Editor’s Push 第14回
Editor’s Push | 2021.02.26
日々たくさんの音楽と触れ合っているFanplus Music編集部。
ここでは、編集スタッフがオススメしたい新譜作品をピックアップしてご紹介します。(毎月更新)
2021.2 LINE UP
りりあ。 |
声にならないよ |
Ado |
あれくん |
堂村璃羽 |
Tani Yuuki |
Vaundy |
Danablu |
Kitri |
おーるどにゅーすぺーぱー |
りりあ。
「素直になりたい子の話。」
「素直になりたい子の話。」
りりあ。
「素直になりたい子の話。」
「素直になりたい子の話。」
昨年リリースした「浮気されたけどまだ好きって曲。」がLINE MUSICでウィークリーランキング1位を獲得し、YouTubeでの弾き語り動画再生数も900万回を突破。続く「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」は、LINE MUSIC MVランキングでリアルタイムランキング1位、デイリーランキングでも3位を獲得。そんな勢いに乗っているりりあ。の最新作「素直になりたい子の話。」は、女子目線、男子目線から綴られる恋に悩む甘酸っぱい歌詞にきゅんとしたり、もどかしさに共感したりと、心が掴まれる。そしてエモーショナルな歌声と豊かな表現力、カントリー調のアコギと甘酸っぱさを増幅させるようなピアノのキラキラとした旋律、ストリングスの凛としたフレーズで、恋を応援してくれるハッピーソングに仕上がっている。(中川)
声にならないよ
「あの日のふたり」
「あの日のふたり」
声にならないよ
「あの日のふたり」
「あの日のふたり」
“あなたの声にならない思いを歌に”をコンセプトに2020年4月に活動を始めた、若宮めめ(Vo)とHiRo(Key)のふたりからなるピアノポップバンド・声にならないよ。新曲「あの日のふたり」を再生して間もなく鼓膜に響いたハイトーンに心奪われてしまった。“午前3時の乾いた歯ブラシ”や“品揃えが少ない深夜のコンビニエンスストア”といった情景描写を通して、「あなた次第」が花言葉の“藍”と“哀”を交えながら、<永遠を誓う勇気がなかった僕>が回想する。落ちサビの大胆な転調がけじめをつけた主人公の心情の変化を演出し、ラストはオケの高まりとともに<じゃあね>の一言で結ばれるストーリー。モチーフになった“藍”からのキャスティングであろう、MVの儚くも自然体な有村藍里の表情にも注目しておきたい。(栄谷)
Ado
「ギラギラ」
「ギラギラ」
Ado
「ギラギラ」
「ギラギラ」
「うっせぇわ」がMV公開から3ヵ月でYouTubeの再生数6000万回を突破。国内外のランキングで31冠を達成し話題を呼んでいる18歳女子高生シンガーAdoが、新曲「ギラギラ」をリリースした。本作を手掛けるのは「ヴィラン」がYouTube再生数1500万回を超えるボカロP・てにをは。今作は、神様が左手で描いたような私が恋をして、ギラギラ輝いてやる、という乙女心を歌った孤独のラブソングだが、Adoにかかれば耽美さすら漂う。自分の醜さに世界を恨みながら、<もしも神様が左利きならどんなに幸せか知れない>という歌詞に表れているように、実は全てを受け入れていて、自分次第でどうとでもなるという前向きな感情も歌われている。恨み節だけでなく自分への鼓舞の歌として届くのは、Adoの表現力の賜物だろう。(中川)
あれくん
「ホワイトノイズ feat. 有彩」
「ホワイトノイズ feat. 有彩」
あれくん
「ホワイトノイズ feat. 有彩」
「ホワイトノイズ feat. 有彩」
昨年リリースした「好きにさせた癖に」がTikTokをきっかけに話題に。そんな要注目のシンガーソングライターあれくんが、大阪ぷらそにかの有彩と歌う「ホワイトノイズ」をリリース。あれくんと女性ボーカルの相性が良いことは、りりあ。との「ばーか。」などでも証明済みだが、今作の有彩の柔らかな歌声とのハマり具合も最高だ。事情で離れなくてはならなくなった男女の心境が綴られた歌詞だが、それぞれの思いの溢れ方の表現が、女性目線だと<アイスクリームみたい><ソーダみたく>と比喩に富んでいるのに対し、男性目線だと<既に愛はぐちゃぐちゃになって>とむき出しの表現になっているところが、より登場人物の輪郭をくっきりさせ、ストーリーを想像させる楽曲となっている。リアルの世界とも寄り添う、まるでドラマみたいな楽曲。(中川)
堂村璃羽
「都合いい関係」
「都合いい関係」
堂村璃羽
「都合いい関係」
「都合いい関係」
現代の若者が抱えるエモーショナルな感情を代弁したリリックとメロウなサウンドで聴く人の心を揺さぶり、圧倒的共感をもって世界観を創り上げるシンガー・堂村璃羽。2/19にリリースされた「都合いい関係」も、心に刺さりまくるほどに共感できる楽曲だ。“都合いい関係”と頭ではわかってはいても、一緒に居るのが心地好くて、結局相手にとっての“都合いい関係”になってしまっていて、自分だけが苦しいのもわかっているのに、やめられない。<離れたいなら離れりゃいいけど>……その距離感で割り切れたらどんなに楽か――。と、まるで恋愛小説の一節を語ってしまうくらい感情移入ができ、自分のことが歌われているのではと感じるほどの共感性を持った歌詞に、心が動かされる。チルなサウンドが、白黒つけない大人の感情を引き立てている。(中川)
Tani Yuuki
「Unreachable love song」
「Unreachable love song」
Tani Yuuki
「Unreachable love song」
「Unreachable love song」
TikTokやYouTubeを中心に活動するシンガーソングライター。昨年投稿した「Myra」がTikTokを中心にSNSで支持を集め、自身初の配信音源がノンタイアップ、ノンプロモーションにも関わらず大ヒット、各チャートを席巻した。そんなTani Yuukiの5ヵ月ぶりとなるオリジナル3作目は、恋をしている瞬間の葛藤や、記憶の断片を辿ってしまう未練を歌った歌詞とは裏腹に、リズミカルなテンポ感が印象的なポップナンバー。“Unreachable”とは“到達不能”を意味する言葉だが、まさに届かない想いにもがく気持ちが歌われている。シンセと弾むピアノ、パーカッションによるポップ感はありつつも、繊細さを内包する歌声が、丁寧に想いを紡ぎ、届けてくれていることがわかる、聴く人に寄り添ってくれる楽曲。(中川)
Vaundy
「融解sink」
「融解sink」
Vaundy
「融解sink」
「融解sink」
作詞、作曲、アレンジを全て自分でこなし、デザインや映像もディレクション、セルフプロデュースするマルチアーティスト。ジャンルに囚われない幅広い楽曲センスで、「これはバズるぞ!2021」1位にも選出され話題のVaundyの新曲「融解sink」がリリースされた。アルバム『strobo』でその多彩さを知らしめたと思えば、昨年12月にリリースした「世界の秘密」ではポップなサウンドとメッセージ性で、また彼を構築する色を増やした。そして今作では、R&Bを感じるビート、シンプルなメロに絡み合う幾重もの複雑なサウンドと、ここでも底なしのセンスに驚く。サウンドは洋楽チックでありながらレトロ感があるメロディと、日常の中で見落としてしまうような感情をさりげなく掬い取る歌詞が、人々の生活に溶け込むようだ。(中川)
Danablu
『Colors Back』
『Colors Back』
アルバム
2021.02.24
THE NINTH APOLLO
2021.02.24
THE NINTH APOLLO
Danablu
『Colors Back』
『Colors Back』
今月のパンク枠は迷いなく、THE NINTH APOLLO所属のメロディックパンクバンド・Danabluの1stフルアルバム『Colors Back』だろう。颯爽と駆け抜けるさまが眩しいオープニング「Beat in Blue」でノックアウトされてしまったのも束の間、「Glow up」「Hide and Seek」とシュートチューンが続き、シングル収録曲「Kill me Red」「August」を挟みつつ「Bleed」「Walk」「Snipe」など文句なしのグッドメロディを閉じ込めた万感のフルアルバム。Danabluのパンクロックから連想されるのは、酸いも甘いも経験して心が通い合った仲間たちと、オーディエンスでごった返したライブハウスの情景。かつての青春を取り戻すための希望溢れる一枚。(栄谷)
Kitri
「未知階段」
「未知階段」
Kitri
「未知階段」
「未知階段」
姉のMonaと妹のHinaによるユニット・Kitriが2ndフルアルバムのリリースを4月に控えるなか、先行シングル「未知階段」を配信リリース。2/15の東京公演でいち早くピアノ連弾で聴くことができたが、これまでのKitriワークスとはまた違った趣で正直驚いた。吉田まほ氏による2012年の作品『就活狂想曲』にインスピレーションを受けて制作されたもので、社会の喧騒を体現するかのようなピアノとストリングスによるエキゾチックなリズムの連打から始まり、うねるように躍動するアルペジオと行進曲風のリズムアプローチで前進しながら、困難な人生のなかでもがく姿を描く。浮遊する3連符を伴った間奏場面のアレンジもまた秀逸。どこか無表情で肩を落としたボーカルも、この楽曲が持つリアルを浮き彫りにしているようだ。(栄谷)
おーるどにゅーすぺーぱー
『スクーーープ!!』
『スクーーープ!!』
おーるどにゅーすぺーぱー
『スクーーープ!!』
『スクーーープ!!』
“そのた”と“えりい”からなるラップクルー・おーるどにゅーすぺーぱーの1st EP『スクーーープ!!』をプッシュしたい。るどにゅ流ストリートラップアンセム「はじめまして東京」、フリーキーで解放的な「OFF!」、スペイシーに展開する「宇宙征服計画」、ふわふわと揺れる「Bubble」、「踊り出すダンス!」と謳歌する「オトガナリダス」。そのフレキシブルな佇まいは、まさに日本語ラップ新世代。“渋谷系”が流行し、日本語ラップ黄金期と言われる90年代の手ざわりを取り戻しつつ、フィメールラップ史の新たな1ページを鮮やかに更新する、普遍的でありながらも挑戦的なトラックメイキングが光る全5曲。なお、同じく今月リリース、そのたによる“SONOTA”名義の1st EP「indoor」もマストチェック!(栄谷)