたので、そんなに苦労はしなかった気がしますね。- 全部で何曲ぐらい候補に上がったんですか。
kiila
もともと持ち曲はたくさんあるんですけど、今回入れたいなって思う曲を各自で厳選して持ってきて、それをさらにふるいにかけていったので……最終的には10何曲ぐらいまで絞って選びました。- かなり厳選された6曲なんですね。しかもまた今回も相当バラエティに富んでいます。
kiila
それぞれ作者が違うぶん、そうなりますよね。それも強みだと思ってます。いろんなジャンルの曲をやってると、「何がやりたいのかよくわからない」って言われたりもするんですけど、「何が悪いんだろう?」って思うんですよ。遊園地とかでも絶叫系があったり子供でも大丈夫な癒し系があったり、いろんなアトラクションがあるじゃないですか。vivid undressもそういうふうに楽しんでもらえたらいいなって。- やっぱりkiilaさんのボーカリストとしての存在が強いからこそ、どれだけ楽曲がバラエティに富んでいても“vivid undressの音楽”として着地するんだと思うんですよ。今回は歌を立たせることを大切にしたとおっしゃいましたが、たしかにいっそうボーカリストとしてステップアップされた印象を受けました。これまで以上に伸びやかに堂々と歌ってらっしゃるなって。
kiila
楽器陣の曲の作り方が変わってくれたのが大きいですね。おかげで歌いやすくなりました。特に3曲目の「ファンファーレ行進曲」とか、音と音の間に隙間を作ってくれたので、すごく歌いやすくて。今までは楽器の音がぎゅうぎゅう詰めの中を「ちょっと通して~」みたいな感じで歌ってたんですけど(笑)、今回は隙間があるから抑揚もつけやすいし、ライブではまた違うアレンジにして歌いたいなって思う曲も増えました。rio
今回、隙間はすごく意識しましたね。kiilaちゃんが歌で苦しんでる姿、レコーディングのときとか、たしかにこれだけ音がいっぱいいたら歌うのが難しいよなっていう場面をずっと見てきたので、そこは楽器陣と話し合いながら「いや、こんなに埋めなくていい」とか「ここは自分、単音でいくから」とか、事細かにやってましたね。- 一方で、歌を立たせることがテーマとなると、ボーカリストの自分が引っ張っていかなきゃ!みたいな気持ちもいっそう強くなりそうですが。
kiila
まったくないです(笑)。- 即答(笑)。
kiila
ほんと、メンバーにおんぶに抱っこですから(笑)。ツラいことがあったら「ツラい」、頼りたいときは「手伝って」ってすぐ言うし(笑)。私が先頭に立ってるように見えると思いますけど、実はちゃんとメンバーが支えてくれてるので、自分が引っ張るっていう意識はあんまりないですね。- では、届く先についてはどうでしょう。歌はもちろん、歌詞を見ても顕著ですけど、これまで以上にkiilaさん自身が出ているじゃないですか。そういうものを歌って人に届けるというのは、今まで以上に届いた先にいる一人ひとりをイメージすることになるのではないかなと思うのですが。
kiila
そうですね。ちょうど前作ぐらいから、それはめちゃくちゃ意識するようになって。ライブで歌ってるときに聴いてくれてる人、イヤホンを着けて街中を歩きながらvivid undressを聴いてくれてる人、いろんなシチュエーションをイメージしながら「これはこのシチュエーションで聴いてほしいな」とか考えながら歌詞を書いてます。- 例えば「感情戦争」の歌詞にはかなり赤裸々な想いが綴られていますが、この曲はどんなシチュエーションで聴いてほしいですか。
kiila
なんだろう? 受験勉強とか、マラソンとかですかね。- 自分と闘わなきゃいけないとき?
kiila
そうそう。ジムでトレーニングするときなんかもいいかもしれない。- たしかに効きそう。では「Make Magic」は?
kiila
これはやっぱりメイクしてるときに聴いてほしいですね。- kiilaさんが女の子である自分自身とちゃんと向き合っているからこそ書けた歌詞だと思うんですよ。こういうことを歌いたいと思ったきっかけってあるんでしょうか。
kiila
去年“メイクするときにアガるプレイリスト”みたいなものを作らせてもらう機会があって、そのときに「いいな、私もそういう曲を作りたいな」と思ったんです。私自身、メイクするのがすごく好きですし、変な話、女の子ってメイクして歩かないと失礼、みたいなところがあるじゃないですか。- 言われがちだし、自分でもそう思いがちですね。
kiila
でも、だからといって業務的にメイクをするんじゃなくて、メイクすることで自分のテンションが上がって「今日の私、かわいい!」って自信を持って生きていけたらいいなって。rio
わかる~~~!!!kiila
あはははは!- おしゃれなディスコサウンドがよくマッチしています。
kiila
これはsyunn(Ba)ちゃんが持ってきた曲なんですけど、最初に聴いたときにすっごくいいなと思って。私はもともとダンスミュージックが好きだったんですけど、こういうファンクなビートで踊れる曲がずっとやりたかったんですよ。なのでゴリ押しで「これ、やりたい!」って言いました。最初は乗り気じゃないメンバーもいたんですけど、やってるうちにみんなノリノリになっていって(笑)。rio
このグルーヴの気持ち良さ! これは楽器隊でレコーディングしてるとき、いちばんテンションが上がりましたね。実はこのアルバムで楽器隊イチのお気に入りです。- 「ワンルームミッドナイト」はkiilaさんが作曲も手掛けたバラードですが、溢れんばかりの“好き”と、だからこそ切なく苦しくなる気持ち、その両方にグッときました。
kiila
本当は伝えたいのに伝わらない、ちょっと背伸びして強がってる女性というか……大人なんだけど、大人になりきれてないというか。会いたいけど相手は忙しくてなかなか会えない、とか、女の子って待つことがめちゃくちゃ多いじゃないですか。待たされてる女の子の身になって書いた曲ですね。- 「ララ、バイバイ。」は逆に、相手を振り切って自分の道を歩いていこうと決意した女性の強さが歌詞に描かれていますが。
kiila
「ララ、バイバイ。」は、今までずっと相手にとらわれてて、我慢して我慢して爆発した、みたいな。今までずっと相手の言うことを聞いてきたけど、「私の人生返せよ!」ぐらいの、ブチギレな感じの曲ですね(笑)。- その対比も面白いなと思ったんです。
kiila
でも本質的にはどっちも一緒の人物かなって思うんですよ。「ララ、バイバイ。」も自分の気持ちを抑えて抑えて、言えなかったからこそ最終的に爆発したわけで。「会いたい」とか、わがままになって言えないっていうところで主人公は一緒なんじゃないかなって。- そうかもしれないですね。あの、ちょっと戻りますが、「ファンファーレ行進曲」のコーラスはメンバーですか。
kiila
そうです。みんなで恋人みたいにヘッドホンに頭を寄せ合いながら歌ってましたね(笑)。rio
ヘッドホンが足りなかったので、こうして……(←実演)。- あはははは! いや、すごくいいなと思ったので。あと、サビの<ファンファーレ>を繰り返すフレーズで音色もファンファーレっぽくなっているのがさすがだな、と。
rio
よかったですー! 音色もこだわったんですよ。kiila
4万円のシンセで(笑)。rio
そう(笑)。ファンファーレ感を出すには、とかいろいろ考えて音を作ってましたね。だから実はトラックが今まででいちばん多いと思います。ものすごく音を重ねましたから。kiila
そういう意味ではかなり密なんだけどね。音符の数は少ないけど、音の数は多いっていう。- 隙間を意識したと言いつつ、まるでスカスカに聴こえない、むしろ音に厚みを感じるのはそういうことでしょうね。制作中、特に苦労した曲とかありましたか。
kiila
いちばん難航したのは「主演舞台」ですね。この曲が実はいちばん時間がかかったんですよ。この曲の作業をするために集まったのに、1日かけて1ミリも進まなかったっていう日もありましたから。- それはちょっと意外です。
kiila
普通にパッと作ったら、言葉はよくないかもしれないけど、ほんと軽い感じの普通のJ-POPになっちゃうというか……私たちはこねくり回したいタイプのバンドなので(笑)、逆にこういうストレートなポップスを作るほうが難しかったみたいで。だから、すっごい難航しました。例えばAメロは私が作ったりとか、syunnちゃんが持ってきた曲をパズルみたいにして「あれ違う、これ違う」って組み立てていった感じですね。- じゃあ原曲とはだいぶ形が変わっているんだ。
kiila
変わりましたね。もともとはバラード曲でしたから。- そうなんですか!? それもある意味“変身”かも。ところでタイトルに使われている“コンプレックス”……コンプレックスってきっと誰もが抱えていると思うのですが、kiilaさんは今、ご自身のコンプレックスと前向きに付き合えていますか。
kiila
そうですね、数年前だったら絶対言いたくなかったこともさらけ出せるようになったので。さらけ出しても愛してもらえる自信がついたというか、今までは「嫌われたらどうしよう」と思って、見せることができなかったコンプレックスとかいっぱいあったんですけど、今は周りの人との信頼関係が深まって「私でいいんだ」っていう気持ちでいっぱいなので、そういう人が増えたらいいなと思ってます。なかなか簡単なことではないですけどね。相当、強くならないといけないと思うし。- 「感情戦争」の歌詞にある<前の方がよかったとか/そんな簡単に言わないでよ/壮絶だった/変わりたかった>というフレーズがドーンときたんですよ。“壮絶だった”という言葉の重みにハッとして。
kiila
ずっと生きづらかったですからね。自分の嫌いな部分が受け止められないって、病気を抱えてるのと一緒だと思ってるんです。ずっと痛い、みたいな。でも今は「これも私だから」って受け入れて生きていくことのほうが大切だなって思うんです。rio
自分が年上だからってこともあるんですけど、昔のkiilaちゃんを見てたら、ほんと生きづらいだろうなと。でも、やっぱりファンの方々がここまでついて来てくれたっていうのがものすごく大きいと思うんです。ファンの方たちがずっと離れずにいてくれたからこそ、自分たちにも責任感が芽生えてきましたし。kiila
離れていく人とか攻撃してくる人に目を向けがちですけど、そのせいでずっと一緒にいてくれる人が見えなくなってしまうより、そばにいてくれる人たちを守っていきたいっていう方向に考え方がシフトしたので。rio
そう思うと、vivid undressを見てくれてる周りの人たちが自分たちを変えてくれたんだなって感じますね。- もうひとつ、お聞きしたいのが“らしさ”について。先ほど“vivid undressらしい”とか“私たちらしい”とおっしゃっていましたが、実際のところ“らしさ”ってなんだと思われますか。
kiila
ああ……深い! そうですよね。でも、やっぱり自分の嫌いなところも受け止めることなのかな……どう思う?rio
“自分らしさ”って自分が決めるものではないと思う。たぶん、みんなの中に“自分らしさ”が反映されてて、そこに信頼関係があれば受け入れてもらえるものだと思いますね。もし信頼関係がなかったら「なんだ? あの人」みたいな感じで見られると思うんですけど、お互いに信頼し合っている同士だったら「そういうのもrio様らしいよね」って受け入れてもらえるんじゃないかなって。ひと言で言うのは難しいですけど。- では、例えばrioさんから見た“kiilaさんらしさ”とは?
rio
kiilaちゃんらしさ……でも“進化していく子”っていう感じがします。変わらない人っているんですよ……ほんとずっとそのままだね、みたいな。でもkiilaちゃんは変わるんですよね。最初は「このまま生きづらそうだったら、どうしよう」みたいに思ってたんですけど(笑)。kiila
あははははは!rio
でも、どんどん変わっていくんですよ、びっくりするほどに。さっき言ったファンのみんなであったり、メンバーの影響もあるだろうし、どんどんどんどん変わっていくんです。だから一緒にいて楽しいですね、「こんなにも変わるんだ!」って。人って変わっていかなきゃいけないとも思うから、ほんとによかった。kiila
私が自分で自分らしさだなと思うのは、機嫌がすごくわかりやすいところ(笑)。今、怒ってるんだなとか、楽しんでるんだなとか、傍から見ててわかりやすいと思います。嘘がつけないから、まっすぐ出ちゃう。- それってすごくいいことですよね。嘘がないものほど刺さると思うんです、音楽って。ピュアなものほど聴きながら自分にシンクロさせられるというか。そういう意味で今作はすごくシンクロ率の高い作品だなって。
kiila
ありがとうございます。やっぱり聴く人のそばにいられるバンドになっていきたいし、そういう意味でも歌を大切にしたいと今回思ってたので、そうやって自分のことみたいに受け止めてもらえることがいちばんうれしいです。聴いてくれた人の人生の一部になってくれたらいいなって思いますね。
【取材・文:本間夕子】
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リリース情報
変身コンプレックス
2020年08月19日
徳間ジャパンコミュニケーションズ
02.感情戦争
03.ファンファーレ行進曲
04.Make Magic
05.ララ、バイバイ。
06.ワンルームミッドナイト
お知らせ
■ライブ情報
vivid undress presents
変身コンプレックスTOUR FINAL
~何が何でもQUATTROで出会いたかったんだ~
2020/10/05(月)東京 渋谷CLUB QUATTRO(ワンマン)
vivid undress presents
変身コンプレックスTOUR
2020/10/30(金)愛知 名古屋ell.FITS ALL
2020/11/06(金)北海道 札幌SOUND CRUE
2020/11/13(金)福岡 Queblick
2020/12/03(木)宮城 仙台MACANA
2020/12/18(金)大阪 Music Club JANUS
vivid undress presents
PROGRESS PROGRAM vol.22
~ONE MAN やっと出会えたんだ~
2021/01/17(日)東京 新宿LOFT
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。