「脳をアクティブにさせてくれる5曲」(荒金良介 選曲)
おうちで音楽を楽しもう | 2020.05.01
2020年5月1日 UPDATE
荒金良介 選曲
テーマ「脳をアクティブにさせてくれる5曲」
現在はテレワークなど自宅作業を強いられている人も多いのではないでしょうか。仕事に没頭しながらも、ついうとうと眠くなることも多いので、そんなときに脳を活性化させてくれるエネルギッシュな5曲を選んでみました。全体的にパンキッシュなバンドが多くなりましたが、普段この手のジャンルを聴かない人にこそ聴いてほしいです。今は音楽と向き合える時間と余裕も増えていると思うので、ぜひ!!
東京初期衝動「愛のむきだし」
昨年11月に1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』を発表し、新人にもかかわらず僅か4ヵ月で初回限定盤2,000枚を完売。生々しい感情を叩き付けるライブパフォーマンスも話題を呼び、パンクキッズから巻き髪ギャルまで狂乱させている4人組ガールズバンド。音楽的には銀杏BOYZ直系の荒々しいパンクだけじゃなく、ロック、ポップス、歌謡曲、フォークなど幅広い素養を持ち、特にメロディセンスはズバ抜けた魅力を放っている!
そんな彼女たちが4月29日に最新シングル「LOVE&POP」を出すのだが、これが新境地を切り拓いた傑作である。すでに公開中のMV曲「愛のむきだし」(ほかの2曲も秀逸)はバンド史上もっともポップに振り切った曲調だ。軽快なリズムと甘美なメロディのなかで、椎名ちゃん(Vo/Gt)の殺気立つ叫びは異様な緊張感を孕んでいる。純粋無垢な牙で斬り付ける圧倒的なメロディ・メーカーぶりが、この曲からもびしびしと伝わるだろう。僕は完全に恋に落ちた、本当にすごいバンドが現れたものだ。
SpecialThanks「ムーブメント」
STOMPIN’ BIRDのライブに衝撃を受け、Misaki(Vo/Gt)を中心に結成されたスペサンことSpecialThanks。度重なるメンバー・チェンジを経て、スペサンも今や立派な10年選手に成長を遂げている。
そして、新4人体制で初めて作り上げた4thフルアルバム『SUNCTUARY』は捨て曲ナシの大傑作。そのオープニングを飾るこの曲は<平和の祈りは/「令和」新しい時代>という印象的な歌で幕を開ける。曲調的には2ビートを用いた怒濤のメロディック・サウンドを土台に、Misakiの歌声は翼が生えたように伸びやかな美声を羽ばたかせている。このギャップ感こそが、スペサンにしか鳴らせないオリジナリティを生んでいる。そう、Misakiの弾き語り活動で得た表現力をバンドという形式にうまく落とし込み、自身のストロング・ポイントに磨きをかけた1枚と言えるのだ。聴いているだけで涙が溢れてくる、同じく『SUNCTUARY』収録の「Nonobaby」も名曲。
ENTH×SPARK!!SOUND!!SHOW!!「#ワイタイスカッ」
大げさに言えば、スプリット作の「未来」がここに提示されている。両者の人間的なグルーヴが高い次元で融合すれば、こんなとんでもない楽曲が生まれるのか。そのお手本みたいなブッ飛んだ曲調だ。名古屋のネオ・メロディックことENTH、大阪のネオ・ミクスチャーことSPARK!!SOUND!!SHOW!!がタッグを組んだスプリット・アルバム『#ワイタイスカッ』。
まず気になるアルバム名だが、自分たちが暴走族ならば“白虎隊"というネーミングにする→それを英語表記にしたら“WHITE TIGER SQUAD"→さらにそれをネイティブ発音でカタカナ表記にすると“ワイタイスカッ"。なんのこっちゃわからないと思うが、この仲間ノリ、身内ノリを突きつめた遊び心が音楽の火種になっている。パンク、ラウド、エレクトロと縦横無尽に駆け抜けるフリーダムなコラボっぷりが最高過ぎる。
FOUR GET ME A NOTS「Beautiful」
魅惑の男女ツインボーカルを看板にした千葉発の3ピースバンド、FOUR GET ME A NOTS。今年4年8ヵ月ぶりとなるニューアルバム『KEEP THE FLAME』を発表したのだが、これがバンドの原点に回帰した極上のメロディックパンク作品に仕上がった。持ち前の足腰の強い演奏に加え、ぐいぐいと前に突き進むパワフルかつスケール感のある歌メロが素晴らしい。特にこの曲は少し長めのインスト・パートを経て、メンバー3人の息の合った爆発力漲るプレイが光っている。ああ、ライブハウスでこの曲を全身で浴びたい。今はその時が来るまで妄想を膨らませるしかない。
GREEN DAY「Father of All...」
日本でも抜群の人気を誇るGREEN DAYの13thアルバム『Father of All...』は、作品トータル30分を切るコンパクトな内容。いい意味でツルッと聴ける潔さ。とはいえ、中身は非常に濃くて、ルーツ音楽に遡った新作はモータウン、ガレージ・ロック、グラム・ロックなど温故知新的なサウンドを彼らなりに調理。懐かしくも真新しいバイブスを撒き散らし、どの曲も口ずさみたくなる親密な曲調ばかり。ロックンロールの開放感に満ちたこの曲を聴きながら、おうちで踊るのもいいかもしれません。MVもまさにそんな雰囲気が漂っているので、映像を観ながらぜひこの曲を聴いてみてください。
(プロフィール)
荒金良介
99年から音楽ライターとして執筆開始。メタル、ラウド、パンク、ミクスチャーなど激しめの音楽が好きです。普段は毎日ヘビーメタルばかりを聴いてます。趣味はCDを買うことです。置き場所がなくて困ってます、助けてください。