Editor’s Push 第10回
Editor’s Push | 2020.10.30
日々たくさんの音楽と触れ合っているFanplus Music編集部。
ここでは、編集スタッフがオススメしたい新譜作品をピックアップしてご紹介します。(毎月更新)
2020.10 LINE UP
りぶ |
ank |
FAKE TYPE. |
浦島坂田船 |
神はサイコロを振らない |
Dannie May |
ぜったくん |
Kroi |
WOMCADOLE |
(sic)boy |
りぶ
「unforever」
「unforever」
りぶ
「unforever」
「unforever」
SNSやYouTube・ニコニコ動画といった動画共有サイトを中心に活動、顔出しをしないミステリアスな素性と高い歌唱力を持つ男性ボーカリスト“りぶ”が、初の配信シングル「unforever」をリリース。『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』の主題歌となっている同曲は、凛として時雨のTK(Vo/Gt)が楽曲提供からアレンジ、ミックスまですべてのサウンドプロデュースを担当している。怪しげな歌唱から始まり、ファルセットや複雑なサウンドとテンポはTKの楽曲ならではであるとともに、様々な楽曲のカバーを投稿してきたりぶならではの、楽曲の特徴を活かしながら自分の歌として昇華するスキルが存分に発揮されている。ふたりの絶妙なマッチングが相乗効果となり、りぶのポテンシャルと新境地が現れている楽曲。(中川)
ank
「スーパーほめられたい!!」
「ださいうた」
「スーパーほめられたい!!」
「ださいうた」
ank
「スーパーほめられたい!!」
「ださいうた」
「スーパーほめられたい!!」
「ださいうた」
ankが配信シングルを続けてドロップ。ひとつめは「スーパーほめられたい!!」。ぼくが爆上がりするパンクチューンにENTH「SUPER HAPPY TIME」があるが、これに次ぐ“スーパー”な名曲が誕生。窮屈な日常を振り切って、なりふり構わず生きていく決意を2ビートに乗せて歌い上げるankの真骨頂。“ほめられたい”に“スーパー”と付けて、びっくりマークふたつ付けちゃうセンスよ。「スーパーほめられたーーい!!」って両手を突き上げて叫びたいライブアンセム。そしてもうひとつが「ださいうた」。誰しもが人生の中で触れる出会いや別れ、懐かしい景色に思い焦がれる心情を、まやみき(Vo/Ba)の伸びやかな歌声で綴る飾らないグッドメロディ。すべてを包んでくれる、こちらもankの代名詞と言える楽曲だ。(栄谷)
FAKE TYPE.
「BEELZEBUZ」
「BEELZEBUZ」
FAKE TYPE.
「BEELZEBUZ」
「BEELZEBUZ」
DYES IWASAKI(トラックメーカー)とトップハムハット狂(ラッパー)からなるユニットFAKE TYPE.が、2017年から約3年の活動休止を経て再始動! 今作「BEELZEBUZ」のMVは、3人組映像制作チームPPP(ぴーぴーぴー)がディレクション。痛烈なネット社会に蠢く悪魔にむけ放たれた、鋭利でトリッキーなリリックがゴシックでキャッチーなトラックに乗せられ、闘うキャラクターたちとともに今、リスナーに問いかける。ベルゼブブ(蝿の王)に、ネットスラングの“バズ”を掛けたタイトルもそうだし、“蝿”と“映え”を掛けているところなど様々な仕掛けが施されていて聴いていてとても面白い! 現代のSNS社会への風刺のような、アイロニーを含んだ表現が最高にカッコイイ作品だ。(M)
浦島坂田船
「Ready」
「Ready」
浦島坂田船
「Ready」
「Ready」
動画サイトでの活動を中心にする、うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4名から成る男性ボーカルユニット・浦島坂田船。今年11月には結成7周年を記念したアルバム『RAINBOW』のリリースのほか、12月には2Daysの無観客配信ライブを予定している彼らが、最新シングル「Ready」を配信リリース。同曲は、10月より放送が開始されたTVアニメ『アクダマドライブ』のEDテーマとなっている。KEN THE 390が作詞し、作曲にも携わっており、ミドルテンポなラップが特徴的なこの曲。聴いていると、思わず体をゆだねたくなる心地好さがある。ソロパートのラップでは4人それぞれが傍に寄り添ってくれるような感覚と、サビでのユニゾンが多幸感をもたらす、聴く人を包み込んで元気をくれる楽曲だ。(中川)
神はサイコロを振らない
「目蓋」
「目蓋」
神はサイコロを振らない
「目蓋」
「目蓋」
福岡発、4人組ロックバンド・神はサイコロを振らない。昨年発表した「夜永唄」がまだまだ再生数を伸ばし続け、メジャーデビュー曲「泡沫花火」の「THE FIRST TAKE」verも配信リリースが決定し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンを駆け上がる彼らが、最新デジタルシングル「目蓋」(まぶた)をリリースした。同曲は、映画『リトル・サブカル・ウォーズ ヴィレヴァン!の逆襲』の主題歌となっている。柳田周作(Vo)は「作りながら泣いた」というくらい“世界で一番優しい歌”。柳田の優しく語り掛けるような歌声とピアノの音色が心を落ち着けてくれるバラードだ。<ブルーライトのせいで眠れないんだ>という生活感のある歌詞が、現代社会に生きる人々の生きづらさを包み込み、眠れない夜に安心感をくれる楽曲。(中川)
Dannie May
「針よ墜とせぬ、暮夜の息」
「針よ墜とせぬ、暮夜の息」
Dannie May
「針よ墜とせぬ、暮夜の息」
「針よ墜とせぬ、暮夜の息」
タワーレコードの未流通リリース企画「タワクル」にて、1st EP「暴食(グラトニー)」が4週連続1位を獲得するなど話題となり、注目を浴びている新感覚の極上コーラス系ポップスバンドDannie May。彼らの新作 「針よ墜とせぬ、暮夜の息」は、一度聴いたら耳に残るどこか懐かしさを感じる昭和歌謡的なメロディに、重厚なコーラスワークが印象的な疾走感のある極上のポップソングだ。メンバーが監督したMVは、ポップなメロディとは裏腹に刺激的かつシリアスな描写で、切なくもありとても痺れた。楽曲のクオリティの高さはもちろん、歌詞やMVの物語性と世界観に魅了される作品だ。(M)
ぜったくん
「Midnight Call feat. kojikoji」
「Midnight Call feat. kojikoji」
ぜったくん
「Midnight Call feat. kojikoji」
「Midnight Call feat. kojikoji」
町田のラッパー&トラックメーカー・ぜったくんがメジャーと聞いて、そのステップの速さに驚いた。約半年前に初インタビューしたときのあの好青年ぶりと相反する人間くささに癖になってしまったが、いま話題のフィメールボーカリスト・kojikojiをフィーチャリングゲストに迎えた新曲「Midnight Call feat. kojikoji」がこれまたいい。MVでは恒例、ベッドルームの構図でゆるいタッチのアニメーションが流れるなか、ぜったくんの気怠いローボイスにkojikojiの吐息交じりのレスポンス、こんなの覗き聴きしちゃっていいの?ってくらいの寝落ち寸前の男女のやりとり、遠いようで近いようなリモート越しのふたりの距離感がなんとももどかしくて心地よい。文字どおりベッドタイムミュージックにぴったりな1曲。(栄谷)
Kroi
「HORN」
「HORN」
Kroi
「HORN」
「HORN」
2018年2月に結成。R&B/ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。同年10月にデビューし、翌年「SUMMER SONIC 2019」へ出演。音楽活動だけでなく、ファッションモデルやデザイン、楽曲プロデュースなど、メンバーそれぞれが多様な活動を展開し、カルチャーシーンへの発信を行っている。そんな彼らが、最新曲「HORN」を配信リリースした。“Kroi史上最速の曲”だという今作は、うねるベースとファンキーでありつつ実は繊細な音を刻むギター、疾走感を際立たせるパーカッションが体を自然に揺らす。流れるような歌のメロディは、音楽に身を預けたくなるような質感で、まさに“ネオミクスチャー”を感じさせる。(中川)
WOMCADOLE
「軌跡」
「軌跡」
WOMCADOLE
「軌跡」
「軌跡」
WOMCADOLEの新曲「軌跡」がたまらない。メンバーチェンジとコロナ自粛を経て、新体制初音源となったシングル「ヒカリナキセカイ」の先に待っていた超強力な一打は、バンド史上初のタイアップ獲得。歯切れのいいリフでスタートすると、MVではモノクロを貴重とした映像に薄汚れた赤色が映える。躍動するプレイ、震える握りこぶし、抑えきれない衝動――そのどれもが一瞬一瞬を生きるウォンカの本質であり、「軌跡」はウォンカが繰り返し口にする“血の通った”音楽の象徴のように響いた。順風満帆とは言えない道を突っ走ってきたからこそ、こんなに“軌跡”というワードが似合うバンド、ほかにいないんじゃねえかな。そんなライブアンセム化確定文句なしの新曲を生み落とすバンドのモードは絶好調。今後のさらなる動きが待ち遠しい。(栄谷)
(sic)boy、KM
『CHAOS TAPE』
『CHAOS TAPE』
(sic)boy,KM
『CHAOS TAPE』
『CHAOS TAPE』
オルタナティブ、エモ、ラウドロックの要素やメロディアスな歌い回しをHIP HOPに落とし込んだスタイルで注目を集める新鋭 (sic)boyと、HIP HOPに根ざした音楽スタイルを保ちつつ、異ジャンルとの果敢なクロスオーバーを試みる制作姿勢が話題の音楽プロデューサー/DJのKMによるコラボアルバム。本作は彼らのおよそ1年に渡るコラボレーションの一区切りとして、バックボーンに左右されずに様々な人種が混ざり合い、柔軟にその様式を取り入れ進化していく東京の街のような音楽=“ジャンル東京”をテーマに掲げて制作されたコラボレーション作品。東京のHIP HOPシーンの次世代を代表する多種多様なゲストを迎えた全12曲、新たなミクスチャーロックサウンドをぜひご堪能あれ!(M)